2021年前期に引退した競艇選手を紹介。引退勧告や理由についてあわせて解説
競艇選手を要請する競艇学校には毎年多くの生徒が入学し、そこから試験に合格した生徒は晴れて競艇選手としてプロデビューを果たします。
その一方で毎年多くの競艇選手がさまざまな理由で引退をしています。
本記事では2021年前期にはどういった選手が引退したのかを紹介していきます。
競艇選手の選手生命はかなり長い
スポーツ選手の競技人生というのはとても短いです。
野球やサッカーをはじめ、多くのスポーツ選手が40代になるころには引退を考え、実際に多くの選手が引退しています。
それと比べると競艇選手の選手生命はかなり長く、50代でも現役バリバリで活躍している選手が多数存在していますし、現役最高齢は高塚清一選手で、年齢はなんと74歳です。
サッカーでは三浦知良選手が現役を続けていることが大きな話題となっていますが、三浦知良選手は54歳です。
競艇選手の選手生命がいかに長いかが分かるのではないでしょうか。
競艇選手が現役を長く続けることができるのは、競艇という競技の特徴が大きく影響していると考えられます。
まず競艇ではほかのスポーツと違い、ボートを操縦して着順を争うので、スポーツ選手にとって致命的ともいわれている肉体面の衰えをそれほど感じることはありません。
また、基本的に第1ターンマークを回った時点でほぼ勝敗が決します。
したがって、レースの序盤さえ集中していれば高齢になっても勝利するチャンスが十分にあるというわけです。
しかし長く続けるには勝ち続けなければならない
とはいえ、惰性で続けられるほど競艇という世界は甘いものではないこともまた事実です。
確かに勝敗に関しては最初のターンを回り終えるまで集中しておけば良いですが、不安定な水面を走行するので気を抜くと大事故につながります。
事実競艇では数年に一回痛ましい死亡事故が発生していますし、死亡事故とまではならなくても、その後現役を続けられないほどのケガを負う可能性も十分あります。
そして、全選手が勝つことだけを目標にレースに出ているので簡単に勝てるような世界ではないですし、勝つことができずに一定以下の成績だった場合は、組織側から「引退勧告」を告げられることもある、とても厳しい世界です。
2021年前期も多くの選手が引退を決断
競艇では毎年数十名の選手がいろいろな理由で引退を決断し、競艇場から去っています。
2021年前期も多くの競艇選手が引退を決断し、現役生活に別れを告げました。
女性選手は出産や子育てによる引退が多い
2021年前期、引退を決めた選手のなかには女性選手も複数名いますが、女性選手の場合、結婚や出産、そして子育てといった生活面の大きな変化によって選手として現役を続けることが難しくなり、引退を決断したというケースが多いです。
女性選手は同じ職業である男性の競艇選手と結婚することが多く、縁の下の力持ちとして旦那さんを支えていくことになるでしょう。
同じ競技を経験したということもあり、良きパートナーとなることは間違いありません。
2021年度引退を決めた主な競艇選手
本項目では結婚や出産といった理由以外で引退を決断した選手をそれぞれ簡単ではありますが紹介します。
なかには所属支部を代表する選手も含まれており、長年競艇を愛しているファンからするとそういった選手の引退はさみしい限りなのではないでしょうか。
藤井定美選手
(出典: ボートナビ報知)
藤井定美選手は、先ほど紹介した現役最高齢選手である高橋清一選手に匹敵するほどの大ベテラン選手で、選手生活は45年以上、2019年には通算10,000走を達成し、高橋選手と共に表彰されていました。
2021年3月に浜名湖競艇場で開催されたレースに出走したのを最後に現役を引退することとなり、最後のレースを見事イン逃げからの勝利で飾っています。
宮地孝四朗選手
宮地孝四朗選手はB1級選手で、お兄さんは同じボートレーサーの宮地秀祈選手です。
選手生活約28年間のなかでA級に上がることは残念ながらありませんでしたが、G1レースには複数回出走しており、舟券に絡んだこともあります。
2021年1月に若松競艇場で開催されたレースを最後に引退することになりましたが、最後のレースでは5コースからという枠の不利も重なり、残念ながら勝利とはなりませんでした。
潮田浩子選手
(出典: ボートナビ報知)
潮田浩子選手は女性選手としては30年以上のキャリアを誇っている大ベテラン選手でしたが、残念ながら2021年前期をもってその選手生活に幕をおろすことになりました。
2019年には転覆によって大けがを負い、1年半以上も休場するという苦難に見舞われましたが、2020年12月には復帰しています。
女性選手限定のG1レースである「レディースチャンピオン」に1999年、2000年の2年連続で出場しました。
ラストランは地元である三国競艇場で2021年3月に開催されたレースで、3コースからの出走でしたが、惜しくも5着に終わりました。
彦坂径冶選手
(出典: ボートナビ報知)
彦坂径冶選手は5年間という短いキャリアで選手人生に幕を下すことになりました。
理由ははっきりとはしていませんが、これだけ短い選手人生で引退するのは、恐らく通算勝率が「引退勧告」の条件に当てはまってしまうほど低いからではないかと考えられます。
ラストランは常滑競艇場にて3月に開催されたレースで、6コースからの出走ということもあってか、最下位という結果に終わりました。
引退後はなんと名古屋にサンドイッチ屋をオープンさせ、飲食業をスタートさせています。
原義昭選手
(出典: ボートナビ報知)
原義昭選手は名だたる有名選手が続出した「51期生」であり、岡山支部イーグル会の中核メンバーとして、岡山支部を盛り上げるのに尽力した選手です。
G1レースに優出8回、SGレースにも1回優出しているという輝かしい成績を残しました。
ラストランは2021年4月に宮島競艇場で開催されたレースで、3コースからの出走で4着に終わっています。
大古場貴選手
(出典: ボートナビ報知)
大古場貴選手は佐賀支部所属のB2級選手で、奥様は同じく元競艇選手だった太田雅美さんです。
優勝経験は残念ながらありませんが、優出は7回経験しています。
地元佐賀県にある唐津競艇場で2021年4月に開催されたレースがラストランとなり、このレースでは1コースからの逃げを決め、見事勝利で現役引退に花を添えました。
幸本誠選手
(出典: ボートナビ報知)
幸本誠選手は広島支部所属の選手で、先に紹介した藤井選手や塚本選手には及ばないものの、選手生活40年以上の大ベテラン選手のひとりです。
長年競艇の舟券を買い続けているファンのなかには幸本選手の舟券を買ったことがあるという人も多いのではないでしょうか。
2021年4月に地元宮島競艇場で開催されたレースがラストランとなりましたが、1コースからの出走で見事逃げを決め、最後のレースを勝利で終えることとなりました。
鈴木諒祐選手
(出典: ボートナビ報知)
鈴木諒祐選手は静岡支部所属のB1級選手です。
優出は1回経験していますが、優勝経験はなしと、なかなか思うような成績をあげることが出来ませんでした。
ラストランは2021年4月に平和島で開催されたレースで、3コースからの出走ながら3着と舟券に絡む走りを見せました。
鈴木唯由選手
(出典: ボートナビ報知)
鈴木唯由選手は群馬支部のB1級選手です。
B1級選手ではありますが、優勝回数は26回を数え、SGレースにも出走経験がある実績を持つ選手でした。
ラストランは2021年6月に平和島で開催されるレースを予定していたのですが、なんと時計台が故障したことによってレース開催が不可能となってしまい、3日目以降が打ち切りになってしまうというアクシデントに見舞われてしまい、最終節まで出走することが出来なくなってしまいました。
そのため、2日目に出走したレースが実質ラストランとなり、この時は4コースからの出走で最下位に敗れてしまいました。
松本真吾選手
(出典: ボートナビ報知)
松本真吾選手は徳島支部所属のB1級選手でした。
ご両親が地元である鳴門競艇場で働いていたため、地元でなかなか出走することが出来ず、実際に出走できたのは1991年のたった1回のみです。
ちなみにこの時は優出するという活躍をしました。
ラストランも残念ながら地元鳴門競艇場でとはならず、2021年6月に尼崎競艇場で開催されたレースが最後となっています。
このレースでは2コースから出走、3着に入着し、見事舟券に絡む活躍を見せました。
阪本聖秀選手
(出典: ボートナビ報知)
阪本聖秀選手は大阪支部のB1級選手で、トップレーサーではありませんでしたが、「さかぼん」の愛称で古くからの競艇ファンからはとても人気の高い選手でした。
ラストランはびわこ競艇場で2021年6月に開催されたレースで、5コースからという不利も祟ってか、最下位に終わってしまっています。
松下潤選手
(出典: ボートナビ報知)
松下潤選手はお父さんが元ボートレーサーの松下豊治さんです。
松下豊治さんはG1レース出場経験はありませんが、松下潤選手はG1レースに10回出走経験があり、成績面では完全にお父さん越えを果たしたといって良いでしょう。
ラストランは2021年6月に尼崎競艇場で開催されたレースとなっており、この時は2コースからの出走で見事2着に入賞しています。
上野励選手
(出典: ボートナビ報知)
上野励選手は福岡支部所属のB2級選手です。
上野選手はデビューが2014年なので、選手生活はわずか7年間という短さでした。
B2級というランクを見ても恐らく彦坂選手と同じく「引退勧告」に引っかかってしまうような成績になってしまったことが引退を決める要因になったのだろうと思われます。
ところが、引退を決めた節では自身のキャリア初となる「準優出」を決めており、引退が決まってもしっかりと全力で競艇に取り組んでいた選手だということが成績からも見て取れます。
ラストランは2021年6月に宮島競艇場で開催されたレースで、4コースからのスタートながら3着と、舟券に絡む走りを見せました。
引退後のセカンドキャリアについて
紹介した選手の数を見てもわかるように、たった1期でもたくさんの選手が引退を決断することが分かります。
しかし2021年前期が特別多いというわけではなく、毎期同数程度の選手がさまざまな理由で引退を決断しているのです。
引退後の選手はどのようなセカンドキャリアを歩んでいくのでしょうか。
SGレースの常連のような超一流選手の場合、獲得賞金が多いということもあって、現役時代のときにはすでに何らかの事業を展開している選手が大部分で、引退後は主にその事業を運営し、悠々自適な生活を送っています。
また、有名選手ということもあって、引退後も各競艇場で開催されるトークショーに出演したり、ある選手は解説者として競艇に携わったりと、選択肢は幅広いです。
しかし引退する競艇選手全員がそのような一流選手ではありません。
大部分はそういった将来が約束されていないような人たちばかりで、自分でセカンドキャリアを見つける必要があります。
競艇の経験が豊富ということもあって、引退後は競艇場のガードマンや警備員といった裏方に回る人も居ますし、まったく別の職業に就く人も多いです。
両親の農地を引き継ぐ、または独学で農業を学び、農家に転身したという選手もいます。
まとめ
競艇選手の選手生命はほかのスポーツ選手と比べるととても長く、実際に50代でもトップレベルの活躍をしている選手がいますし、60代さらに70代になっても現役を続けている選手もいます。
しかしながら惰性で続けられるほど甘い世界ではありません。
競艇では勝ち続けなければ収入が少ないですし、一定以下の勝率しか維持できない選手に対しては、組織側から「引退勧告」がなされるような厳しい世界です。
毎年多くの新人選手がプロのボートレーサーとしてデビューしますが、それと同じくらい多くの選手がさまざまな理由で引退を決断し、引退をします。
2021年前期も実に多くの選手が引退をしました。
最後のレースに関しては、引退に花を添えるといったことにはなっておらず、見事勝利で終えた選手もいれば、全く振るわず最下位に終わってしまった選手も多いです。
たとえどのような状況であっても、勝負はあくまでもフェアに、ということなのでしょう。
競艇選手の引退後のセカンドキャリアについてですが、A1級選手のように、SGレースに常に出走しているような選手の場合、毎年数千万円、ときには年間1億円以上稼ぐ選手もいて、現役時代からすでに事業を展開していたり不動産を所有しているので、引退後はその運営をメインとする選手が多いです。
一方、多くの一般選手は非力でセカンドキャリアを見つけていかなければなりません。
競艇場で裏方の仕事をしたり、飲食店を経営したり、なかには農業をはじめたりと、競艇選手のセカンドキャリアは多岐に渡ります。