競輪のG1レースとは?全9レースの優勝賞金と過去10年の歴代優勝者を紹介!

競輪のG1レースとは?全9レースの優勝賞金と過去10年の歴代優勝者を紹介!

公営競技の興味がほとんどない人であってもG1レースという言葉くらいは聞いた事があるのではないでしょうか。

特に中央競馬では「春のG1シーズン」と「秋のG1シーズン」があり、前者は「日本ダービー」「宝塚記念」、秋は「ジャパンカップ」「有馬記念」が開催されると世間的にも大きな盛り上がりを見せます。

競輪においてもG1レースは最高峰のレースとして非常に注目度が高まるので、競輪ファンならば是が非でもレースに参加しておきたいところです。

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G1レースとは?

競輪グレード(引用元:サテライト徳島)

競輪のレースは「グレード制」が採用されていて、ランクの低いレースから順に、以下のように全部で6つのランクに分けられています。

競輪レースのグレード
・GP
・G1
・G2
・G3
・F1
・F2

G1レースは上からふたつ目のランクとなっています。
とはいえ、最上位の「GP」に該当するのは年末の「KEIRINグランプリ」のみであり、実質G1レースは競輪全レースの中で最上位に位置するレースであると言い切って良いでしょう。

競輪のG1レースは全9レース

競輪のG1レースは全9レース

競輪の全レース数ですが、「令和四年度事業計画」によると、「42競輪場でそれぞれ年間250レース実施する」としています。
つまり令和4年度は年間10,500レース実施していたという事になります。
(もっと細かく計算すると1日に12レース開催するので年間126,000レース)

その中で競輪のG1レースはたった9レースしかありません。
2022年までは6レースしかありませんでしたが、2023年よりガールズケイリン活性化の一環として女子選手限定のG1レースが3レース設立され、計9レースとなりました。

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男性選手が出場できるG1レースは6つ

男性選手が出場できるG1レースは6つ

男性選手が出場できる従来からあるG1レースは全部で6つです。
レース名、開催月、開催競輪場、優勝賞金(2023年度)を一覧表にしました。

レース名 開催月 開催競輪場 優勝賞金
(2022)
読売新聞社杯全日本選抜競輪 2月 持ち回り 3,642万円
(2023年)
日本選手権競輪 5月 持ち回り 7,837万円
(2023年)
高松宮記念競輪 6月 持ち回り 3,532万円
オールスター競輪 8月 持ち回り 5,368万円
寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント 10月 持ち回り 3,532万円
朝日新聞社杯競輪祭 11月 小倉競輪場 4,147万円

G1レースでは「競輪祭」が唯一毎年同じ競輪場で実施されていて、小倉競輪場の特徴については最優先で覚えておく必要があるでしょう。

賞金は3,000万円代後半〜4,000万円代となっているレースが多いですが、この金額は毎年かなり変動しています。
「全日本選手権競輪」「オールスター競輪」の2レースはG1レースの中でも優勝賞金が高額であり、この2レースのどちらかに優勝すると賞金王にかなり近づきます。

G1レースに優勝すると、「優勝した栄誉」「高額の優勝賞金」が得られるだけではなく、何といっても年末の「KEIRINグランプリへの出走権が得られる」事が選手にとっては最も大きい特典と言えるでしょう。
KEIRINグランプリに出走できるという事は、自動的に翌年のS級S班が確約される事にもなります。

読売新聞社杯全日本選抜競輪

読売新聞社杯全日本選抜競輪(引用元:読売新聞社杯全日本選抜競輪)

読売新聞社杯全日本選抜競輪は、1985年に第1回レースが開催されたレースで、現在施行されているG1レースの中では5番目に設立されたG1レースです。
ファンからは「全日本選抜」と呼ばれているので、以降「全日本選抜」という名称で統一します。

簡単な歴史

当初全日本選抜はこれまでG1レースがなかった夏場に開催されることを目的としており、第17回大会までは7圧下旬又は8月上旬の開催だったのですが、番組制度改革に伴って11月に変更、KEIRINグランプリ出場権をかけた最終選考レースといった存在になります。

ところが2009年には再び開催時期が8月へと変更、夏のビッグレースとしての立場を復活させたのですが、2012年にレース体系の見直しに伴って2月に日程が変わり、現在に至ります。
そのため、夏のビッグレースからその年最初のG1レースという立場に大きく変わりました。

出場者選抜方法

出場選手は各都道府県の成績上位者を中心に下記の条件を満たした選手が選出されています。

「読売新聞社杯全日本選抜競輪」の出場者選抜方法
・S級S班選手
・開催時S級1班で過去3回以上優勝した経験がある選手
・S級1班で各47都道府県の平均競走得点1位(選考時1年以上同府県在住が条件)
※S級1班選手ゼロ名の都道府県はこの条件では未選出
・全国を8つの地区に分け(北日本、関東、南関東、中部、近畿、中国、四国、九州)、地区ごとの平均競走得点1位から3位の選手
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属
・残りは成績上位順に選抜

選出される人数は正選手108名、補欠8名です。
レースは4日間の日程でおこなわれ、勝ち上がりによって争われます。

2022年までの過去10年間優勝者名

2013 平原康多
2014 村上博幸
2015 山崎芳仁
2016 渡邉一成
2017 平原康多
2018 新田祐大
2019 中川誠一郎
2020 清水裕友
2021 郡司浩平
2022 古性優作

その他エピソードなど

2023年時点で予選から決勝まですべて1着の完全優勝を成し遂げたのは井上茂徳選手1名のみで、連覇を成し遂げたのも中野浩一選手と古性優作選手(2023年も優勝)の2名だけです。

G1レースのなかでも地方都市での開催が多いという特徴があり、施行が決定している2024年も含めると青森競輪場が5回と最も多く開催されています。

日本選手権競輪

第77回日本選手権競輪平塚競輪(引用元:「第77回日本選手権競輪」特設サイト)

日本選手権競輪の第1回目のレースは1949年に当時存在していた住之江競輪場(大阪府)で実施されており、G1の中でも長い歴史を誇っているレースです。

日本選手権競輪のみ以前はトライアルレースが設けられていて、それに勝利しなければ本戦に出場できなかった時期があったことや、優勝者には内閣総理大臣杯が授与されることなどから、実質競輪界では最も権威あるレースとされており、このレースに優勝することは全競輪選手の最大目標のひとつと言っても過言ではありません。

日本競馬界で最も権威あるレースが「日本ダービー」であることは有名ですが、日本選手権競輪は競輪界においてそれに同等するレースという意味合いも込めて、ファンからは「競輪ダービー」の通称で親しまれています。

日本ダービー(日本選手権競輪)競輪ダービー(日本選手権競輪)の賞金を徹底紹介!優勝するまでの道のりを読み解く!

簡単な歴史

日本選手権競輪は「全国走覇競輪」という名称で第7回までは春と秋の年2回開催されていました。
この名称は第16回大会まで使われていましたが第17回大会より現在の全日本選抜競輪という名称に改められています。

第27回大会(1974年)からは上記に触れたように事前にトライアルレースを実施して成績上位者が本戦に出場するという方式を取っていましたが、早めに本戦出場を決めた選手は後半に欠場したり、やる気のないレースをするなどという弊害が発生したため第48回(1995年)を最後に廃止となりました。

2020年は緊急事態宣言によるロックダウンの真っただ中ということもあって中止となったのですが、G1レースが中止となったのは1970年と71年にオールスター競輪が中止となって以来、実に49年ぶりの事です。

出場者選抜方法

日本選手権の出場資格に関しては、前年度1年間の獲得賞金額の多い順に選ばれる仕組みとなっています。

日本選手権競輪の出場者選抜方法
・S級S班選手
・開催時S級1班で過去3回以上優勝した経験がある選手
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属
・残りは獲得賞金上位順に選抜

上記の条件によって正選手162名と補欠選手8名を選出し、6日間各日11レースの「勝ち上がり戦」によって優勝者を決定します。
なおS級S班選手とそれ以外の獲得賞金上位者の計27名は特別選抜予選に出場することとなります。

2022年までの過去10年間優勝者名

2013 村上義弘
2014 新田祐大
2015 村上義弘
2016 中川誠一郎
2017 三谷竜生
2018 三谷竜生
2019 脇本雄太
2020 中止
2021 松浦悠士
2022 脇本雄太

その他エピソードなど

第21回大会(1968年)までは12車立てという今から考えると信じられないほど大人数でレースを実施していました。

また、長い歴史の中で何度か開催を断念、または開催が危ぶまれた経緯があり、コロナによる中止となった2020年以外には1961年にも開催を断念、1963年と1967年も中止の危機に見舞われましたが、2回とも一宮競輪場が開催に名乗りを上げたため、中止の危機を脱しています。

後楽園競輪場が運営されていた時期は同競輪場での固定開催だったのですが、1968年に休止となってしまって以降は毎年開催競輪場が変わる「持ち回り」となっています。
しかし近年は静岡・松戸・立川・平塚など関東・南関東の競輪場で開催されることが多いので、このエリアの競輪場の特徴について覚えておくとよいでしょう。

高松宮記念杯競輪

高松宮記念杯競輪(引用元:岸和田けいりん)

高松宮記念杯競輪は、1950年に大津びわこ競輪場で第1回目が実施されました。
ファンや選手・関係者など競輪の知識が深い人たちからは「宮杯」という名称で呼ばれることが多く、さらにちょうど梅雨の時期に開催されることから、「雨の宮杯」という略称が使われることもあります。

高松宮記念杯競輪は「東西対抗戦」という方式でレースが実施されているのが特徴で、全国を大きく「東日本地区と「西日本地区」に分けたうえで各地区ごとに予選を行い、5日目に各地区の決勝戦を行った後で上位選手が決勝戦に進出、最終的に優勝戦をおこなうといった流れでレースが進行していきます。

簡単な歴史

当レースは休止されるまで固定開催地であった大津びわこ競輪場を開設するにあたってその選定値が近江神宮の外苑であったため、同神宮に縁のある高松宮親王にトロフィーを下賜(いただくこと)を要請したところ承諾を得たため、レース名が「高松宮記念杯競輪」となったという経緯があります。

名称は最初「高松宮同妃賜杯競輪」だったのですが、第15回大会からは「高松宮賜杯競輪」という名称に変更、さらに第24回大会より「高松宮杯競輪」に変わり、第49回大会から現在の「高松宮記念杯競輪」となり現在に至ります。

2010年に大津びわこ競輪場の休場が決まると当レースの存続が危ぶまれましたが、最終的に継続することとなり、以降は持ち回り開催という形で実施されることとなりました。

1999年から2022年までは4日間開催だったのですが、2023年からは25年ぶりに6日間開催へと戻ることになりました。
開催期間が伸びた理由は当レースが実施される競輪場でガールズケイリンのG1レースである「パールカップ」も併せて実施されるためです。

出場者選抜方法

前述した通り、本レースは「東西対抗戦」となっているので出場者選出も「東日本地区」「西日本地区」それぞれの代表者を選出するという形になっています。

高松宮記念杯競輪の出場者選出地区条件
・東地区…北日本地区・関東地区・南関東地区のいずれかに在籍する選手
・西地区…中部地区・近畿地区・中国地区・四国地区・九州地区のいずれかに在籍する選手

選出基準は以下に示す4つの条件のいずれかを満たす選手です。

高松宮記念杯競輪の出場者選出方法
・S級S班選手
・S級1班で過去3回以上優勝している選手
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属
・平均競走得点が上位の選手を東地区・西地区でそれぞれ選出

選出される選手の人数は正選手108名、補欠選手10名となっています。

2022年までの過去10年間優勝者名

2013 成田和也
2014 稲川翔
2015 武田豊樹
2016 新田祐大
2017 新田祐大
2018 三谷竜生
2019 中川誠一郎
2020 脇本雄太
2021 宿口陽一
2022 古性優作

その他エピソードなど

競輪選手のなかで最も有名であろう選手が中野浩一選手ですが、中野選手が唯一勝てなかったG1レースがこの「高松宮記念杯競輪」として有名です。

完全優勝者(予選から決勝まですべて1着)は2023年までで10名存在し、そのうち吉岡稔真選手は2年連続完全優勝という偉業を達成しています。

オールスター競輪

2023オールスター競輪(引用元:西武園競輪場)

オールスター競輪は1956年に第1回大会が川崎競輪場で実施されました。
名称を見ても分かるとおり本レースは「プロ野球のオールスター戦」を踏襲するようなレースとなっていて、事前にS級以上の候補選手を選出、その中から出場させたい選手をファンが選んで投票用紙やインターネットを介して投票、得票数上位の選手が最終的に本戦に出場するという仕組みになっています。

競輪のレースのうち、グランプリを除いた最も格式の高いレースは「全日本選手権競輪」なのですが、「オールスター競輪で1位となるということはその年にもっとも評価されている証拠だ」として、同レースも全日本選手権競輪とほぼ同格の扱いをされています。
そのため優勝賞金も5,000万円以上であり、全日本選手権競輪に次いで高額です。

簡単な歴史

本レースは元々年2回開催だった「全日本選手権競輪」(当時は全国争覇競輪)が年1回開催になったことを受け、それに変わる春の祭典として設立されました。

第14回大会までは川崎、大阪中央(閉鎖後は岸和田競輪場)、名古屋競輪場の3場での開催だったのですが、第15大会以降は全競輪場での持ち回り開催となっています。
それに伴って開催時期も春から秋へと変更されました。

レースの実施方式に関しては紆余曲折あったのですが、2023年時点では「6日間開催のポイント制」という方式が採用されています。

ちなみに得票数1位から9位までの選手は「ドリームレース」、10位から18位までの選手は「オリオンレース」という特別枠のレースに出場します。
そして2024年からは「オールスター競輪」と同日に新設される「女子オールスター競輪」が開催されることが決まっています。

出場者選抜方法

出場者はファン投票上位選手(正選手135名、補欠選手8名)が選出されますが、以下の条件を満たす選手は投票に関係なく無条件で出場できます。

オールスター競輪に無条件で出場できる選手の条件
・S級S班選手
・S級1班で過去3回以上優勝している選手
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属

そして投票が終わったのち、以下の条件を満たす選手が追加で出場することになります。

オールスター競輪に追加出場できる選手の条件
・上記3つの条件で選抜された者を除くファン投票の上位50名
・平均競走得点上位者を上記4つの条件で選抜された者を含めての合計が125名になるまで順次選抜(同点の場合は賞金獲得額上位者を優先)
・残り10名については選考委員会が推薦した者を選抜
オールスター競輪の選手はどう選ばれる?賞金はいくらもらえる?オールスター競輪の選手はどう選ばれる?賞金はいくらもらえる?

2022年までの過去10年間優勝者名

2013 後閑信一
2014 武田豊樹
2015 新田祐大
2016 岩津裕介
2017 渡邉一成
2018 脇本雄太
2019 新田祐大
2020 松浦悠士
2021 古性優作
2022 脇本雄太

その他エピソードなど

2022年時点で完全優勝した選手は5名となっています。
連続出場記録は神山雄一郎選手で33回連続出場しており、驚くことにこの記録は2022年時点で継続中です。
これはこのレースが人気投票順の出場であるという側面を持っているからだと考えられます。

2017年(第60回大会)では周回通告を誤ったという事態が発生したことによりレースそのものが不成立となってしまったため、このレースの売上げ2億2,130万2,400円が全額返還となってしまいました。

G1レースでレース不成立により全額返還となったのは史上初のことです。
オールスター競輪ではそのほか不名誉な記録を3つほど持っています。

オールスター競輪で起こった残念な記録
・落車による死亡事故が過去3件発生
・秋に開催するため、台風によって過去4回順延(直近では2022年に順延)
・開催して後10年以内に4競輪場(大阪中央、甲子園、花月園、一宮)が廃止

寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント

2022寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(引用元:第31回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント特設サイト)

寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(長いので以降寬仁親王牌と略します)は、1992年に前橋競輪場で第1回大会が開催されました。

レース名が何故寬仁親王牌になったのかというと、寬仁親王が1990年に開催された「世界選手権自転車競技大会」の名誉総裁となられていたからで、寬仁親王は1992年からトロフィーを下賜されていました。

ちなみに寬仁親王は皇族関係者でありながら「オールナイトニッポン」のMCを務めるなど、良い意味でかなりの「異端児」であられたため、興味ある人は調べてみてはいかがでしょうか。
来場された際に本レースの車券を購入し、的中したというエピソードもあります。

簡単な歴史

1992年の初回開催時は現在でいうG2レース扱いでしたが、1994年の第3回大会からG1レースへ格上げされました。
開設時は10月開催で一時期7月開催となっていましたが、2016年には10月開催に戻り、現在も10月開催を継続しています。

2012年6月に寬仁親王が薨去されたため、同年は寬仁親王を追悼する大会となっていて開会式の際は黙祷を実施、期間中は半旗を掲揚、出場者と関係者は喪章を身につけて出場していました。

出場者選抜方法

前身が「世界選手権競輪」だった事もあって、本大会は自転車競技で活躍している選手を優先的に選出しています。

寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメントの出場者選抜方法
・S級S班選手
・S級1班で過去3回以上優勝している選手
・オリンピック開催年は日本代表となった選手
・世界選手権自転車競技大会出場者
・世界選手権に準ずる国際大会でメダルを授与された選手
・アジア自転車競技選手権大会の「ケイリン」「スプリント」の優勝者
・過去のオリンピック自転車競技トラック種目メダリスト
・ただし、全日本プロ選手権自転車競技大会(以下、全プロ)トラック競技出場予定かつ開催時S級1班所属が条件
・全プロトラック競技出場予定者から平均競走得点上位者を順次選抜
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属
・上記条件で定員に満たない場合は各地区のプロ選手権自転車競技大会(以下、地区プロ)トラック競技出場者から平均競走得点を勘案し推薦

と、他のG1レースよりもかなり細かく条件が設定されています。

上記条件を満たす選手で正選手108名、補欠選手8名を選出、勝ち上がり方式で優勝者を決めますが、選出選手の中でオリンピック・世界選手権のメダリスト、全プロトラック競技優勝者、その他平均得点最上位選手を含む計9名は「日本競輪選手会理事長杯」に、同レースに選出されなかった選手の中でKEIRINグランプリ優勝者や平均得点上位者など条件を満たした18名の選手が「特別選抜予選」に出場、通常の予選とは異なる枠で出場、1着及び2着となった選手(各2レース計8名)は2次予選をスルーする事ができます。

2022年までの過去10年間優勝者名

以下に2022年までの過去10年間の優勝者をまとめました。

2013 金子貴志
2014 深谷知広
2015 園田匠
2016 稲垣裕之
2017 渡邉一成
2018 脇本雄太
2019 村上博幸
2020 脇本雄太
2021 平原康多
2022 新田祐大

その他エピソードなど

2022年までの時点で完全優勝したのは神山雄一郎選手ただ1名で、最多出場回数も神山雄一郎選手の連続28回となっています。

2021年に新田祐大選手が優勝していますが、新田選手はこの優勝が同レースの初優勝となっています。
そして同レース以外のG1レースは全て制覇していたため、史上4人目のグランドスラム達成者となりました。

朝日新聞社杯競輪祭

朝日新聞社杯競輪祭(引用元:小倉けいりん)

朝日新聞社杯競輪祭(以降競輪祭と略します)は、小倉競輪場が競輪発祥の地なのを記念して設立されたG1レースで、1951年に第1回レースが実施されました。
G3以上のグレードレースの中で唯一固定開催となっているため、第1回からずっと小倉競輪場のみでの開催となっています。

競輪祭はG1レースの中で開催月がもっとも遅くなっていて、年末のKEIRINグランプリ出場権を獲得できる最後のチャンスである事から、例年白熱したレースが繰り広げられます。

簡単な歴史

初回は1951年11月21日から6日間の日程で実施されました。
当初は他の地域でも「競輪祭」という名称のレースが実施されていましたが、通産省(現在の経産省)から、「小倉以外で競輪祭の名称は使わないように」という通達が出て以降、本レース以外で「競輪祭」という名称が使われる事は無くなりました。

元々「競輪発祥を記念するレース」だったため初めのうちは毎年開催ではなかったのですが、第6回大会より毎年開催に変更されています。

2001年には開催時期が1月に変更され、更に朝日新聞社から社杯が授与されるに伴って名称を「競輪祭朝日新聞社杯争奪競輪王決定戦」に変更しましたが、2009年度に再び11月に戻され、その際に名称も現在のものへと改められました。

2018年からはナイター開催となったのに加え、第40回(1998年)から4日間開催となっていたのを6日間開催に戻しています。

出場者選抜方法

競輪祭への出場基準は他のG1レースのような「平均成績優秀者」ではなく、各競輪場で毎年開催されている記念競走(G3レース)の決勝で好成績だった選手が優先的に選ばれる事となっています。

朝日新聞社杯競輪祭の出場者選抜方法
・S級S班選手
・S級1班で過去3回以上優勝している選手
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属
・サマーナイトフェスティバルの決勝進出者
・4日制のG3レース(記念競走が多い)で決勝3着以内に入った回数が多い選手
・上記選出基準で定員に満たない場合は平均競走得点が高い選手から順に選抜

以上の条件を満たした正選手108名、補欠8名によって優勝者を決める事となります。

2022年までの過去10年間優勝者名

以下に2022年までの過去10年間の優勝者をまとめました。

2013 金子貴志
2014 平原康多
2015 武田豊樹
2016 平原康多
2017 新田祐大
2018 浅井康太
2019 松浦悠士
2020 郡司浩平
2021 吉田拓矢
2022 新山響平

その他エピソードなど

完全優勝者は2022年までに12名と、全G1レースの中でも最も多く、高原永伍選手、福島正幸選手、井上茂徳選手は2度達成しています(前の2名は2年連続完全優勝)。

ナイター開催になって以降は「朝から夜中まで競輪を楽しむ」というコンセプトで、競輪祭実施中は特別スケジュールとなっています。

朝はモーニング競輪、その後デイレースを1〜3場所実施(1場所あたり10レース)、そしてナイターの競輪祭を実施した直後にミッドナイトレースを施行する、といった流れです。

女性選手が出場できるG1レースは3つ

ガールズケイリン(引用元:ガールズケイリン公式サイト)

前述した通り、ガールズケイリンも2023年度よりレース形態が大幅にリニューアルし、新たに女性選手限定のG1レースが3つ新設されました。
2023年はガールズケイリンにとって転換期となる年となることは間違いなく、さらなる盛り上がりを見せることは必至です。

パールカップ

「パールカップ」という名前になったのは、本競争が毎年6月に施行され(高松宮記念杯と同日に実施)、6月の誕生石が「真珠」であるためです。

真珠は冠婚葬祭に身に着ける宝石としてはメジャーなので、この名づけ方はガールズケイリンの大レースにピッタリといえるでしょう。
出走する選手の選抜方法は以下の3つです。

パールカップの出場者選抜方法
・ガールズグランプリ2022で1~3位となった者
・選手選考対象期間において2か月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者
(選考期間の平均競走得点が上位20位以内の者)
・東西別平均競走得点上位者
(同点の場合は選考期間における選考用賞金獲得額上位者)

この基準を満たしている選手を東西それぞれ14名ずつ、計28名(補欠2名)選出し、東西対決方式による勝ち上がりによって優勝者を選出します。

オールガールズクラシック

新設された3つのガールズケイリンG1レースの中でも「クラシック」という名前を冠することから、おそらくもっとも格式が高いレースと今後なっていくであろうレースです。

第1回は2023年10月2日実施となりますが、2回目以降は毎年4月に実施することが決まっているので、先に紹介した「パールカップ」よりも先に実施されることとなります。

選抜条件は以下のようになっていて、この条件を満たしている中で42名(補欠3名)を選抜、勝ち上がり方式で争われます。

オールガールズクラシックの出場者選抜方法
・ガールズグランプリ2022で1~3位となった者
・選手選考対象期間において2か月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者
(選考期間の平均競走得点が上位20位以内の者)
・選考用賞金獲得額上位者
(同額の場合は選考期間における平均競走得点上位者)

競輪祭女子王座戦

2023年から新設されたガールズケイリンG1レースの3つ目が「競輪祭女子王座戦」です。
競輪祭の決勝戦はかつて「競輪王決定戦」という名称であったことや、男子新人選手による「新人王戦」も実施されていたという経緯があることから、名称が「競輪祭女子王座戦」となりました。
出走する選手の選抜方法は大きく分けて以下4つとなっています。

競輪祭女子王座戦の出場者選抜方法
・ガールズグランプリ2022で1~3位となった者
・選手選考対象期間において2か月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者
(選考期間の平均競走得点が上位20位以内の者)
・単発競走を除く決勝1~3位回数上位者
(同数の場合は平均競走得点上位者)
・平均競走得点上位者
(同点の場合は選考期間における選考用賞金獲得額上位者)

これらの条件に該当する28名(補欠2名)が選出され、トーナメントによる勝ち上がり戦で争われることになります。

2022年G1レースの決まり手とオッズを確認

2022年G1レースの決まり手とオッズを確認

2022年G1レースの決まり手とオッズを一覧にしてみました。

決まり手 3連単オッズ
読売新聞社杯全日本選抜競輪 差し 6,630円
日本選手権競輪 まくり 18,320円
高松宮記念杯競輪 まくり 91,950円
オールスター競輪 まくり 4,720円
寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント 差し 28,390円
朝日新聞社杯競輪祭 まくり 14,260円

全G1レースの決まり手とオッズを見てみると、「逃げ」による勝利がひとつもないことが分かります。
先頭をずっと走り続ける逃げ選手はただでさえスタミナを消費しますし、最上位クラスが争うG1レースで逃げ切るというのは飛び抜けたポテンシャルを持っていなければ不可能であるということがレース結果を見ても分かります。

逃げ選手は評価を割り引いて置いたほうがよいかもしれません。
オッズに関しても「オールスター競輪」は比較的堅い決着となっていますが、それ以外は「中穴」以上の配当となっており、本命決着には滅多にならないのがG1レースの特徴のひとつといえるでしょう。

G1レースを予想する際のコツとは?

G1レースを予想する際のコツとは?

G1レースは出場する選手のレベルや出場している選手の心理状態が一般戦や他のG2レースとは大きく違うので、その点を考慮して予想していくことが重要です。
本項目ではG1レースを予想する際のコツを4つ紹介します。

レースが行われるコースの特徴を理解する

G1レースに限った事ではありませんが、レースが実施される競輪場の特徴を理解しておく事は基本中の基本です。
これが出来ていないとレースと相性が良い選手を見つけられる訳がありません。

競輪場の特徴は一度覚えておけばコース自体の工事を行わない限りずっと使える知識です。
とはいえ全43ヶ所の特徴を一気に覚えるのは大変なので、時間をかけながら少しずつマスターしていくようにしましょう。

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強いラインの目立たない選手にも注目

G1レースに出場している選手はトップクラスの能力を持っているという事は改めて言うまでもありません。
それは上位選手だけではなく、下位選手であっても同じです。

人気がなくてもそれはG1という競輪最高峰のレースに出走している選手たちの中での話であり、一般戦などであれば圧倒的1番人気になる事でしょう。

通常のレースであれば強いラインを組んでいる選手の上位2名ないし3名を選んで残りの選手は買い目から外しますが、G1レースではその考えは危険です。

たとえ人気下位の選手だったとしてもポジション取りさえ上手くいけば上位選手をあっさりと抜いて1着になるくらいのポテンシャルを秘めています。
ライン予想を見て勝ちそうなラインを見つけたら、そのラインを組んでいる選手は全員買い目に含めるくらいの考えを持っておいたほうがよいでしょう。

1番人気はあまり過信しないこと

人気があまりない選手であっても十分上位に食い込む力を持っているということは逆に言えば1番人気になっている選手に対して一般戦などほかのレースと同じくらいの信頼を寄せてはいけない、ということです。

もちろんG1レースに出場する選手たちの中で1番人気になっているということは現競輪界をけん引するくらいの実力を持っていることは間違いなく、上位に食い込んでくる可能性は高いのですが、「1番人気だから1着固定軸にして問題ないだろう」という気持ちで買い目を決めてしまうと大負けしてしまう事もあるため、2番人気以下との能力差はしっかり確認しておくようにしましょう。

中穴くらいをねらうのがおすすめ

G1レースは優勝賞金が破格なうえに、優勝した時点で年末の「KEIRINグランプリ」への出場が確定し、更には翌年のS級S班が確約されるため、全選手が全力で勝ちを狙いに行きます。
そのため通常なら仕掛けないようなタイミングで一か八かの勝負をする選手が出てくることもあり、人気通りの決着にならないことがかなり多いです。

当たった時のリターンを考慮すると流石に大穴狙いは危険すぎますが、中穴程度を狙ってみるというのは非常に有効な買い方だといえます。
本命は狙いつつ、同ラインの人気下位選手や別ラインの実力上位選手もある程度含めるといった買い方がおすすめです。

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まとめ

本記事では競輪の全G1レースについて解説しました。
G1レースはそれぞれ他のG1レースとは選定基準が大きく異なるため、すべてのG1レースに出走するには年間通して最高ランクの記録を維持し続けなければなりません。

無条件で全G1レースに出走できるのは、以下3つの条件のうちいずれかを満たしている選手のみ。
この条件をクリアできる選手は全競輪選手のうちほんの一握りです。

無条件で全G1レースに出走できる条件
・S級S班選手
・S級1班で過去3回以上優勝している選手
・S級1班選手で選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属

出場条件が非常に厳しい代わりにG1レースの優勝賞金はG2以下のレースとは比べ物にならないほど高額で、1レースでも優勝すれば賞金ランキング上位に入る可能性が非常に高くなります。

そして何といってもG1レースに優勝すれば年末のKEIRINグランプリへの出走権を獲得するとともに、翌年のS級S班が確定するという破格の特典を手に入れる事ができます。
破格の特典と超高額の優勝賞金を獲得するため、G1レースでは激しい争いが毎回繰り広げられる事は必至です。

通常であれば1番人気をそのまま信用すれば良いですが、G1レースに出場する選手は全員自力で勝負を決める能力を持っています。
たとえ人気がなくても有利なラインを走れるのであれば迷いなく車券に組み入れましょう。