競輪のバンクとは?特徴や距離など初心者にも分かりやすく解説!
競輪のレース予想をするためにはさまざまな情報を入手したり、知識を身に着ける必要があります。
本記事では競輪のレース予想をするうえで必須となる知識の一つ、「バンク」についてその特徴や距離、専門用語などをひとつひとつ解説していきます。
この記事を読めばバンクの基本的な知識をすべて身に着けることができるでしょう。
バンクとは競輪のレースが行われるコースの事
バンクとは簡単に言ってしまえば競輪のレースにおいて、実際に選手が自転車に跨って走行するコースのことを指します。
競輪が実施されている競輪場は、北は北海道函館から南は九州熊本(現在は地震の影響で改修工事中)まで全国に43か所ありますが、まったく同じ条件のバンクはひとつもありません。
競輪のレースを行う上でバンクは必ず使用することになるので、バンクの知識を身に着けておくことがレース予想をする上で重要であることは改めて説明するまでもないでしょう。
バンクは1周の長さが500メートル、400メートル、333メートル(1か所だけ335メートルある)と3つに分けられています。
競輪場を建設する際に広い場所を確保できれば500メートルとなりますが、あまり広い場所に建設できないのであれば、333メートルバンクが建設されます。
とはいえ、全国の競輪場のうち実に7割以上が400メートルであり、333メートルと500メートルはかなり特殊なバンクであるといえるでしょう。
そして、バンクを語る上で欠かすことのできないもうひとつの特徴が「カント」です。
カントについてはバンク内の名称の項目で詳しく解説しますが、カントは競輪のレースを行う上で必要不可欠な場所のひとつです。
バンクは常に同じ状態を保てるように細心の注意が払われている
(引用元:東亜道路工業)
競輪は他のスポーツやレースとは大きく異なり、ファンがお金を賭けてレースを予想し、的中すれば支払ったお金よりも多くのお金を得ることができるギャンブルです。
したがって公平性を期すために徹底的にルールが決められています。
それはバンクにおいても同じことで、基本的にはどのコースを選択しても同じような条件で走行できなければなりません(風や雨など天候による影響は除く)。
そのため、バンクのメンテナンスは定められたルールに従って定期的に実施されています。
競輪が実施されるバンクはウォークトップ塗装という工法でコースを保護しています。
ウォークトップ塗装とは、走路の保護と耐久性に優れたカラー素材のことで、競輪のバンクだけではなくサイクリングコースを塗装する際にも用いられている塗料です。
見た目が色鮮やかで美しいのが大きな特徴で、ふんだんに使用されたコーティング剤によって舗装面を劣化から保護してくれます。
全レース終了後アスファルトを補修
競輪のバンクそのものはアスファルトやコンクリートで形成されていて、その上に先ほど紹介したウォークトップ塗装を施しているといった構造になっています。
競輪の全レースが終了した際は専門の係員が必ずバンクの状態を確認し、損傷している部分があればそこにアスファルト乳剤を流し込んで補修し、翌日には損傷も何もないまっさらな状態でレースが実施できるようにメンテナンスを実施しています。
落車が発生したらすぐさま部分補修
競輪のレース中のアクシデントとしてもっとも多いのが落車です。
特に最終周になると競輪選手たちはときに身体をぶつけ合いながらより上の順位を目指すので、状況によってはバランスを崩して転倒してしまうことがあります。
いかにウォークトップ塗装を施していたとしても、時速70キロで走行する自転車がバンクに激突したら、損傷は免れません。
落車した場合、そのレースが終了すればすぐさま係員が落車が発生した場所を点検します。
落車によってバンクが損傷している場合はバンクが尖っていたり凸凹したりしているので、損傷していることを確認したらすぐさまその部分を木槌で叩いてならしていきます。
何か専用の機械で凹凸を修繕するのかと思っていましたが、かなり原始的な方法なので驚きました、
木槌で叩いても治らないような激しい損傷に関しては、レース後のメンテナンスと同様にアスファルト乳剤を粘土状にしたものを損傷している部分に練りこみ、応急的に修理します。
そして全レースが終了したのち、通常のメンテナンス作業をおこなって損傷部分を完全に修復、翌日には常にバンクが綺麗な状態でレースが実施されることとなっています。
バンク全体の補修はとても大変!
部分的なメンテナンスを行ったとしても経年劣化による損傷を完全に予防することはできません。
したがって一定期間経過すると競輪場全体の舗装が必要になります。
毎日のメンテナンス程度であれば数名の係員で行えますが、バンク全体の補修をするとなると非常に大掛かりであり、専門の業者に補修を依頼して大型の機械も導入しなければなりません。
バンクは平坦ではなくカントという角度が必ずつけられています。
バンク全体を補修するためにはこのカントの角度を計算しつつ、どのコースを通っても平坦になるように補修していかなければなりません。
熟練の経験と技が無ければバンク全体の補修は不可能です。
バンクの特徴を掴む事が車券的中には必要不可欠!
繰り返しになりますが、競輪のレースを実施する上ではバンクを必ず走行しなければなりません。
したがって、競輪のレースはバンクの構造によって展開が大きく左右されます。
バンクの特徴を掴むこと、それはレースの特徴を掴むことにも繋がるのです。
競輪の知識がまったく無い人がバンクの特徴を覚えることは大変ですが、バンクの特徴を掴むことが車券的中には必要不可欠なので、頑張って覚えるようにしましょう。
これだけは覚えておこう!バンク内の名称5つ
(引用元:KEIRIN GUIDE)
バンクの事を覚える際に必ず覚えておいてほしい専門用語が5つあります。
本項目では5つの言葉についてどの部分を指している言葉なのかも含めて詳しく解説していくので、競輪初心者でもここの文章を読めば覚えることができるでしょう。
カント
バンクの専門用語のなかでも最重要用語となるのが「カント」です。
カントとはバンクの主にコーナー部分に設けられている傾斜のことで、カントはレースを盛り上げるために設けられています。
通常のコーナー部分だとスピードをどうしても落とさなければなりません。
したがってコーナー部分では競り合いなどが生まれることはなく、どうしてもコーナー部分のレースは退屈なものとなってしまいます。
しかし競輪のバンクではコーナー部分にカントを設けていて、カントの傾斜のおかげでコーナー部分もスピードを落とさずに周回することが可能です。
その結果、カント部分でもほかの部分と同じように白熱したレースを楽しむことができます。
というよりもむしろカントを巧みに使った選手の追い込みは競輪のレースを観戦するうえで最も興奮する瞬間となっており、カントの効果は絶大といえるでしょう。
ホームストレッチライン
ホームストレッチラインとはバンクのホーム部分にひかれている線のことで、ホームストレッチラインよりも「ゴール線」として覚えてもらったほうが記憶に残りやすいでしょう。
すべての競輪選手は定められた回数バンクを周回し、最終的に誰よりも早くこのホームストレッチラインを通過することを通過することを目指してレースに臨んでいます。
また、レースの最終周でもっとも早くこのホームストレッチラインを通過した選手は出走表の「H」と記載されている項目にカウントされます。
この「H」が多い選手はレースで先頭を走ることが多い、つまり「逃げ」が得意な選手であると想定できます。
逃げ選手はレース全体の流れを握る重要な存在なので、「H」の数字には注目です。
25m・30mライン
25メートルラインはホームストレッチラインから25メートル先に引かれているライン、30メートルラインはホームストレッチから30メートル手前に引かれたラインです。
ただの線ですが、両者の意味はまったく異なるものなので、それぞれの線がどういった意味を持っているのかを覚えておきましょう。
25メートルラインは、レースがスタートしてからすべての選手がこのラインを通過する前に落車が発生した場合、レースはやり直しとなります。
一方ホームストレッチライン手前の30メートルラインは、最終周でこのラインより内側からホームストレッチラインの間までに落車などによって自転車の乗れない状態になってしまったとしても、自転車を押しつつ徒歩などでゴールを目指しても良いと競輪のルールで定められています。
例えば2017年のKEIRINグランプリでは深谷知広選手が30メートルラインとホームストレッチラインの間で落車事故を起こしてしまいましたが、そのまま自転車を担いでゴールを目指したその姿に多くのファンが声援を送ったというエピソードもあります。
バックストレッチライン
バックストレッチラインはホームストレッチラインのちょうど反対側に引かれているラインのことです。
ホームストレッチラインと同様にバックストレッチラインを最終周にトップで通過した選手に関しては出走表の「B」の数字がカウントされます。
このBの数字が多い選手もHの時と同様に逃げが得意な選手であると判断してよいでしょう。
内圏線・外帯線
バンクの内側に引かれている線が「内圏線・外帯線」です。
内圏線はバンクの一番内側に引かれている線で、選手はこの内圏線よりも内側を走行することは禁止となっており、もし内側を走ってしまった場合はルール違反で即失格となります。
しかしレース中に激しい接触を受ける恐れがある場合は一時的に避難するという目的で走行することは許可されています。
一方外帯線は内圏線から70センチ外側に引かれているラインのことで、この線の内側を走行することに関しては問題ありませんが、この線を走行している選手の内側を通って追い抜くことは禁止されていて、もし外帯線の内側を走行して追い抜いたことによって追い抜かれた選手が落車などのアクシデントに見舞われてしまった場合、追い抜いた選手は失格となります。
レースの勝敗を大きく左右する「みなし直線距離」
(引用元:松阪競輪オフィシャルサイト【公式】)
競輪のバンクについて、特に重要な5つの用語を解説しましたが、バンクに関してはこれらよりも予想をする上で最重要な部分があります。
それが「みなし直線距離」です。
みなし直線距離というのは、最後のコーナーからホームストレッチまでの直線距離のことを指していて、この部分で競輪選手は最後の勝負駆けをおこなうので、レースの勝敗を大きく左右する部分の一つとなっています。
みなし直線距離は競輪場によって長さが大きく異なり、みなし直線距離の距離によってその競輪場が逃げや先行など前を進む選手に有利なのか、逆に追い込みや差しなど後ろから攻めるのが得意な選手に有利なのかがある程度判別できます。
競輪場の特徴は1度覚えておけばずっと使える知識
競輪のレースを予想する上で覚えなけばならない情報は沢山ありますが、例えば選手の情報についてはその時によって調子が大きく異なるので、一度覚えればずっと使えるというわけではなく、定期的に最新情報を入手してアップデートさせていかなければなりません。
しかし競輪場のバンクの情報はバンクそのものが大改修されて一変しない限りは不変の情報であり、一度覚えればずっと予想に活用し続けることができます。
つまり競輪場の情報を覚えるというのは非常にコストパフォーマンスに優れているというわけです。
43か所覚えるのは大変ではありますが、まずは自分が好きな競輪場の知識を集中的につけるとよいでしょう。
まとめ
バンクとは競輪のレースにおいて選手が実際にレースをおこなう部分の事です。
バンク最大の特徴がコーナーに設けられた傾斜、カントで、このカントによってコーナー部分でもスピードを落とさずに走行することが可能なのでレースを大きく盛り上げる要素のひとつとなっています。
バンクにはさまざまな名称がありますが、そのうち特に覚えておいてほしいのが以下の5つです。
ホームストレッチ | いわゆるゴール線 |
25メートル線・30メートルライン | レーススタートから25メートルラインまでに落車事故が発生した場合はレース最下位、最終周で30メートルラインの内側で転倒した場合、自転車を担いで歩いてゴールすることが認められている |
バックストレッチライン | ホームストレッチラインの真逆に引かれた線 |
内圏線・外帯線 | 内圏線の内側は特例を除き走ってはいけない、外帯線は走行するのは問題ないが、この線を走行している選手を内側から追い抜いてはいけない |
みなし直線距離 | 最後のコーナーからホームストレッチまでの直線距離 |
特にみなし直線距離は競輪場によって長さが大きく異なり、この距離によってどの脚質の選手が有利な競輪場かが決まるのでしっかり覚えるようにしましょう。
選手の情報と異なり、バンクの情報や知識はバンクが大改修されて一変しない限りはずっと使い続けることができるので、競輪初心者が真っ先に覚えておいて損はありません。