競艇の周回展示とは?見方と予想への活かし方を徹底解説
競艇は着順を予想することで配当金を獲得できるギャンブルですが、運や勘で着順を的中させられるような競技ではありません。
的中させるためには、「選手の成績や調子」「モーターの性能」や「競艇場の特徴」、そして「その日の天候」などさまざまなデータを収集してどのようにレースが進行していくかを予想する必要があります。
しかし、これらの情報はネットや出走表などで得られるということもあり、なかにはデータのみを収集してレース展開を予想する人もいます。
しかしそれだけでは不十分です。
競艇では展示航走といって、レース本番前に出場する選手たちが実戦さながらにコースを走行してくれます。
この展示航走をしっかりとチェックすることで、予想の精度をより高めることができます。
本記事では展示航走のひとつ、周回展示について解説します。
周回展示とは?
冒頭で解説した通り、競艇では実際にレースをする前に選手の自己紹介も兼ねてコース内を試走します。
これを「展示航走」といいますが、展示航走は大きく「スタート航走」と、今回解説する「周回展示」とに分かれています。
展示航走では出走番号(舟番)の順に、1人ずつ2周展示航走をおこないます。
私たち一般人は、普段選手たちが練習している姿を見ることはできないので、周回展示を含めた展示航走は、レース前に実際に選手たちがコースを走行するところを見ることができる唯一の機会です。
予想をする際に参考となる情報をたくさん得られるので、展示航走はなるべく事前にチェックするようにしましょう。
参考 競艇の展示航走とは?流れと予想に活用できる見方について解説周回展示を見ると分かること
スタート展示では、選手のスタートタイミングがどれだけ正確かや、「行き足」というモーターの加速度合いをチェックすることができます。
いっぽう周回展示の場合は、実際にコースを周回する艇をチェックすることになります。
競艇でもっとも重要とされるターンや、ターンが終わってからの直線での伸びを確認することを重点に見るようにすると、たくさんの情報を得られるでしょう。
周回展示で見るべきタイム
まだ競艇をはじめて間もない人は、実際にボートが走行しているところを見ても、そのボートや選手の調子が良いかどうかはなかなか判別できないでしょう。
実際に走行しているのを見ても調子の良し悪しが分からないという人は、周回展示後に掲示されるタイムを確認しましょう。
周回展示が終了した後は、「展示タイム」と「周り足タイム」という時間が掲示されます。
それぞれの選手の展示タイムや周り足タイムを比較すると、より選手やモーターの調子が具体的に把握できるでしょう。
直線のタイム
「展示タイム」とは、簡単にいえばボートが全速力である一定の距離を走行したときにどれくらいかかっているかを計測したものです。
展示タイムを計測する場所は全国の競艇場で共通となっていて、2周目のバックストレッチ(スタンド席から遠いほうの水面)真ん中あたりから、第2ターンマークまでのタイムを計測します。
2周目第2ターンマークを通過すると、そのまま選手たちはピットに戻って本番のレース開始を待つ形になるので、この区間はモーターの調子を確認する意味も含めて全速力で選手たちは走ります。
この展示タイムを見ることで、その選手の艇が積んでいるモーターの「伸び足」を確認できます。
伸び足が良い艇は、ターンが終わってからしっかり加速してくれるので、その後のレースを有利に展開してくれるでしょう。
ターン開始から終了までのタイム
ターンが始まってから、終わるまでのタイムを計測したものが「周り足タイム」です。
現在の競艇では、1周目第1ターンマークでの攻防がもっとも重要となっていて、ここでトップになった艇は、そのままゴールするまで1着をキープすることがほとんどです。
したがって、先ほどの展示タイムよりも、この周り足タイムのほうを重要視したほうが良いかもしれません。
周り足タイムがほかの選手よりも早いということは、それだけターンマークに沿って小さなターンを回れているということになります。
小さくターンが回れているということは、船体も安定しているという証拠なので、乗り心地のよい艇になっているという判断ができます。
逆に周り足タイムがほかの選手よりも悪いということは、ターンマークから外れて回ってしまっているということになります。
特にインコースの艇の周り足タイムが悪いときは要注意です。
艇が安定しておらず、乗り心地が悪いということになるので思い切ったレース運びが出来ないですし、ほかの周り足タイムが良い艇にインから差される恐れもあります。
とはいえ、周り足タイムは選手の技術力も大きく影響するタイムです。
一流選手であれば、モーターの調子がそれほど良くなくても技術力である程度のタイムは出せるようになっています。
周り足タイムがあまり良くない選手は、技術力もそれほど高くないという判断をしても間違いではないでしょう。
周回展示中のチェックポイント
本項目では、はじめて周回展示を見るという人でもしっかりと情報を得られるように、周回展示で見るべきポイントについて解説していきます。
周回展示をみるときは、どのような周回をしている艇が理想なのかを頭に入れてから実際に走行する艇をチェックするとより比較しやすいでしょう。
理想の回り方をする艇というのは、以下にまとめたような走りができている艇です。
・旋回半径ができるだけ小さい状態でターンを回る
・ターン後にすぐに加速ができている
この3つのチェックポイントを見てもわかる通り、ターン前からターン終了までが周回展示でもっとも注目すべき部分となっています。
トップスピードでターンに進入しているか
まず、艇がターン手前まで差し掛かってきたら、全速でターンに突入しているかを確認しましょう。
現在の競艇では、ターン部分でも極力スピードを落とさずに回る「全速ターン」が主流です。
そのため、全速でターンに進入できない艇はターン付近の攻防で大きく不利になります。
特に1号艇がしっかりと全速でターンに進入できている場合は、そのまま逃げが決まる可能性が高いので、競艇では絶対的に有利とされる1号艇を軸にしておいたほうがよいでしょう。
ターンするとき外側に膨らんでいないか
ターンの進入を確認したら、続いてターンの回り方をチェックしましょう。
ここで見るのは、ターンマークに出来るだけ沿ってターンが回れているかです。
小さな半径でターンが回れていると、最短距離でターンを回れているということになり、ターンマークでの攻防ではとても有利になります。
さらにインコースの艇の場合は、ほかの艇に内側に入られることを防止できるため、差しを決められることも少ないです。
船体は安定しているか
船体が安定しているかどうかは、もっとも目視で確認しやすいのではないでしょうか。
ほかの艇と比べて、もし波の上でバタバタしているような艇を見つけたら要注意です。
船体が安定していない艇というのはスピードを出してターンを回る際にバランスを崩してしまいやすいので、場合によっては転覆する恐れがあります。
転覆してしまうとそのレースでは失格になってしまいますし、さらにモーターが濡れてしまうと大幅に整備をしなければならなくなり、モーターの調子が大きく変わってしまいます。
転覆すると多大なペナルティを抱えることになるので、船体が安定していないと判断した場合、選手は思い切ったレースをしてくれない可能性が高いです。
ターンが終わってからしっかり加速できているか
ターンが終わってからすぐに加速できているかどうかは、選手の技術力よりも、どちらかといえばモーターの調子を確認するといった意味合いが強いです。
ターンが終わってからすぐに加速できている場合は、モーターのパワーがある証拠なので、レース本番でも活躍が期待できるでしょう。
周回展示を予想に活かすための考え方
周回展示は、周回している部分全体を見ると大変なので、初心者はとにかくターン部分をどのように走行しているかにポイントを絞ってチェックしたほうがよいでしょう。
競艇ではターン部分での攻防で勝敗が決するといっても過言ではありません。
全速力でターンに進入できていて、ターンマークから極力離れずにターンを回り、ターンがおわってから すぐにトップスピードで加速できている艇は、本番でも活躍が期待できる艇です。
特に1号艇がそのような走りが出来ているのであれば、1着はかなり堅いと見てよいでしょう。
船体の安定度合いについては、波がたまたま荒れていたためという可能性もあるので、両方のターンで船体がどうなっているかを確認しましょう。
もし両方のターンで船体がバタついているようであれば、その選手の走りは消極的なものとなる可能性が高いです。
特にアウトコースの艇の船体が安定していないのであれば、切ってしまってもよいでしょう。
【おまけ】周回展示のBGM
周回展示ではBGMが流されているのですが、実はこのBGMは、各競艇場でそれぞれ違っているので、聞き比べてみるというのも競艇の違った楽しみ方のひとつといえます。
いくつかの競艇場の周回展示BGMが聞ける動画のリンク先を貼り付けてあるので、興味がある人は聞き比べてみてはどうでしょうか。
まるかめ競艇場 周回展示BGM
江戸川競艇 周回展示BGM
ボートレース周回展示BGM集
まとめ
周回展示とは、実際にレースを始める前に選手たちがコース内を走行する姿を観覧できる、「展示航走」のひとつです。
周回展示では選手はコース内を2周し、周回展示終了後はターン開始から終了までのタイムを計測した「周り足タイム」と、バックストレッチから第2ターンマークまでを全速で走った時の時間である「展示タイム」が掲示されます。
周回展示では、特にターン部分の艇の状態をしっかり観察しましょう。
全速でターンに進入し、出来るだけ小さな周回半径でターンを回り、ターンが終わったらすぐに加速できている艇が理想です。
理想に近い走りができている艇は本番でも大活躍が期待できますし、1号艇が理想の走りにもっとも近いのであれば、買い目の軸にして問題ありません。
いっぽう船体がバタついてターンが大きく膨らんでしまっている艇は、船体そのものが不安定ということもあり、積極的なレース展開ができないため本番レースでは大きく後れを取ることでしょう。
もしアウトコースの艇の船体が不安定なのであれば、もともとアウトコースの艇は上位にはいることも難しいということもあり、予想の際は買い目から完全に外してしまっても構いません。