クイーンズクライマックスとは?歴代優勝者を紹介!
競馬におけるその年の総決算ともいえるレースといえば「有馬記念」でしょう。
有馬記念はファン投票によって出走馬が選ばれるので、このレースに出走している馬たちというのはまさしくその年を代表する馬たちといえます。
そして、競艇におけるその年の総決算ともいえるレースが「賞金王決定戦」です。
賞金王決定戦はその年に多く賞金を獲得した選手が出場できるという単純かつ難しいルールであり、正にその年の王者を決めるレースといってよいでしょう。
しかし年末に開催されるレースは賞金王決定戦だけではありません。
もうひとつ、「クイーンズクライマックス」というレースが同じ日に開催されます。
本記事ではクイーンズクライマックスについて概要と歴代優勝者を紹介していきま
クイーンズクライマックスとは?
(引用元:youtube)
クイーンズクライマックスは競艇の重賞競走のひとつで、現在は「プレミアムG1」という、G1レースよりはひとつ格上、SGレースよりはひとつ格下のレースとなっています。
女性レーサーのみで開催されるレースであり、女性レーサーのみで開催されるG1レースとしては「レディースチャンピオン」に次いで二つ目となります。
クイーンズクライマックスが設立されたのは2012年で、競艇のG1レース以上が新設されるのは2000年に「名人戦」が新設されて以来12年ぶり、21世紀に入ってからは初めてです。
創設当初は「賞金女王決定戦競走」という名称だったのですが、2014年の住之江競艇場での開催時に名称を現在の「クイーンズクライマックス」と改めました。
そしてこの時にレースグレードがG1から現在のプレミアムG1へと格上げされ、開催日程も12月中旬ごろから大晦日を決勝とするという現在のスケジュールに変更され、現在に至ります。
また、クイーンズクライマックスが行われる同じ競艇場では12月末にクイーンズクライマックスの前哨戦となる「クライマックスシリーズ戦」も開催されます。
クライマックスシリーズ戦の格付けはG3であり、優勝者には賞金100万円が進呈されますが、それ以上に夏に開催されるレデイ―スチャンピオンの優先出走権を得られるというのが大きな魅力でしょう。
2022年と2023年の開催日程
(引用元:ボートレース住之江QUEENS CLIMAX)
クイーンズクライマックスの2022年と2023年の開催日程について確認しましょう。
2022年クイーンズクライマックスは住之江競艇場で開催され、シリーズ戦が12月26日から31日まで、クイーンズクライマックスが12月28日から31日までとなっています。
翌2023年は多摩川競艇場で開催することが決まっており、日程はシリーズ戦、クイーンズクライマックス共に2022年とまったく同じです。
歴代優勝者一覧
初開催の2012年から第10回大会の2021年までの歴代優勝者を一覧にしました。
回数 | 開催場 | 選手名 | 枠番 | 決まり手 |
1 | 大村 | 三浦永理 | 3 | まくり差し |
2 | 芦屋 | 平山智佳 | 1 | 逃げ |
3 | 住之江 | 日高逸子 | 1 | 逃げ |
4 | 福岡 | 川野芽唯 | 4 | 恵まれ |
5 | 平和島 | 松本晶恵 | 1 | 逃げ |
6 | 大村 | 遠藤エミ | 1 | 逃げ |
7 | 平和島 | 松本晶恵 | 1 | 逃げ |
8 | 徳山 | 今井美亜 | 3 | まくり差し |
9 | 浜名湖 | 平高奈菜 | 1 | 逃げ |
10 | 福岡 | 田口節子 | 2 | まくり |
過去10年間のデータを見ていくと、競艇のセオリー通り1コースの選手がそのまま逃げ切るという勝ち方がもっとも多くなっています。
決定戦は予選の成績が良い順に内の枠を獲得できるので、1枠からスタートする選手はその時点で最も調子が良い選手です。
さらにクイーンズクライマックスに出場する選手は女子選手でも最上位クラスの選手だけであり、有利な1枠を獲得すればその優位性を生かすことはたやすいでしょう。
第4回大会は恵まれとなっていますが、1号艇の選手がフライングとなった事による繰り上がり勝利です。
女性選手の頂点に立った女王達を簡単に紹介
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
クイーンズクライマックスを制した選手たちはいずれも女性選手限定の重賞レースの常連であり、選手のなかにSGレースに出走した経験があるなど、どの選手も女性選手という枠にとらわれない活躍をしています。
本項目ではクイーンズクライマックスを制した歴代女王たちを簡単に紹介しましょう。
三浦永理
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
記念すべき第1回大会を制した三浦永理選手は巧みなターンに定評があり、「テクニカルエリー」という異名を持っています。
2002年に浜名湖競艇場でデビューすると翌年に初勝利、2007年に初優勝を決めると、翌年にはG1レースで初勝利、2010年にはSGレースである「賞金王シリーズ戦」にも出走、最終日にSGレース初勝利に輝いています。
平山智佳
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
平山選手はデビュー1年目でB2級からB1級への昇格を決めるという驚異的な成績をあげ、「20年に1人の選手」と評されました。
そして、その評価に恥じない活躍をそれ以降も見せつけます。
2013年の賞金女王戦覇者ですが、その前に男女混合戦である周年記念競走も制覇しました。
更にその後2度の産休を挟んだにも関わらず、2020年にはレディースチャンピオンも制覇、今も第一線で活躍している女性選手です。
日高逸子
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
日高選手は2022年時点で女性選手としては最年長であり、「グレートマザー」の異名を持つレジェンド選手です。
1989年と2005年に女子王座決定戦を制しており、2008年10月には通算1,500勝を達成しました。
そして2014年、キャリア29年目であるにも関わらず、女性選手賞金ランキング上位に入りクイーンズクライマックスに出場、1号艇での鮮やかな逃げを決めて見事勝利、その年の賞金女王にも輝きました。
2015年には女性選手としては2人目となる通算2,000勝を達成しています。
川野芽唯
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
川野選手は2007年に競艇選手としてデビュー、デビューから初勝利まで183戦ととても長い時間を要しましたが、それから初優勝までは僅か1年しかかかっていません。
1度勝利した事で勝ちパターンが見えてきたのでしょう。
そして2015年レディースチャンピオンでG1レース初勝利を達成すると、その勢いのままクイーンズクライマックスにも出場、運も味方にして見事優勝しました。
松本晶恵
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
松本選手は2006年にデビューし、初勝利までには約9ヶ月を要しました。
それから約1年半後に初優出を決めたのですが、そこから初優勝までが非常に長い道のりでした。
2010年には女子王座決定戦に初出場して初勝利するなど、実力は充分あるのにも関わらず、11度優出を決めるも決定戦では勝ちきれず悔しい日々を送っていました。
しかし2012年6月、12回目の挑戦にてついに初優勝を達成します。
そして2015年に7点オーバーという素晴らしい成績で終え、翌2016年の賞金女王決定戦に出場、初優勝を決めるとともに初の賞金女王にも輝きました。
更に2018年のクイーンズクライマックスでも優勝、現時点でクイーンズクライマックスを2度以上優勝しているのは松本選手のみです。
遠藤エミ
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
遠藤選手は元競艇選手であるお姉さんの勧めで競艇選手を目指し、2008年にデビューします。
それから僅か4ヶ月後に初勝利を達成、1年後には初優出を決めるものの、先に紹介した松本選手同様初優勝まではとても苦労し、11回目の挑戦でようやく初優勝に輝きました。
その後2015年にはボートレースメモリアルに出場、これがSGレース初出場でしたが、このレースで初勝利を決め、勝負強さを発揮、2017年に賞金女王決定戦を制するのですが、この時全レースを1着でゴール、完全優勝の偉業を達成、賞金女王にも輝きました。
そして2022年、女性選手として初めてSGレースである「ボートレースクラシック」で優勝します。
女性選手初のSG戦制覇を達成した遠藤選手は競艇が続く限り語り継がれる選手の一人となるでしょう。
今井美亜
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
今井選手は2010年5月にデビュー、それから約7か月後のレースで初勝利を達成、2年後の2012年に初優出を決めましたが、そこから今井選手もなかなか優勝まではたどり着けず、初優勝するまでは初優出から2年の歳月を要しました。
以降は着実に勝ち星を積み重ねていったのですが、重要なレースで痛恨のフライングを2度も喫し、そこから上になかなか上がることができませんでした。
2014年には女子王座決定戦の準優勝戦にてコンマ1秒のフライングを犯してしまったため優勝の機会を逃し、2018年にもG3レースの優勝戦において同じくコンマ1秒のフライングを犯し、あともう一息で優勝を手にすることができないばかりか、以降半年間G1レースに出走できなくなってしまいます。
しかしその1年後、クイーンズクライマックスで3コースから会心のまくり差しを決めて優勝、念願のG1レース勝利を達成しました。
平高奈菜
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
平高選手は記念すべき第100期生として2007年にデビューしましたが、失格となってしまい、かなりほろ苦いデビューとなってしまいました。
しかしデビューから4か月後には初勝利を挙げその2年後には優出、翌年の一般戦で初優勝を達成しました。
翌年にはボートレースオールスターに出走、すると第1レースでいきなりSGレース初勝利を決めてここぞというときの勝負強さを発揮、2014年にはクイーンズクライマックスでG1レース初優出、決勝戦でも2着となる活躍を見せました。
ところが2018年に同時期に3本のフライングを犯してしまった結果、180日間レースに出走できなくなり、事故率が規定をオーバーしたため最下級であるB2級にまで陥落してしまいましたがすぐにA1級へ復帰、そして2020年大晦日に開催されたクイーンズクライマックスでG1レース初優勝、さらにこの年の賞金女王にも輝きます。
そして2022年ボートレースオールスターにおいて女性選手として史上4人目となるSGレース優出を達成という快挙を成し遂げました。
田口節子
(引用元:ボートレース住之江クイーンズクライマックスHP)
田口選手はデビュー戦でいきなり2着に入る活躍を見せ、デビューからわずか1か月後に初勝利と新人らしからぬスタートダッシュを見せました。
ですが、そこから初優勝までは4年と苦労しています。
その後もG1レース初優出やSGレース初出場を決めるなど着実に女性トップレーサーへの階段を登っていきますが、ケガにより2006年末から2007年初めまで長期欠場をしてしまいます。
結果、出走不足で2007年後期はB級に降格してしまいました。
しかし2008年後期にA1級に復帰、2010年前期は7.81という驚異的な勝率をマークしています。
その後2011年と2012年のレディースチャンピオンを連覇、2021年9月には福岡競艇場で優勝を決め、女性選手として初めて全24場制覇を達成、その勢いのまま年末のクイーンズクライマックスも制するなど、大活躍の1年となりました。
シリーズ戦優勝者一覧
最後にクライマックスシリーズ戦の優勝者を紹介します。
回数 | 開催場 | 選手名 |
1 | 大村 | 池田浩美 |
2 | 芦屋 | 山下友貴 |
3 | 住之江 | 中谷朋子 |
4 | 福岡 | 平山智加 |
5 | 平和島 | 川野芽唯 |
6 | 大村 | 廣中智紗衣 |
7 | 平和島 | 塩崎桐加 |
8 | 徳山 | 平田さやか |
9 | 浜名湖 | 海野ゆかり |
10 | 福岡 | 松尾夏海 |
まとめ
クイーンズクライマックスは元は「賞金女王決定戦」という名称であり、女性限定の「グランプリレース」といった格付けのレースとなっています。
したがってレースの格付けもプレミアムG1と、G1レースよりもひとつ各が上のレースです。
開催日程などはグランプリレースを踏襲していて、レディースクライマックスとはべつに「クライマックスシリーズ戦」が同じ競艇場で開催されます。
開催日程は創設時は12月中旬だったのですが、現在はグランプリレースと同じく大晦日に決勝が行われるように変更となりました。
過去の優勝枠や決まり手を見ると、競艇のセオリー通り1コースからの逃げによる勝利が全体の6割を占めています。
クイーンズクライマックスの優勝決定戦は予選の成績優秀者から順に内枠に入るため、1枠の選手は最も成績が良い選手ですし、クイーンズクライマックスに出走する選手はその年のトップ選手であるため、有利な1枠からのスタートとなればよほどのことがない限り負けることはないのは当然といえば当然でしょう。
今年のクイーンズクライマックスは12月28日から31日までの日程(シリーズ戦は12月26日から)で住之江競艇場で開催され、翌2023年のクイーンズクライマックスもすでに多摩川競艇場で2022年と同じ日程で開催されることが決定しています。
今年は新たな女王が誕生するのか、はたまた過去制覇した選手の返り咲きや田口選手が初の連覇達成となるか、当日を楽しみに待つ事にしましょう。