2023年に引退勧告により登録削除された選手たちを紹介!引退理由とは?
競艇選手は最高峰のレースであるSGレースに優勝すれば数千万円の賞金を獲得できる、とても夢のある職業です。
しかし、その一方で毎年複数名の選手が個々の理由により競艇選手から身を引いています。
2023年も現時点で既にたくさんの選手が登録削除されました。
本記事では、普段あまり注目されない登録削除された選手について、詳しく解説していきます。
現在約1,600名が選手として在籍
競艇選手として登録されている人数は2023年時点で約1,600名となっています。
他のスポーツ選手の登録人数を見てみると、プロ野球選手は約900名、競艇と同じ公営競技である競馬は中央競馬に限定するとわずか150名です。
それらと比較すると、競艇選手の人数はかなり多いと言えるでしょう。
1,600名も居ると、さまざまな選手が居て、常にSGレースで名を見かけるような競艇ファンならば誰でも知っている選手から、万年最下位クラスの、コアな競艇ファンでも名前すら知らないような無名選手も居ます。
競艇には引退勧告制度がある
競艇選手になるためには競艇学校に入学し、厳しい研修を受けなければなりません。
競艇学校そのものがかなり狭き門であり、現在活躍している選手の中には5回も挑戦してようやく入学出来た選手も居ます。
そして入学してからの研修もとても厳しく、毎年のように途中で断念して退学する生徒がいるほどです。
入学にも、研修にも苦労を重ねて試験を受け、合格する事でやっと手に入る競艇選手の免許ですが、免許を取りさえすればその後の地位が安泰するわけではありません。
競艇選手には「向上化規定」が定められており、この規定に該当してしまった選手は引退勧告を受けることになります。
2021年前期に引退した競艇選手を紹介。引退勧告や理由についてあわせて解説なぜ引退勧告制度があるの?
人一倍苦労しなければ競艇選手としてレースに出場出来ない上に、更に引退勧告制度まで設けられている事を知ると、流石に厳しすぎるのでは?と思ってしまいがちですが、引退勧告が設けられている理由はふたつあります。
ひとつはこれ以上選手の人数を増やさないようにするためです。
競艇選手が現在約1,600名登録されているのは先に解説した通りですが、毎年20名以上の新人選手がデビューしています。
そして、現在の規則ではこれ以上選手の人数を増やす事はできません。
成績の著しく低い選手を半ば強制的に引退させる事で選手の人数増加を防ぐ事ができます。
ふたつ目の理由はレースそのものの活性化で、こちらの方がメインの理由となります。
もし引退勧告がなく、一度競艇選手になれば安泰という状況だとどうなるでしょうか。
もちろん、そのような状況でも多くの選手は変わらず一生懸命レースに励むでしょう。
しかし、競艇選手にはレースに出るだけでさまざまな手当が支給され、手当さえもらっていれば、贅沢は出来ませんが生活する分には困りません。
したがって、中には手当をもらうことだけに専念する選手が出てくる可能性は十分あります。
そのような選手が出場するレースはつまらないものになってしまうでしょう。
やる気のない選手の行動は、競艇界全体に悪影響を与えて、運営そのものが危うくなるかもしれません。
厳しい制度ではありますが、強制的に引退させられるという危機感を選手に持たせる事で、常に全力でレースに臨んでくれるようになるというわけです。
登録削除となる要因
競艇選手が登録削除となる理由とは一体どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは考えられる要因を4つ紹介します。
登録削除される際は有名選手でない限り公に発表されることはありませんが、ほとんどがこれから紹介する要因のいずれかに該当しています。
一定期間内に規定以上の勝率を維持できなかった
ひとつ目の要因は、引退勧告の規則に定められている規定よりも勝率が下回ってしまった時です。
具体的には4期通算、つまり2年間で勝率3.80を下回ってしまった場合に引退勧告が適用されます。
ただしデビューして3年以内はこのルールは適用されません。
そしてデビュー33年以上のベテラン選手には更に厳しい規定が設けられています。
選手人数が1,600名を超えた時限定ではありますが、2年間の通算勝率が4.80を下回ると引退勧告の対象となります。
ベテランに厳しすぎるという意見があるかもしれませんが、33年選手として出続けていれば、どれだけデビューが若くても50歳を超えています。
体力や精神を考慮すると、一度落ちた成績を高めるのはかなり難しいでしょう。
競艇界の新陳代謝を図るためにも、この制度は必要なのです。
病気・怪我
選手としてレースに出られないような大怪我を負ってしまったり、長期的に治療しなければならないような病気になってしまったと判断された場合にも引退勧告を宣告され、引退せざるを得なくなります。
とはいえ、このような状況になれば、引退勧告を出される前に選手自身で引退を決断する事でしょう。
死亡事故
不運にも事故に遭遇してしまい、亡くなってしまった選手に対しても、当然ながら登録削除されることになります。
競艇においては約70年という歴史の中で30件以上もの死亡事故が発生しており、特に直近だと2022年には2件の死亡事故が発生してしまいました。
この事実を知ると、競艇が「水上の格闘技」と呼ばれる理由が理解できるのではないでしょうか。
文字通り命懸けで選手たちは日々のレースを戦っているのです。
競艇選手を続けられないような違反を犯した
競艇学校では選手としてレースで戦うための技術を学ぶ他に、プロのアスリートとして恥ずかしくない振る舞いができるように、精神に関する研修も実施されます。
競艇学校での生活は軍隊に匹敵するほど厳しいと言われていますが、それも精神を鍛えるための一環となっています。
例えば競艇では絶対にやってはいけない八百長行為に加担するなど、教えを破るような違反行為を犯したり、競艇の評判を著しく低下させるような行動を犯すなど、競艇選手としてレースに出る事が世間的に許されないような選手に対しても登録を抹消することになります。
トップクラスの選手が突如登録削除されてしまっている場合はこのケースによるものだと思っておいて間違いありません。
2023年に登録削除された選手たち
2023年9月7日終了時点で引退または登録削除が判明している選手を表にまとめました。
選手名 | 登録削除の理由 | 登録削除月 |
山口 俊英 | 成績不振 | 1月 |
新地 雅洋 | 成績不振 | 1月 |
中村 格 | 成績不振 | 1月 |
二宮 博貴 | 成績不振 | 1月 |
福田 慶尚 | 成績不振 | 1月 |
岩谷 真 | 成績不振 | 1月 |
野澤 大二 | 成績不振 | 1月 |
古田 隆義 | 成績不振 | 1月 |
長溝 一生 | 成績不振 | 1月 |
鈴木 幸夫 | 成績不振 | 2月 |
小羽 正作 | 成績不振 | 2月 |
前本 泰和 | 一身上の都合 | 2月 |
森秋 光 | 成績不振 | 3月 |
濵村 芳宏 | 成績不振 | 3月 |
木村 詳子 | 成績不振 | 3月 |
竹本 太樹 | 成績不振 | 3月 |
中村 亮太 | 不正 | 4月 |
真田 翔磨 | 成績不振 | 4月 |
横田 悠衣 | 成績不振 | 4月 |
山本 宝姫 | 成績不振 | 4月 |
吉田 健太郎 | 成績不振 | 4月 |
泰 直也 | 成績不振 | 4月 |
松浦 努 | 成績不振 | 5月 |
宮西 真昭 | 成績不振 | 5月 |
桐村 翔太 | 成績不振 | 6月 |
佐々木 厳 | 成績不振 | 6月 |
宮田 政勝 | 成績不振 | 6月 |
池田 真治 | 成績不振 | 6月 |
藤川 利文 | 成績不振 | 6月 |
古場 健也 | 成績不振 | 7月 |
山口 貢輝 | 成績不振 | 7月 |
木村 颯 | 死亡 | 8月 |
向 達哉 | 成績不振 | 8月 |
新美恵一 | 自主引退 | 9月 |
沓名 貴輝 | 成績不振 | 9月 |
現時点で引退勧告その他の理由により登録削除された選手の人数は37名です。
削除された理由を見ると、ほとんどが成績不振によるものであることが分かります。
2022年には総勢46名の選手が引退しました。
月換算すると、だいたい月4名のペースで引退していることになるので、このままのペースで引退選手が増加していけば、2023年全体での引退人数は昨年と同じくらいになります。
引退勧告以外で登録削除された理由が判明している選手たち
2023年に登録削除された選手の中には引退勧告以外の理由で競艇界から除名された選手もいます。
ここでは引退勧告以外で登録削除された選手のうち、理由が判明している選手を3名紹介します。
前本泰和
(引用元:YOUTUBE)
前本選手はAI級選手であり、尚且つSGレースにも常に名前が挙がるような、一線級の活躍をしている選手でした。
2007年には7節連続優勝という記録を達成、直近でも2021年にグランドチャンピオンを制しています。
そんな前本選手が2023年2月に「一身上の都合」という理由で引退届を出したというニュースは、多くの競艇ファンを驚かせました。
引退理由は公表されていないのですが、腰痛とヘルニアが悪化した事が引退する事を決断した理由と言われています。
腰痛とヘルニアは競艇選手の職業病と言っても過言ではなく、これまでも多くの選手が悩まされてきているので、納得できる理由です。
しかし一説には引退理由はそれだけではないとも言われています。
実は前本選手が引退してから2ヶ月後の2023年4月、元競艇選手で競艇界の内情を暴露している西川昌季が、前本選手が体重不正を行っていた事を匂わせるツイートを投稿しています。
この件については今のところ一切コメントはありませんが、事実ならばその罪は非常に重いです。
中村亮太
(引用元:YOUTUBE)
中村選手は競艇界のお騒がせ屋として、競艇ファンのなかでは不名誉な意味で有名な選手でした。
2013年にはボートレースオールスターのファン投票で不正行為をおこなったため2年間の出場停止処分を受けていますし、2021年には新型コロナウィルスによって仕事ができなくなり、収入が激減した人に支払われる持続給付金を不正受給したとして勧告を受けています。
更に2022年には中村選手自身が意図的に着順を操作したとされる八百長疑惑が浮上しました。
八百長が疑われたレースは2022年10月27日に下関競艇場で実施された第10レースで、普通なら勝手当たり前の1号艇A1級選手(中村選手本人)が着外になり、6コースから進入した人気薄の選手が1着になるという大波乱のレースでした。
八百長を疑われた理由はふたつ、一つはこのレースだけ他のレースと比べて売り上げが約倍になっていること、もうひとつは人気薄の6号艇が1着になったのにも関わらず300倍以下という低配当だった事です。
コアな競艇ファンはこの件にすぐ反応しましたが、運営側からは特に何も報道されませんでした。
しかし2023年1月、この件で一気に動きが見られます。
まず、中村選手が集団のよるイジメに耐えられなくなったという意味深なツイートを突如投稿、そしえ中村選手の斡旋がすべて削除され、レースにまったく出ていない状態になります。
その後週刊ゲンダイが八百長疑惑に関する記事を投稿、それによると中村選手が斡旋されていないのは、自ら拒否しているのではなく、中村選手に八百長疑惑があるため競艇場側が斡旋を拒否しているためだと暴露されていました。
この記事に中村選手はすぐに反応、記事の内容を全面的に拒否し、場合によっては法的措置も辞さないと強気の姿勢を見せます。
ところが4月6日に選手登録が突如削除、中村選手は引退扱いとなりました。
この件に関して、競艇会側からは何のコメントもありません。
多くの競艇ファンが競艇会のこの態度に不信感を抱いています。
真相をファンに報告してほしいところですが、残念ながら運営側はこのままあやふやな状態にして風化することを待っているのでしょう。
木村楓
木村選手はレース中ではなく、プライベートで交通事故に遭遇してしまい、帰らぬ人となってしまいました。
2023年8月14日、店舗から出てきた木村選手が乗車していた軽自動車に普通車が衝突して右側は大破、運転していた木村選手は頭部を強く打ち、すぐに病院に運ばれたものの治療の甲斐なく死亡が確認された、というのが事件の全貌です。
死亡事故による登録削除だけは出ないように祈るばかり
2023年時点、レース中の事故による死亡者は9月7日終了時点ではまだ出ていません。
死亡事故なんて出ないのが当たり前だと思う人が大半かもしれませんが、競艇は水上で実施される競技であるため、一瞬のミスが命取りになる、誇張表現抜きで死と隣り合わせのスポーツなのです。
このまま死亡事故が1件もなくシーズンを終えてくれることを全競艇ファンが願っていることでしょう。
まとめ
競艇選手には2年間一定の勝率を維持できなければ運営側から引退勧告を宣言され、強制的に引退させられるという向上化規定が設けられています。
厳しいルールと思う人も多いかもしれませんが、選手人数をこれ以上増やさないようにすること、そして何よりもレースの活性化を図るためには必要な規定なのです。
2023年は9月7日終了時点で37名の選手が登録削除されています。
登録削除された大半の理由は成績不振によるものですが、一部不正が発覚したり、一身上の都合により自己申告して引退した選手も存在します。
2023年はまだまだレースが残っており、結果によっては成績不振により引退勧告を受ける選手が増えていく可能性が高いです。