競艇の安定板とは?装着する要件やレースに与える影響を解説
競艇は水上の上で専用のボートに乗り、順位を争う競技です。
そのため普段の生活では聞くことがないような専門用語をたくさん聞く機会があります。
全てを覚える必要は決してありませんが、なかには覚えておかなければ競艇のルールなどを理解できないようなものもあるので、そういった用語はしっかりと理解しておきましょう。
本記事で取り上げる「安定板」も必ず覚えておいてほしい専門用語のひとつです。
安定板とは?
安定板とはボートに取り付けるパーツのひとつです。
ただし安定板は常時取り付けているわけではありません。
形はU字型で、大きさは幅16センチメートル、長さ41.5センチメートル、厚さ4ミリメートルあり、総重量は480グラムあります。
したがって安定板は小さなパーツではありまぜん。
これだけの大きさになっているのにはもちろんわけがあります。
安定板をつける条件とは?
安定板は常時装着する部品ではないというのは先ほど説明しました。
では、どういった時に装着するのかというと、安定板は通常の状態での走行が困難と思われる天候や条件になったときに装着します。
例えばものすごく風が強い日で、レース場の水面が波打っているような状態であれば安定板を装着することが多いですし、風がそれほど強くなかったとしても潮位によって大きなうねりが発生しているときなどは安定板を使用することになります。
実は安定板を使用するかどうかに関しての明確な規定はなく、使用するかどうかは審判長・競技長の判断に委ねられます。
そして、安定板を使用する際には、必ず場内放送で安定板を装着してレースをするという旨のアナウンスが放送されるので、レースを観戦している人であれば、安定板を装着してレースをすることを事前に知ることができるようになっています。
安定板は文字通り荒天時にボートが安全に走れるように船体を安定させるために取り付けるため、ある程度の大きさが必要になるというわけです。
安定板はモーターの「キャビテーションプレート」という場所の上にはめ込んで、専用のねじ2本で止めています。
以上のように、取り付けはとても簡単なので、アナウンスがあれば選手たちはものの数分で安定板を取り付けるため、レースが大幅に遅延するといったこともありません。
実際に安定板がどれくらいの頻度で使用されるかはその年の天候にもよりますが、だいたい年間通じて10回使用するかしないかの頻度となっています。
取り付け指示には必ず従わなければならない
審判長や競技長の判断によって、安定板を取り付けるかどうかの指示が出されますが、この指示は絶対で、安定板取り付けの指示には、そのレースに出走する全選手が従わなければいけません。
安定板を取り付ける最大の目的は船体を安定させて荒天のときに発生しやすくなる事故を防ぐことですから、取り付けの指示が絶対なのはある意味当然といえるでしょう。
安定板使用でも危険と判断すれば中止となるケースも
競艇は屋外でおこなわれる競技のため、時には想定できないようなすさまじい天候になることもあります。
明らかに安定板を使ってもレース開催が不可能と判断された場合、レース自体が中止になります。
そのような天候のときに無理にレースを実施し、大きな事故が発生すればそれこそ取り返しのつかない事になるのでこれも当然の判断です。
安定板の取り付けと同様に、レースを中止するかどうかの判断基準も明確には設けられていません。
レースを続けるか中止するかの判断はレースを開催している運営側の判断に委ねられています。
レースが中止するかどうかの判断は雨が強いかどうかよりも、風が強いかどうかで決められることが多く、台風が来て暴風警報が出ているような場合はほぼ中止となります。
レースが中止となった場合、舟券代は全額返還となります。
安定板をつける事でレースに与える影響
安定板は船体を安定させるために装着するので、それなりに大きなパーツです。
そのため、取り付けた後は少なからずボート自体の走りが変化します。
その変化は微々たるものかもしれませんが、コンマ1秒を争う競艇の世界では大きな変化となり、レースに重大な影響を及ぼします。
安定板を取り付けることによってレースにどのような影響を与えるのかを確認していきましょう。
スピードが出なくなる
安定板を取り付けることによって水面抵抗は大きくなります。
抵抗が大きくなるということは、ボートを前に進めるには普段よりも大きな力が必要になりますが、安定板を取り付けて更にモーターの性能自体もアップさせるといったことはしません。
したがって、安定板を取り付けることによってボート自体のトップスピードが落ちます。
1号艇がさらに有利に
競艇において、1号艇が圧倒的に有利なのは競艇をたしなんでいる人であれば常識といっても過言ではないほどの知識です。
1号艇を抜き去って前にでるための方法のひとつは直線で1号艇よりも前に出てインコースを確保することです。
これを「差し」というのですが、安定板を装着することによって直線で1号艇に先行することが難しくなり、差しが決まりにくくなります。
したがって、安定板装着によって、1号艇のアドバンテージはさらに大きなものとなります。
外からのまくりを決めにくくなる
1号艇よりも前に出るためのもうひとつの方法が、ターン付近で1号艇よりも大きく周り、一気に抜き去るという戦法です。
これを「まくり」というのですが、安定板を装着することによってスピードが出せなくなるため、このまくりも決まりにくくなってしまいます。
安定板装着によって、1号艇以外の艇は普段以上に厳しい戦いに挑まざるを得なくなると考えておいてよいでしょう。
ターンは全速でおこないやすい
昨今の競艇では、ほぼトップスピードでターンをする、「全速ターン」が主流です。
しかし全速ターンといっても直線を走るときにスピードそのままに回っているわけではなく、特にインコースの艇は小回りする必要があるので、ある程度減速して回らなければなりません。
一方アウトコースの艇は大きく回ることになるので、この減速の度合いが小さくて済みます。
まくりが決まるのはこういった原理があるからです。
ところが安定板を取り付けることによってトップスピードが落ちるうえに船体が安定するので、インコースの艇もほぼスピードを落とすことなくターンができるようになります。
モーターの性能差が出やすくなる
好条件のときであっても、ちょっとしたモーターの性能差が最終的に勝敗を分けることがあるほど、競艇にとってモーターは重要なパーツです。
荒天となって安定板を装着すると、この性能差は晴天時よりも大きくなり、性能が悪いモーターを引き当ててしまった選手はどれだけ努力しても上位入賞ができないといった自体に陥ることもあります。
安定板装着時は普段以上にモーターの性能差に注目しましょう。
実際は影響通りのレース展開にはならない
安定板を取り付けることによって、レースにさまざまな影響が生じますが、全体的に見ればインコース、特に1号艇の選手にとても有利な条件になるということが分かります。
では1号艇の選手ばかり買っておけばよいのかというと、実際はそのようなことはありません。
そもそも安定板を取り付けてレースをするような状況の場合、水面がかなりうねっていたり、普段とは比べ物にならないほど強い風が吹いていたりします。
レースに与える影響としては、安定板を装着したことによる影響よりも悪天候による影響のほうが比べ物にならないほど大きいです。
荒天時のレースは予想がしづらい、荒れるとよく言われますが、それは安定板を装着したとしても変わることはありません。
選手間の実力が拮抗しているのであれば、安定板の影響を考慮しても良いかもしれませんが、そうでない場合は安定板による影響はあまり考えず、普段通り選手同士の実力差を考慮した予想をしましょう。
安定板使用のアナウンスが出たら舟券を買わない選択肢も
競艇の舟券を買って本気で勝ちたいと考えているのであれば、安定板を使用しなければレースができないような状況のレースの舟券を買うこと自体おすすめしません。
競艇の舟券を当てるためには、しっかりとレース展開を予想したうえで舟券を買う選手と買わない選手を分ける必要があります。
レース展開を予想するには過去の成績などをチェックするのが一番です。
ところが安定板を使わなければならないような荒天になってしまうと、セオリー通りの予想がまったく通用しません。
過去のデータを利用しようにも年間10レースおこなわれるかどうかという程度なので、過去データを活用することもできないでしょう。
荒れるレースで一獲千金を狙いたいという気持ちもわかりますが、安定板を使用するようなレースは舟券自体を買わないという選択をすることも時には必要です。
まとめ
安定板とは、ボートのモーター付近に装着するパーツのことで、全長は40センチ以上、幅も16センチあるそれなりに大きなパーツです。
安定板は荒天時に船体を安定させるために取り付けるパーツで、取り付ける際にはかならず場内アナウンスが流れます。
安定板取り付けに関する明確な判断基準というものは設けられておらず、取り付けるかどうかは審判長と競技長の判断に委ねられます。
ちなみに年間通じて安定板が取り付けられるレースの数は平均10レース前後です。
安全面から、いかなる状況であっても安定板取り付けの指示があった場合は従わなければいけません。
台風接近によって暴風警報が発令された場合などは安定板を取り付けてもレース開催は難しいと判断され、レースは中止となります。
レース中止の際には舟券代は全額返還されるので安心してください。
安定板を取り付けることによって、水の抵抗が大きくなってスピードが出しづらくなります。
その結果差しやまくりが決めづらく、さらにインコースでもターンを全速で回れるので、1号艇は通常よりもさらに有利になるのですが、実際は荒天時の影響のほうが大きいため、レースは荒れることのほうが多いです。
競艇で勝ちたいと考えているのであれば、なるべく荒れるレースには手を出すべきではありません。
安定板使用のアナウンスが流れたら、舟券を買わないという選択をすることも考えるようにしましょう。