競艇の失格とは?その定義と失格の種類について解説!

競艇の失格とは?その定義と失格の種類について解説!

競艇は国が認可しているギャンブルである「公営競技」のひとつです。
スポーツでは公平そして公正なルールのもとで競技を実施しなければなりませんが、競艇をはじめとした公営競技はそこにプラスして「金銭のやり取り」が発生するため、他のスポーツとは比べ物にならないほど厳しい規則が定められています。

それに加えて競艇は時に命を失うような事故が発生する危険な競技です。
レース中、規則に違反するような行為が認められた場合は他のスポーツなどと同様に失格扱いとなります。
本記事では競艇の「失格」について、その定義と失格の種類を詳しく解説します。

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競艇の「失格の定義」について

競艇の「失格の定義」について

競艇では「スタートからゴール確定までに規則に違反した行為が認められた場合」、その選手は失格扱いになります。
規則を見て当たり前だと思う人も居るかもしれませんが、競艇は他の競技のようにスタートラインに全選手が並んで、合図で一斉にレース開始といったスタートは出来ません。

競艇ではレーススタートするまでに幾つかの流れがあり、その間に規則違反を犯した場合は失格とは見なされないのです。

失格に該当しない罰則とは?

失格に該当しない罰則とは?

失格に該当しない罰則、つまりレースがスタートする前に発生する違反行為やアクシデントは以下のようなものが該当します。

スタート事故

レーススタートする前に発生する違反行為で最も多いのがスタート事故です。
競艇のスタートは「スタート位置」という場所に待機して合図とともに加速を開始します。

そして選手は大時計の針がちょうどゼロになる瞬間にスタートラインを越えるように速度調節をしながらスタートするのですが、ゼロになる前にスタートラインを通過してしまうと「フライング」となります。

逆にレースがスタートしてから1秒経過してもスタートラインを越えられなかった場合、「出遅れ」となってレースに出る事は出来ません。
このフライングと出遅れを総称して「スタート事故」と呼んでいます。

スタート事故を起こした選手はレースに参加していない事になるのでその選手を含む舟券は全て返還対象となります。
したがって舟券を購入した側も運営側も大きな損失を被る事になるため罰則はかなり厳しいです。
具体的には一定日数斡旋停止となり、その期間中は全てのレースに出走出来なくなります。

待機行動違反

競艇選手はレース前に「ピット」と呼ばれる場所で待機していて、レース開始のファンファーレと共にピットから離れて「スタート位置」まで移動する事になるのですが、この移動中は自由に好きなコースから進入する事ができます。

現在は枠なり進入になる事が多いのですが、5号艇や6号艇の選手はそのままのコースだと大きく不利になるため、前付けを行って内側のコースに入ろうとする事もあります。

とはいえ好き勝手に動けるわけではなく、必要以上に蛇行したり他の艇の動きを妨げるような行為、更にあまりにも他の艇に近づき過ぎたりする場合は「待機行動違反」という罰則が言い渡され、その時点でレースには出走出来ません。

待機行動違反は斡旋停止といった罰則はありませんが減点対象となるので予選の順位に大きく影響します。

モーターのトラブルなどによりピットアウトできなかった

想定外のアクシデントとしか言いようがないのですが、モーターが濡れてしまったなど何からのトラブルが発生してエンジンが動かなくなってしまい、ピットアウトやスタートが出来なかったといった場合もレースに参加するのは不可能なので失格とはみなされません。

モーターによるアクシデントによってレース出走停止となった場合、明らかに選手側の調整に不備があった事を認められた場合は罰則を受ける事になりますが、そうでない場合は事故のようなものなので、そのレースへの出走は認められないものの、以降のレースにはモーターの調整が終了してレースに出走できる場合は通常通り出走することができます。

「失格」はどのように知らされてどのような処置がなされる?

「失格」はどのように知らされてどのような処置がなされる?

レース中に規程に反する行為が認められた場合、それは失格とみなされます。
ここでは競艇では失格はどのように判断され、そしてどのように知らされて失格を受けた選手にはどのような処置が成されるのかを見ていくことにしましょう。

失格の判定はレース中に成される

競艇のレース中、失格に当たると思われる行為が認められた場合はその場で失格かどうかの審議が行われます。
レース中や試合中に反則かどうかの審議が実施される点についてはほかのスポーツや公営競技と全く変わりありません。

レース後しばらくして失格に該当する行為があったとアナウンスされても誰も納得しないでしょうし、翌日の事について全員が覚えているわけがないですから、失格に該当するかの真偽を確かめることすらできないでしょう。
反則だと認められたらただちに話し合って本当に失格に当たるかどうかを決めるのは当然のことです。

失格は場内アナウンスによって周知される

競馬で騎手がレース中に違反行為を行うと、レース終了後にアナウンスが流れ、反則かどうかの審議が行われたのち、反則であれば降着や失格といった処置がとられます。

しかし競艇ではレース中に違反行為が認められると直ちに通知されます。
通知は場内アナウンスで選手やファンをはじめ来場しているすべての人たちに通達され、通知された時点で選手は失格扱いとなり、コースから外れなければなりません。

失格の場合、舟券は返還されない

スタート事故、待機行動違反など、スタート前に反則行為をして出走できなくなった場合、レース自体に参加できなかったことになるのでその選手の買い目を含んだ舟券はすべて無効となり、返還対象となります。

しかし失格の場合はレースがスタートしてからの反則行為であり、レースには参加していることになるので、失格となってしまった選手を含む舟券は不的中扱いです。
そのため当然舟券は返還されません。

選手責任かそうでないかの判定がなされる

失格となってしまった選手に対しては、その失格が選手責任かそうではないかの判定がなされます。
選手責任の判断がなされた場合は失格行為ごとに設けられている罰則がペナルティとして付与されますが、選手責任ではないと判断された場合はそのレースに失格となってしまうだけでペナルティを受けることはありません。

失格の種類

失格の種類

失格に該当するのは転覆、落水、エンスト、沈没、タイムオーバー、妨害失格、不良航法、それ以外の行為の全部で6つです。
それぞれの失格行為について簡単な解説と付与されるペナルティについて解説します。

転覆

転覆とはボートごと選手がひっくり返った状態を指します。
当然ボートがびしょ濡れになって航行不可能となるので転覆した時点で失格です。

転覆は選手の操舵ミスだったり、突然大きな波が発生することによって起こる現象ですが、滅多に見られる現象ではありません。
スタート前に転覆することも当然あり、スタート前の転覆は返還扱いですが、スタート後の転覆は不的中なのでハズレ券になります。

落水

落水は選手だけが水上に投げ出される状態で、この状態も当然レース続行不可能で失格となりますが、それ以上に選手が水上に残っている非常に危険な状況で、落水から後続の艇が衝突して大事故となってしまったケースが競艇では多々あります。

選手自身の操縦ミスや風や波に煽られて落水するパターンと、他の選手が危険な走行をすることで落水してしまうパターンがあり、後者であれば落水させた選手にはペナルティが科せられることになります。

エンスト

スタート前のエンジントラブルと同様にレース中突然エンジンが不調をきたしてエンストすることもあります。
エンストは完全にアクシデントであり、選手にとっても舟券を購入した人にとっても不運極まりない事象ですが、残念ながら選手は失格、舟券はハズレ兼になってしまいます。

沈没

ボートに沢山水が入ってしまうと舟は沈んでしまってボートは前に進まなくなり、失格となってしまいます。
沈没も滅多に発生しませんが、ターンした際に波に乗ろ挙げたり接触するなどして大量に水が入ってしまい、おしりから沈んでしまうといったケースが多いです。

タイムオーバー

競艇では先頭の艇がゴールしてから30秒以内にゴールしなければならないというルールがあります。
30秒以内にゴールできなかった艇はすべてタイムオーバー扱いとなって失格です。
特に罰則などが付与されるわけではありませんが、選手としてレースを完走できないというのはこの上なく屈辱でしょう。

妨害失格

競艇では多少他の艇と接触する程度では反則行為とはなりません。
特にターン付近ではどうしても艇が密集してしまうため、少しくらいの接触は黙認しなければレースが成立しないからです。

しかし、明らかに故意に接触していると認められた場合は程度によって失格とみなされます。
妨害失格は接触した艇が転覆をはじめとした事故を起こし、レース続行不可能となってしまった場合に適用される失格行為です。

さらに妨害行為を受けた選手が他の艇を転覆させてしまうと、その選手に対しても妨害失格が言い渡されてしまいます。
妨害失格は自分も手痛いペナルティを受けることになりますし、妨害した選手にも迷惑をかけてしまうことになるので、出来れば避けたい罰則行為のひとつです。

不良航法

妨害失格は落水や転覆してしまうような妨害行為を犯した選手に対しての失格ですが、転覆や落水とはいかないまでも明らかに他の選手を降着させてしまうような妨害行為を行った選手に対しては不良航法という罰則が適用されます。

不良航法はそのほか、追い抜く際は相手を左側に見て抜かなければならないといった走行する際のルールを破った場合(ただし十分な距離を確保できる場合は左からの追い抜きは認められる)にも適用されます。

ただし不良航法になるか妨害失格になるかは運営側の裁量で決定されるため、競艇ファンからは両者に違いが分かりづらいという声が上がっているのも事実です。

競艇における「妨害」と「不良航法」の違いとは?罰則についても解説

その他

上記以外の失格としては非常にレアなケースですが、例えば周回回数を間違える「周回誤認」、緊急時に道を譲らなかった場合に適用される「緊急避譲義務違反」、事故艇が出た際に実施される救助作業を妨害した際に適用される「救助作業妨害」などがあります。

失格した選手はどうなる?

失格した選手はどうなる?

失格に該当する行為は実にたくさんありますが、失格を言い渡されてしまった選手はどうなってしまうのでしょうか。
ここからは失格を言い渡されてしまった選手が受ける処分について解説していきます。

事故点が付与されてしまう

失格を言い渡されてしまい、なおかつ選手責任とみなされた場合は「事故点」というペナルティが付与されます。
妨害失格は事故点15点、それ以外の失格で選手責任とみなされた場合は一律事故点10点です。
ちなみに妨害失格では「不良航法」分も加算されるので、実質25点の事故点が加算されてしまいます。

レースには普通に出走可能

失格となった場合でも1度の失格であれば失格したレースに出走できなくなるだけで、以降のレースには普通に出走可能です。

ただし妨害失格をした選手は「賞典除外」となり、準優勝戦と優勝戦には出走できません。
ちなみにその節で複数回同じ失格行為を行った場合は「即日帰郷」が言い渡され、以降のレースに出走することなく地元に帰ることになります。

重大な過失による失格は後日さらなる罰則も

失格となってしまう行為の中でも、意図的に相手選手を落水させたり、救助行為を妨害してまでレースで勝とうとするなど、明らかに悪質とみなされた失格では先に紹介した事故点が付与されるだけではなく、後日さらなる罰則が言い渡されます。

まず、悪質な失格行為を行った選手には「即刻帰郷」が言い渡されます。
即刻帰郷は先ほど紹介した即日帰郷よりも重い処罰で、即日帰郷はその日の全レースが終了してからの帰宅になりますが、即刻帰郷はその日ではなく、失格を言い渡されたレースが終わったらすぐに帰宅しなければなりません。

そして、それだけではなく、その後の出走レース数にも大きく影響が出ることになります。
例えば悪質な失格行為を犯した選手はその競艇場から長期間斡旋をもらえなくなってしまいますし、SGレースやG1レースに出走するレベルの選手の場合、審議会にかけられてしまうとSGレースやG1レースの出場停止という処分が下される恐れがあります。

出場停止の処分が下されると1年間SGレースやG1レースに出走できなくなり、賞金ランキングから脱落するのは確実ですし、それ以上に年収も大きく減少してしまいます。

失格が多数出て「レース不成立」になれば返還対象に

失格が多数出て「レース不成立」になれば返還対象に

選手が失格となった場合、その選手が含まれる舟券はすべてハズレ券となります。
ただしレース前の反則行為などを含めて、4艇がレース続行不能となった場合はレースそのものが不成立となるので舟券は返還されます。

自分が舟券を買っている選手が失格になってしまったからとすぐに舟券を捨てるようなことはせず、レースが終了するまで舟券は所持しておくようにしましょう。

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まとめ

ここまで競艇における失格について解説しました。
競艇には沢山の違反行為がありますが、大きく分けるとスタート前の違反行為とレースが成立してからの違反行為があります。

待機行動違反やフライング・出遅れはスタート前の違反行為に該当するため失格ではありません。
スタート前の違反行為を犯した選手についてはレースに参加できなかったという扱いになるため、その選手が含まれる車券は無効となり、すべて返還されます。

一方でレーススタート後に何らかの違反行為や航行不能となってしまった場合はレーススタート直後だったとしてもレースには参加しているという扱いになるので、その選手が含まれている買い目はすべてハズレ券となります。
失格に該当する行為としては、以下8つが該当します。

失格に該当する行為
・転覆
・落水
・エンスト
・沈没
・タイムオーバー
・妨害失格
・不良航法
・それ以外の失格行為

失格行為に該当するような行為をレース中に発見するとすぐ処分について審議が行われ、失格と判断した場合は場内アナウンスで知らされます。
失格を言い渡された選手は直ちにレースから離れなければなりません。

失格となった選手の処分についてはどのような失格行為をしたかによって変わります。
軽い失格行為であればそのレースに出場できなくなってしまうだけでそれ以降のレースは通常通り出走できます。

しかし妨害失格や周回誤認などレースに重大な影響を及ぼすような失格行為をした場合は事故点が加算されるだけではなく、以降のレースの斡旋もかなり制限されてしまい、収入に大きな悪影響を及ぼすことになります。

選手責任のものではなかったり、アクシデントによる失格は仕方無いですが、自分の責任による失格は重い処罰を受けることになるので、各選手は失格行為をできるだけ犯さないように心がけてレースに出走しています。