イン屋の代表選手を紹介!この名前を見かけたら要注意!
競艇の舟券の予想をする際に必ず確認することになるのが「出走表」です。
出走表には選手の成績など予想をするのに必要となる情報が掲載されていますが、その中でも特に「枠順」には注目しておかなければなりません。
競艇はほかの公営競技とは異なり枠の有利不利が非常に大きく、どの選手がどの枠から出走するかで買い目が大きく変わってくるでしょう。
ところが競艇はスタートラインに到着するまでスタート位置を自由に決めることができる競技です。
選手のなかには始めに割り振られた枠順を完全に無視して有利である1コースから3コースへの進入を常に試みる人たちが居ます。
本記事では「イン屋」と呼ばれている選手について詳しく解説していきます。
「イン屋」とは?
競艇は最大6艇で争われるスポーツで、1コースから3コースまでを「インコース」、4コースから6コースまでを「アウトコース」と呼んでいます。
「イン屋」とは枠順が何番であっても1コースから3コースまでのいわゆる「インコース」からのスタートに徹底的にこだわる競艇選手たちのことを意味します。
イン屋の選手たちは待機行動の際に「前付け」という動きをすることが多いです。
前付けというのは待機行動の際に大きく外を回りながら内側の艇よりもさらにインコースに入ろうとする行動で、イン屋にこの動きをされるとせっかく枠順振り分けで1号艇や2号艇に乗ることとなっても、イン屋の選手よりも外側を走らざるを得なくなります。
しかしながら前付けはインコースで走ることができるというメリットだけではなく、デメリットもある行動です。
前付けをすることでほかの選手たちよりもスタート位置がスタートラインに近くなってしまうため、スタート後思うように加速することができないですし、タイミングも合わせづらいです。
そのため、イン屋で好成績を維持し続けている選手というのはスタートが飛び抜けて上手い選手だと言ってよいでしょう。
イン屋が出走しているレースに初心者は手を出さないほうがよい
イン屋が出走しているレースは最初の枠順からはまるで異なる枠順でのスタートになります。
競艇は1コースの勝率が50パーセント以上と圧倒的で、そのほかのコースも内側であればあるほど勝率が高いです。
したがって、誰がどの枠で走るかは予想をする際にとても重要な判断要素となります。
通常ははじめに決められた枠順通りに選手たちは進入するので、出走表の枠順をそのまま予想に活用できますが、イン屋が居るとどの選手がどの枠順になるかが分かりません。
こうなると競艇初心者が予想をすることは大変困難でしょう。
イン屋が出走しているレースの場合、初心者はレースそのものを見送ったほうが無難です。
イン屋の選手は10年後は存在しなくなっている可能性が高い
競艇においてインコースであればあるほど有利であるということは、レースに出ている選手であれば私たち以上に熟知していることでしょう。
ところがイン屋の選手がインコースに入ることを主張すると、ある程度抵抗はするものの最終的にはインコースを譲り、イン屋の選手よりも外側のコースからのスタートを選んでしまいます。
これは一体なぜなのでしょうか。
私たちは選手ではないので本当の心理は分かりませんが、考えられる理由は大きくふたつあります。
ひとつはイン屋とポジション争いをすればするほど自分自身が不利になるためです。
イン屋の選手の動きに逆らい続けているとスタート位置がどんどんスタートラインに近づきます。
スタートラインに近づけば思うようにスピードが出せなくなり、ベストなスタートができなくなるでしょう。
いっぽうイン屋の選手は普段からそのような状況のスタートに慣れているため、普通の選手ほどの影響はありません。
イン屋の選手がインコースを取ることをあきらめることはほぼ無いので、自分が勝つことを考えればどこかで諦めざるを得ないのです。
そしてもうひとつ理由がありますが、恐らくこれがイン屋にインコースを譲らざるを得ない最大の理由でしょう。
現在イン屋として活躍している選手ほぼ全員マスターズチャンピオンの出走資格を与えられているほどのベテラン選手です。
競艇はほかの公営競技を比べても上下関係がかなり大きく影響するスポーツであり、目上の人に逆らうとさまざまな部分で不利になります。
真剣勝負の世界ではふさわしくない風習ですが、ベテラン選手が多いイン屋がポジションを主張すると、後輩選手はその座を譲らざるを得ないのです。
しかし逆に言えば現在スター選手として活躍している選手のなかにイン屋は存在しないということになります。
すぐに、というわけではありませんが、おそらく10年後くらいには「イン屋」と呼ばれる選手は存在しなくなるでしょう。
イン屋の代表選手を紹介!
イン屋の選手のなかでも特に第一線級の活躍を見せている選手を本項目では紹介します。
ここに紹介した選手の名前を見かけたら、その選手がインに入ることを想定した予想をするか、レースそのものを見送るか、どちらかの対策をとったほうがよいでしょう。
深川真二
(引用元:BOATRACEオフィシャルウェブサイト)
深川選手は日本モーターボート選手会会長という重役を担いながら、自身も時折レースに出走しており、現在の競艇界に無くてはならない存在です。
オールドファンからは「深イン真二」と呼ばれるほどインコースからのスタートにこだわる選手で、どれだけスタートラインから近い位置からのスタートであってもスタートを合わせ、3着以内に入ってくるという類まれなるスタートテクニックを持っています。
西島義則
(引用元:BOATRACEオフィシャルウェブサイト)
通称「インの鬼」と呼ばれている西島選手は、かつては現役最強の名をほしいままにしていました。
インコースにこだわるようになった理由は、インコースからスタートを決めて最高のターンをすれば負けることはないだろう、という極めて合理的なものです。
1990年代から2000年前半は手が付けられないほどの強さを見せていて、2000年に達成したSGレース3連覇は長い競艇の歴史において西島選手を含めても2名しか達成していないほどの偉業です。
怪我の影響もあって、現在は以前ほどの走りは出来てはいませんが、それでもA1級をずっと維持し続けており、出走したレースでは必ず注目すべき存在です。
鈴木幸夫
(引用元:BOATRACEオフィシャルウェブサイト)
鈴木幸夫選手は3コースより外側からのスタートはほぼないといっても良いほどインコースからのスタートにこだわっている選手であり、還暦を超えている現在においてもA1級を維持し続けている勝率を上げているのは驚異的のひとことです。
流石に現役トップ選手と比べると競り合いでは負けてしまいますが、鈴木選手が出走した場合、インコースにこだわって抵抗し続ける選手はまず居ないでしょう。
そのためレースの番組構成次第では波乱を巻き起こす存在になることもあります。
西田靖
(引用元:BOATRACEオフィシャルウェブサイト)
西田選手は元々インにこだわるスタイルではなかったのですが、自前のプロペラをレースに使用しても良い「持ちペラ制度」が実施されていた時期にプロペラの整備術を磨いた結果、「スーパーピット離れ」と呼ばれるほどの驚異的なピット離れを実現させるプロペラ整備ができるようになり、イン屋へとシフトチェンジしました。
このスタイルは現在でも変わらず、アウトコースからのピット離れだった場合もほかの選手に先立ってピット離れをし、インコースを奪取してきます。
江口晁生
(引用元:BOATRACEオフィシャルウェブサイト)
江口選手はデビュー3年でSGレースに出場するなど、デビュー直後からその実力を注目されており、その注目通りの活躍を見せ続けている選手です。
そして弟子の一人に現在最強クラスのレーサーである毒島誠選手がおり、教育者としても一流といえるでしょう。
江口選手自身の実力もまだ衰え知らずであり、2020年には一流レーサーでも難しい「全24場制覇」を果たしています。
今村暢孝
(引用元:BOATRACEオフィシャルウェブサイト)
今村選手はSGレースでの優勝こそないものの、G1レースでは複数回優勝しており、実力がトップクラスであることは間違いないでしょう。
ここに紹介した多くの選手は1コースからのスタートにこだわりますが、今村選手は2コースからのスタートが多いという点でほかのイン屋とは少し違った印象です。
2コースからほかの選手よりも先だってスタートし、最初のコーナーで1コースの艇を差しきって1着になるというのが今村選手の必勝パターンとなっています。
2016年の九州地区選手権の決勝では14点もの減点があったにもかかわらず果敢に前付けをし、そのまま優勝するという勝負強さを見せつけました。
イン屋の選手は嫌われている?
イン屋の選手が出走していると出走表通りのスタートとはならないので隊列が乱れます。
そのためレースは荒れることが多いのでファン心理からすれば予想が難しくなり、特に本命を中心に舟券を買っている人からは蛇蝎のごとく嫌われている、という印象です。
一方でスタート前の駆け引きも競艇の醍醐味のひとつだと考える人の多い古くからの競艇ファンや一獲千金を狙う大穴党からは好意的な印象を持たれていて、賛否両論というのが現状でしょう。
特に準優勝戦・優勝戦は成績上位順にインコースからのスタートとなるのですが、イン屋の選手がそこに交じっていると成績順で決められた枠はお構いなしにインコースを主張、せっかく好成績を上げてインコースからのスタートを勝ち取った選手がインコースを譲らざるを得ない、という事態になるのは少々不公平な気もします。
まとめ
イン屋とは、競艇では絶対的に優位とされるインコースからのスタートに徹底的にこだわる選手たちのことを指し、イン屋の選手たちは出走表で5号艇であっても6号艇であっても必ず待機行動中に3コースより内側のコースを目指します。
元々インコースの艇に搭乗している選手はもちろん自分のコースを取られまいと抵抗するのですが、抵抗するとスタート位置が深くなって不利になりますし、イン屋の選手はベテラン選手が多いので立場上逆らうのが難しく、最終的にはイン屋の選手の思惑通りに事が運びます。
出走表とは異なるスタート位置になることからイン屋の出走するレースは荒れることが多く、本命で舟券を購入するスタイルのファンからは正直嫌われている存在です。
いずれにしても、イン屋が出走するレースは予想が難しくなるので、競艇を始めたばかりの人は舟券を購入することは見送っておいたほうがよいでしょう。
最近はインコースにこだわってレースをする選手が居ないので、遅くとも10年後ぐらいにはイン屋の現役選手は存在しなくなる可能性が高いです。