競艇の必須テクニック、モンキーターンとは?誕生までの歴史を徹底解説!

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競艇観戦の最大の醍醐味といえば、ターンする場面ではないでしょうか。
コーナーに沿って華麗にターンを決める瞬間は何回見ても大迫力ですし、ターンの際にほかの艇を一気に抜き去るとスタンドからも大歓声が上がります。

競艇のターンの中でも近年主流となりつつあるのが「モンキーターン」です。
少し前には同名の漫画作品も連載されており、競艇のことをほとんど知らない人でもモンキーターンという名前は聞いたことがあるという人もなかには居るでしょう。

本記事では、モンキーターンとは一体どういったターンなのか、そしてどのように誕生したのかを解説します。


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ターンはレースの勝敗を決定づける重要な場面

ターンはレースの勝敗を決定づける重要な場面

競艇において、ターンはレースを観戦するうえでの最も注目する場面であることは間違いありませんが、それと同時に実際にレースに出ている選手にとっても、ターン部分はレースの勝敗を決定づける重要な場所となっています。

競艇では、ボートに積載されているモーターが推進力となっています。
ひとつひとつ微妙な差はあるものの、基本的に構造はどのモーターも全く同じです。
したがって競艇ではよほど性能差がない限り、直線部分で選手の順位が入れ替わることはありません。

選手の順位の入れ替わりは、ほぼ全てターン部分で行われます。
ターン部分ではいかにスピードを落とさずにターンマークに沿って回れるかが重要となり、選手の技術力の差が大きく出る部分です。

賞金ランキング上位に名前が出ている選手は、全員が優れたターン技術を持っています。

競艇界の歴史を大きく変えた「全速ターン」

競艇は長い歴史を持っていますが、競艇界のレース全体を大きく変えたのもまたターンです。
従来の競艇では、ターン部分で大きく減速して回り、そこからの再加速がとても重要となっていました。
その概念を大きく覆すことになったのが「全速ターン」の存在です。

全速ターンは「今村豊」という競艇選手によって生み出されました。
ちなみに今村選手は過去の名選手でもなんでもなく、2020年まではバリバリの現役選手として活躍しており、まさに生けるレジェンドと言うべき存在です。
今村選手は養成所時代からトップスピードでターンを回る練習を繰り返していました。

しかし、当然最初から上手くいくわけもなく、養成所時代には「転覆王」と呼ばれるほど失敗続きでした。
プロとしてデビューしてからも試行錯誤の日々で、なかなか成績に結びつきませんでしたが、全速ターンが安定してくると、ついには当時最年少でSG戦を優勝するほどの選手となりました。

みんながターン付近ではスピードを落とすなか、今村選手だけがほぼトップスピードターンを回るわけですから、勝てるのはある意味当然と言えば当然です。
全速ターンは瞬く間に選手の間で話題となり、ほぼ全選手がそのテクニックを取得するために努力することになりました。
現在では全速ターンは競艇選手になるための必須テクニックのひとつとなっており、養成所でも必ず学ぶことになります。

モンキーターンの基礎知識

モンキーターンの基礎知識

モンキーターンは簡単に言えば全速ターンを更に進化させた旋回テクニックの事です。
通常のターンは膝立ちの状態でボートに乗り、膝によってボートに体重をかけながらターンをします。
膝を舟底に押し付けることで船体が安定し、スピードを出してターンを回っても転覆することなく旋回することができます。

いっぽう、モンキーターンをする場合は、座ったままではなく、競馬のジョッキーのように前傾姿勢を取って立ち上がります。
そして外側に体重をかけながらターンを回ります。

こうすることでボートの外側に体重がかかり、通常のターンよりもずっと早いスピードでターンを回ることが可能となります。

モンキーターンの立役者、「飯田加一選手」

モンキーターンが世の中に登場し始めたのは1990年前半頃で、最初に実践投入したのは、東京支部所属の飯田加一選手とされています。
飯田選手は、大学自体に物理を専攻していたということもあり、重心や体重移動に関する知識はほかの選手より詳しかったのかもしれません。

モンキーターンの元ネタはウィンドサーフィンで使われるテクニックで、飯田選手はその技術をボートレースでも応用できるように研究しました。
ターン時の姿勢が明らかに異なるということもあり、当時モンキーターンはとても危険視され、飯田選手もよく注意を受けるなどしていましたし、発案した飯田選手自身も安定してモンキーターンを決めることができるわけでもなく、よく転覆を繰り返していました。

しかし、モンキーターンが成功したレースでの勝率はとても高く、さらにレースレコードも頻繁に更新していくと柔軟な思考を持つ若手選手に注目されはじめ、実践投入する選手も徐々に増えていきました。

参考 BOATRACE公式 | モンキーターン

「艇王」植木通彦がモンキーターンでSG戦優勝

モンキーターンの発案者が飯田加一選手ならば、一気に競艇界に広めるきっかけを作った選手が植木通彦選手です。
植木選手は艇王と呼ばれるほど圧倒的な実力を持つ選手ですが、モンキーターンが広まった当時はまだ新人選手といった立場でした。

しかし、植木選手はモンキーターンにいち早く注目し、研究に研究を重ねてついに習得すると、1993年のボートレースクラシック(当時の名称は総理大臣杯)にてモンキーターンを駆使し、自身初めてのSG戦勝利を飾ります。

ちなみに発案者の飯田選手も、優勝決定戦に進出しており、モンキーターンを駆使する選手がSG戦で共に戦ったことによって、モンキーターンは一気に選手間で広まることとなりました。
ちなみに植木選手が総理大臣杯でモンキーターンを駆使した当初はモンキーターンという名称ではなく、新時代のターンということで、「フロンティアターン」という名称となっていました。

それがターン時の姿勢が競馬の「モンキー乗り」と呼ばれているテクニックに似ていることから、いつしか現在のモンキーターンという名称になりました。

現在では全速ターンと並んで必須テクニックに

モンキーターンは競艇界における画期的な発明であることは間違いありませんが、立ち上がって更に外側に体重をかけるということは船体が不安定になるというリスクが生じます。
そのため、転覆する危険性は通常のターンよりもずっと高いです。

しかし、そのリスク以上にトップスピードでターンが回れるというアドバンテージは競艇のレースの性質を考えるうえで極めて大きく、モンキーターンが広まった当初は、モンキーターンが使える選手とそうでない選手とでは勝率に明らかな差がありました。

現在では全速ターンと同様にモンキーターンもまた競艇養成所で学ぶほどの必須テクニックとなっています。

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モンキーターンは更なる進化を遂げている

モンキーターンは更なる進化を遂げている

現在、モンキーターンは競艇選手であれば全員習得しており、レース中に見かけることはそれほど珍しいことではありません。
しかし、競艇界というのは日々進化を遂げています。
特に勝敗を左右するターンに関しての研究は選手ほぼ全員が日夜取り組んでおり、次々と新しいターンテクニックが誕生しています。

本項目ではモンキーターンを更に進化させた、現在最先端といえるターンを3つ紹介します。

ウィリーターン

ウィリーターンは、モンキーターンの正当進化といえるターンテクニックです。
モンキーターンのように立ち上がって前傾姿勢になり、更にターンをする際に船先をまるでウィリーをするかのように持ち上げながらターンをします。

ボートの船首部分を持ち上げることによって接地面積が極めて小さくなり、水の抵抗が大幅に少なくなるので、モンキーターン以上にターン時のスピードロスを減らすことができます。
しかし、このウィリーターンを成功させるには卓越したターン技術が必要であることは言うまでもありません。

現在のところ、このウィリーターンを実践投入しているのは、発案者とされている池田浩二選手をはじめ、ごく限られた選手のみとなっています。
しかも、水面状況やエンジンの性能が良くないと出来ない、ある意味「必殺技」のようなターンです。
滅多に見られないターンですが、見た目もとてもカッコいいですし、スピードもあるため実戦で決まると観客席がとても盛り上がります。

フラミンゴターン

モンキーターンから派生したターンとして、次に紹介するのが「フラミンゴターン」と呼ばれているターンです。
ウィリーターンは実戦で活用できるターンですが、フラミンゴターンはどちらかと言えばギャラリーを盛り上げる、魅せるターンというべきターンです。

フラミンゴといえば片足立ちが印象的ですが、フラミンゴターンはモンキーターンのように前傾姿勢を取って立ち上がりつつ、さらに片足を上げながらターンをします。
このターンをしたからといってスピードアップに繋がるわけではないのですが、不安定な艇の上で片足立ちになるという事もあって、実は高い技術が必要です。

スコーピオンターン

最後に紹介するスコーピオンターンは、フラミンゴターン同様、とても見栄えが良いターンです。
ターンの際にモンキーターンと同じように前傾姿勢になりつつ、片足を真上に大きく上げながらターンをします。

この高く上げた片足がまるでサソリのしっぽに見えることからスコーピオンターンと呼ばれるようになりました。

スコーピオンターンを最初に実戦で披露したのは下河誉史選手なのですが、実はこのターンを発案したのにはしっかりとした理由があります。
下河選手は減量によって生じる痛風が原因で、左足の激痛に苦しめられていました。
しかし、ターンをする際には足で体重をかけることとなり、どうしても左足に痛みが走ります。

それならいっそのこと左足を上げてしまえば良いのではという考えで生まれたのがスコーピオンターンです。
しかし、現在は特に痛風には苦しめられてはいないという事なので、下河選手自身もファンサービスとしてスコーピオンターンを披露していると思われます。

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まとめ

競艇ではターンがとても重要で、全速ターンというターンをほぼトップスピードで旋回するテクニックの登場によって、レーススタイルそのものはそれまでとは大きく様変わりしました。
モンキーターンはこの全速ターンを進化させたターンで、まるで競馬のモンキー乗りというテクニックのように前傾姿勢で立ち上がった状態でターンを回ることがこの名前の由来とされています。

最初にモンキーターンを駆使したのは飯田加一選手で、当時は若手選手にしか注目されませんでしたが、植木選手がSG戦初優勝でモンキーターンを駆使したことから一気に広まり、全速ターンと並んで必須テクニックのひとつとなっています。
現在ではモンキーターンを更に進化させたウィリーターンやフラミンゴターンといった新たなターンも登場しており、いつの日か競艇の歴史を大きく動かすような画期的なターンも誕生するかもしれません。