BBCトーナメントとは?ルール・出走条件・仕組みや予想のポイントを解説
競艇はほぼ毎日複数の競艇場でレースがおこなわれています。
1日100レース行われることは普通で、進入コースが固定となっている「進入固定戦」、意図的にインコースが勝ちやすいなど、運営側が自由に出走枠などを決める「企画レース」といったように、通常とは異なるルールや条件のレースも多数あり、ファンを飽きさせないよう工夫を凝らしていることが分かります。
本記事ではその中でもかなり特殊なルールで開催されるレースである、「BBCトーナメント」についてルールや出走条件などを詳しく解説します。
「BBCトーナメント」の基本情報
BBCトーナメントは、正式名称を「ボートレースバトルチャンピオントーナメント」といい、「BBC」は略称となっています。
レースのグレードとしてはSGレースに次ぐ上位グレードである「プレミアムG1」です。
プレミアムG1ということもあって優勝賞金は1,200万円と、かなりの金額を稼げるレースです。
実はこれまでは賞金ランキングに影響しないレースでしたが、2023年より日程が変更されており、賞金ランキング上位を目指す選手にとっても優勝しておきたいレースのひとつとなるかもしれません。
BBCトーナメントは2019年に創設されたレースで、SGまたはG1レースのなかではもっとも新しく誕生しました。
BBCという名称から、略称がBBCである「びわこ競艇場」のレースと思ってしまいがちですがそうではなく、開催競艇場は毎年変更される「持ち回り方式」となっています。
BBCトーナメントの出場条件・仕組みについて
BBCトーナメントの出場条件は以下の通りです。
・当年12月までの9つのSG競走の優勝者
・4つのプレミアムG1競走の優勝者
・3つのG2競走の優勝者及び当年開催のファン感謝3Daysバトルトーナメントの優勝者
・当年10月までのSG競走、及び3つのプレミアムG1競走のあっせん決定時における、選出基準に基づく各競走の選出上位15名の内、過去9か月の勝率上位者
出場条件を見ていくと、まずすべてのSGレースとプレミアムG1レースの優勝者は無条件で出場権を獲得、唯一「ファン感謝3Daysバトルトーナメント」のみ一般戦となっていますが、歴代優勝者はA1級選手ばかりなので、実質A1級選手のみが出走できるレースといえるでしょう。
ただし、出場条件を満たしていたとしても、下記に該当する選手は出走取消になります。
・褒賞懲戒規程によって出場停止処分の身であること
・負傷・病気・出産などで出場できない状態であること
出走取り消しの条件についてはSGレースやG1レースの出場取り消し条件に準じたものとなっています。
通常G1レースクラスになると6日間の日程が組まれることが多いのですが、BBCトーナメントは4日間の短期決戦で実施されます。
BBCトーナメントは通常12月初めに開催されるのですが、2023年はすでに1月12日から1月15日までの日程で開催が終了しています。
これまでのBBCトーナメントの日程だとグランプリの先行終了後という事もあって、賞金ランキングに影響しなかったのですが、2023年度は賞金ランキングに影響するレースとなりました。
2024年も同じく1月日程で開催される予定なので、今後はこの日程で定着するのかもしれません。
BBCトーナメントは通常のレースとは一味違う
通常、競艇のレースは「予選」「準優勝戦」「優勝戦」といった流れでレースが実施されます。
予選はポイント制になっていて、予選数量時の合計ポイントで上位の成績だった選手が準優勝戦に進出、準優勝戦は2レース実施され、それぞれのレースでの上位3名ずつ、計6名が優勝戦に進出して最終的な優勝選手を決める、といった流れです。
しかしBBCトーナメントは予選突破の条件が通常の予選とは大きく異なります。
まずBBCトーナメントは「予選」「準々優勝戦」「準優勝戦」「優勝戦」の4レースに分けられていて、次のレースに出場するには3位以内に入らなければなりません。
また、通常の競艇の予選は総当たり方式ですが、BBCトーナメントはレース名にある通り「トーナメント方式」を採用しているのも他のレースとは大きく異なる点です。
予選でどの選手と戦うかも選手にとっては上に上がれるかどうかを大きく左右する要素といえるでしょう。
決勝戦はなんと「あみだくじ」で枠版を決める
(引用元:youtube)
通常、競艇のレースにおいて、誰がどの艇に乗るのかは運営側が出走選手を見て決めています。
競艇はインコースであればあるほど有利という鉄則がある以上,特定の選手がインコースばかりになっていると非常に不公平なので、全員の選手が全てのコースを平等に走行できるように細心の注意を払って決定しています(企画レースなど一部例外あり)。
ただし準優勝戦や優勝決定戦はその前のレースで上位に入った選手から順にインコースの艇で出走するという取り決めになっています。
ところがBBCトーナメントの決勝戦ではどの選手がどの艇で出走するかをなんと「あみだくじ」で決定しています。
このあみだくじは選手にとってある意味レースに匹敵…もしかするとレース以上に大事な勝負どころかもしれません。
せっかく前走素晴らしい走りをしたのにあみだくじで6号艇を引き当ててしまい悶絶する、といった選手が毎年のように出ています。
ちなみにあみだくじの模様は動画等でリアルタイムで配信されているので、興味のある人で時間の都合があればあみだくじの模様を見ておくとよりBBCトーナメントを楽しむことができるでしょう。
運も実力のうちを地で行くレース
「運も実力のうち」とは勝負事ではよく使われる言葉ですが、BBCトーナメントに関しては特に「運」によって勝敗が大きく左右されるレースといえるでしょう。
優勝戦の枠毛今はあみだくじなので、当然くじ運が良ければそれまでの成績が芳しくなくても1号艇を引き当てて優勝に一気に近づくことができます。
例えば第1回大会優勝者の田村隆信選手は予選から準優勝戦まで1度も1着にはなれませんでした。
ところが決勝戦のあみだくじで1号艇を引き当て、見事に優勝しています。
また、モーターも高性能のものを引き当てていて、優勝時のインタビューでも「エンジンのおかげです」と語っていました。
2代目優勝者の寺田祥選手もあみだくじで1号艇を引き当て、「儲かった感じ」と語っていることからも、決勝戦のあみだくじの重要度が分かります。
ファンの中には「実力通りの結果にならない」と否定的な意見もあるそうですが、出場条件を見てもわかる通り、このレースに出場すること自体が実力者の証となっているので、このような運任せのレースがひとつくらいあっても良いのではないでしょうか。
BBCトーナメントの予想のポイント
BBCトーナメントに関しては、日程の変更がまず予想の際に大きく影響してくるでしょう。
先に紹介した通り、レース設立当初から2021年までは12月頭にレースが実施されていました。
この時期は年末のグランプリの選定期間も終了しているので、BBCトーナメントで賞金を加算してもグランプリに出場できるかどうかには影響しません。
しかしこのレースに出場する選手は出場条件を見てもわかる通りトップ選手ばかりです。
選手の中にはグランプリ出場を決めている選手も当然いることでしょう。
BBCトーナメントの優勝賞金は1,200万円ですが、グランプリで優勝すれば1億円を獲得できるチャンスがあります。
恐らく選手側の心理としては、「BBCで優勝するぞ」よりも「グランプリまでにケガをしたくない」というのが本音ではないでしょうか。
逆にグランプリ出場が叶わなかった選手は単純に少しでも賞金を増やしたいという気持ちで出場していることでしょう。
従来のBBCトーナメントの予想においては、この「選手の心理」を想定した予想をする必要がありました。
しかし2023年は1月12日からと、その年度で初めて実施されるG1以上のレースとなりました。
もちろんこの時期のレースの賞金はグランプリの出場順位に大きく影響します。
この日程の変化によって選手側のBBCトーナメントの捉え方が大きく変わりました。
これまでの「無理をする必要はないレース」から、「スタートダッシュを決めるために何が何でも勝っておきたい」というレースになったため、そのほかのSGレースやG1レースなどと同じような予想で問題ないでしょう。
出場選手の実力差ははっきりいってほとんどありません。
そんな選手たちが出場するレースなので、まずは「どの枠で出走するか」が非常に重要となります。
インコース、特に1号艇で出走する選手の1着率は限りなく高いので、よほどのことが無い限りは競艇のセオリー通りに1号艇の選手を軸に買い目を選定していきます。
もうひとつ、差が出てくるとすれば「モーター性能」でしょうか。
モーターの勝率や連対率がほかの選手のモーターよりも高いのであれば、その選手は注目しておきたいところです。
特に4号艇のモーターは要注意で、4号艇が高性能のモーターでなおかつスタートが上手い選手だとまくりを決めてインコースの選手が全員着外になってしまう恐れがあります。
4号艇が1着になると荒れた結果になりやすいので、高額配当を狙いたいならば4号艇のモーター性能が高いレースは狙い目です。
歴代優勝者
BBCトーナメントは歴史が浅いという事もあり、今のところ歴代優勝者は4名しか居ません。
歴代優勝者について本項目では簡単に紹介していくことにします。
出場条件が厳しいという事もあり、どの年度の優勝者も競艇界を代表するトップ選手ばかりです。
2019年
栄えある初代優勝者は田村隆信選手でした。
田村選手は2004年にオーシャンカップとチャレンジカップを制するなどこれまでSGレースを3度優勝しています。
2019年はとても好調な年で、「GI大渦大賞 開設66周年記念」をはじめG1レースを3つも優勝、BBCトーナメントを制して年間4度の優勝を達成しました。
2020年
2020年は寺田祥選手が優勝者となりました。
寺田選手は2017年と2020年のボートレースメモリアルを制しています。
その他、とにかくスタート事故を起こさないことを心掛けてレースに臨んでいる選手として有名で2003年2月から2014年10月に出遅れによるスタート事故を起こすまで、実に2,910レーススタート事故を起こさないという大記録を打ち立てました。
2021年
2021年は丸野一樹選手が優勝者となっています。
現在のところ、当レースで1号艇以外の艇に乗って優勝したのは丸野選手ただ1人です。
丸野選手は2023年6月時点でSGレース優勝こそありませんが、2022年は平成生まれ選手で初めてグランプリ出場を達成するなど、今最も期待されている若手選手の1人で、SGレース制覇も時間の問題でしょう。
参考 丸野一樹は今要注目の競艇選手!嫁などプライベートについても解説2023年
2022年は日程調整の都合によって開催されていません。
2023年は松井繁選手が勝者となりました。
松井選手についてはわざわざここで解説する必要はないほどの選手で、文字通り「生けるレジェンド」というべき数々の大記録を樹立しています。
SGレース優勝12回、G1レース優勝58勝はぶっちぎりで現役トップですし、2023年5月27日には公営競技選手で初めて生涯獲得賞金が40億円を突破しました。
2位の今村豊選手とは実に10億円以上の差があるので、松井選手の記録は当分の間破られる事はなさそうです。
誰が優勝してもおかしくないレースであることは間違いない
これまでは賞金レースには影響がなく、ケガのリスクも大きい事から「グランプリに出場できない選手の勝負駆け」が発生しやすいレースでしたが、年度初めの開催によってレース自体の重みが一変、その年のスタートダッシュを決めるために何としても勝利しておきたいレースへと変貌しました。
一発勝負のトーナメント戦である事、更に優勝戦はあみだくじになっている事から、どの選手にも平等に優勝するチャンスがあるレースであると言えるでしょう。
まとめ
BBCトーナメントは「ボートレースバトルチャンピオントーナメント」が正式名称で、レースグレードはプレミアムG1となっています。
レース設立は2019年で、G1以上のレースとしては最も新しく設立されたレースです。
日程は4日間と短期決戦レースであり、レースの仕組みも通常のポイント制ではなく、そのレースの3位までが勝ち進むトーナメント制となっていて、通常のレースとは大きく異なります。
更に優勝戦の枠番はあみだくじで決定するため、1着になり続ければ有利な場所で走れるといったものではありません。
出場条件は前年の同レース優勝者や前年SGレース優勝者などで、実質トップ選手のみが出場できるレースとなっています。
以前は12月実施だったため、グランプリ出場者が当レースに出ても本気で走らないといった事例も発生しましたが、2023年より日程が1月に変更、獲得賞金がグランプリ出場に影響するようになり、どの選手も全力でレースに挑むように変化しました。