競輪の先行選手の戦法である「抑え」「つっぱり」「かまし」について徹底解説!
競輪の予想をする上で必ず注目しなければならないのが先行選手です。
先行選手は競輪のゲームメーカーの役割を担っており、どのような動きをするかでレースの展開が大きく変わります。
本記事では競輪の先行選手について解説するとともに、先行選手の戦法である「抑え」「つっぱり」「かまし」についても解説します。
最後まで読めば先行選手について基本的な知識は網羅できるはずです。
競輪のレース中はさまざまな駆け引きが繰り広げられる
競輪選手は何も考えずにトラックを周回している訳ではありません。
各選手は一人一人得意な戦法というものがあります。
持続力に自信があってできるだけ前の方を走り、最後まで粘るといった戦法を得意とする選手もいれば、逆にスタミナはあまり無い代わりに誰にも負けない瞬発力を持っていて、最後の直線で爆発的なスパートをかけて一気に抜き去る事を得意としている選手もいます。
各選手はトラックを周回しながら、少しでも自分にとって有利なポジションで走れるように色々と駆け引きをしています。
もちろん良いポジションを確保できたら選手はその場所を奪われまいと死守するでしょう。
更に競輪では「ライン」という隊列を組んでレースに臨むので、自分勝手に動くとラインが崩れてしまいます。
レースがスタートした直後から、競輪ではさまざまな駆け引きが繰り広げられているのです。
競輪選手には大きく分けて2タイプある
競輪選手の戦い方は大きく分けると「地脚タイプ」と「スプリンタータイプ」に分けられます。
それぞれの特徴を把握しておく事で、各選手がどのように動くかが事前に推理できるようになるので、ここでしっかり覚えるようにしましょう。
地脚タイプ
地脚タイプの選手は自分から積極的に前に行くことを得意としています。
スタミナがあるので、長い時間トップスピードを維持できるのが強みです。
地脚タイプの選手が自分の残りスタミナを完璧に計算し、他の選手よりも先行してスパートをかけると他の選手は付いていくのに精一杯で追いつく事は至難の業でしょう。
いかに自分のペースで走り続ける事ができるかが、地脚タイプ選手の勝敗を大きく左右します。
その一方でここぞという時の爆発力はあまりないので、後述するスプリンタータイプの選手と横並びになってしまうとあっさり置き去りにされてしまう可能性が高いです。
スプリンタータイプ
スプリンタータイプは陸上選手で言い換えるならば「短距離選手」で、持続力はありませんが全力を出した時の爆発力は地脚タイプの選手を圧倒する破壊力です。
スプリンタータイプの選手は地脚選手の後方に控えてじっと全力を出す機会をうかがい、勝負どころと判断した瞬間一気にペダルを踏み込んで加速、前を行く地脚選手をかわして先頭でゴールする、というのが常套手段です。
勝つためには勝負どころを正確に見極める洞察力が必要なのはもちろんの事、地脚選手のスタミナを奪うため巧みに駆け引きできるかも重要です。
先行選手とはどんな選手?
先行選手はラインの先頭を走る事を得意としています。
競輪だけではなく競馬にも先行がありますが、競馬の先行と競輪の先行では意味が少し違います。
競馬の先行は「逃げ馬のすぐ後ろに待機して追走し、最終コーナー手前あたりで徐々に進出、逃げ馬を交わして先頭でゴールする」という戦法であるのに対し、競輪の先行選手はどちらかといえば競馬で言えば「逃げ」と同じ戦法です。
レースが始まってすぐラインの先頭を走り、そのままゴールまで走り切ることを得意としています。
先頭を走るとはいっても競輪の場合、一番前には「誘導先導員」が居るので厳密には戦闘ではありませんが、誘導先導員にすぐ後ろを走るので、選手の中という括りで限定すれば先頭を走ることとなります。
先頭を走るのにも2パターンあって、「全選手の先頭を走ることを得意とする選手」と「ラインの先頭を走るものの、先頭ではなく中段あたりに控えて鐘が鳴ってからスパートをかけて前のラインを抜くことを得意とする選手」がいます。
選考選手のなかでも前者の戦法を得意とするのが「逃げ」、後者の戦法を得意とする選手が「まくり」です。
どちらの戦法が得意かは出走表にある「過去の決まり手」を見ることで判別できます。
先行選手の代表的な戦法は3つ!
先行選手の走り方については理解してもらえたでしょうか。
そして選考選手には更に大きく分けて3つの代表的な戦法があります。
その戦法とは「抑え」「つっぱり」「かまし」で、先行選手はレースの展開によって各戦法を使い分け、最終的に勝利を手にするのです。
先行選手の基本戦法である「抑え」とは?
(引用元:競輪ガイド)
抑えは先行選手の基本戦法であり、中段あたりを走っている先行選手はまずこの抑えによって先頭に立つことを最優先にスパートを仕掛けています。
抑えは先頭誘導員が退避した後一気にスピードを上げ、先頭を走るラインの選手の前に出るという戦法です。
一番先頭を走っている選手は誘導先導員が退避すると直接向かい風を受けるので体力の消耗が激しくなります。
するとスパートを仕掛けるタイミングというのはどうしても他の選手よりもコンマ1秒遅れてしまう場合が多いでしょう。
抑えはそのコンマ1秒のタイミングを狙って先頭の選手よりも早いタイミングでスパートを仕掛けることによって先頭を奪うことができるのです。
「つっぱり」とはどんな戦法?
(引用元:競輪ガイド)
つっぱりは「逃げ」戦法を得意とする選手が主に用いる戦法です。
つっぱりはまずスタートしてからすぐにどの選手よりも前を走る必要があります。
そして鐘が鳴らされると後ろの選手は一気にペダルを踏みこんで前を奪おうと殺到してくるでしょう。
つっぱりはその際に後ろの選手と同じタイミングで強くペダルを踏みこみ、後ろの選手に抜かせないように前に出るという戦法です。
後ろの選手と同じ位置を追走することができれば、後ろの選手が抜こうと思うと必ずつっぱりをしている選手よりも外側を走らなければなりません。
外側を走るほうが走る距離が長くなり、スタミナの消費も激しくなり、追い抜くことはさらに困難になるでしょう。
つっぱりを決める可能性が高い選手の見極め方
つっぱりを決めるためにはとにかく先頭を走らなければなりません。
突っ張りを決める可能性が高いであろう選手は、出走表の「基本データ」を見ることで分かります。
(引用元:楽天Kドリームス)
注目するのは「S」「B」「逃」の3つです。
この3つの数が他の数値よりも圧倒的に多い場合、その選手は積極的に先頭を走る「逃げ」脚質の選手だと判断できます。
逃げ脚質の選手であるということは、主に取る戦法は「つっぱり」となるので、必然的につっぱりを決める可能性が高いです。
つっぱりのメリットとデメリット
つっぱり先行選手が有力選手である場合のメリットは、「ラインによる決着となる可能性が高くなる」という点です。
先行選手には逃げとまくりがあることについては先に話した通りですが、まくりの場合はラインがバラバラになってしまう可能性が高いです。
しかしつっぱりを使う選手は逃げ選手なので、レースが始まってからずっとそのラインは先頭をキープし続けることになります。
そのままつっぱりが上手く決まるということは、先頭をキープしているラインがそのまま残るということになるので、有力なつっぱり選手がいる場合のレースは「スジ決着」と判断して間違いないでしょう。
つっぱりのデメリットは先頭をキープできなくなる可能性が高い、という点です。
つっぱり選手はスタミナが豊富な選手ではありますが、やはりずっと先頭を走るというのは他の選手よりもスタミナを多く消費します。
3連複ならば特に気にしなくても問題ないですが、3連単や2車単を購入する場合は着順も当てなければならなくなるので、つっぱりを決めた選手が2着以下になってしまうことも想定して買い目を決めていく必要があるでしょう。
ルール変更によって「つっぱり」が増えた?
2019年5月11日に大幅なルール変更が行われました。
簡単にどうなったのかを説明すると、先頭誘導員を追い抜くことが出来る距離がこれまでよりも短くなっています(33バンクは残り2周半のバック、400バンクは残り2周の赤板ホーム、500バンクは打鐘まで)。
先頭誘導員を長く使えるということはその分先頭選手が風を受ける時間も短くなります。
結果的にこれまでよりも「つっぱり」を狙う先行選手が増えました。
さらにコロナの影響によって「7車立て」が増えたこともつっぱり選手優位に働いています。
特に新人選手は先行選手が多いため、強いつっぱり選手が出走するレースでは人気が集中して上位人気のオッズは非常に低くなります。
しかし逆に言えばスジ違いで決着すると一気にオッズが高くなるので、穴党からすると現在のつっぱり優位のレースは結果的に楽しみが増えたといえるのかもしれません。
「かまし」とはどんな戦法?
(引用元:競輪ガイド)
かましは中段に控えている先行選手が用いる戦法のひとつです。
かましは、先頭を走る逃げ選手や抑えを決めようとしているまくり選手などがスパートを仕掛けるよりも早いタイミングで一気に加速、そのまま前の選手をすべてごぼう抜きにする戦法です。
つまりかましは他の選手のふいをつく戦法であるといえるでしょう。
かましとまくりは戦法がよく似ているので混同されがちですが、まくりよりもかましのほうがより早いタイミングでスパートを仕掛けるといった違いがあります。
かましを決める可能性が高い選手の見極め方
かましを決める可能性が高いかどうかも出走表の「基本データ」である程度判別することができます。
先ほどつっぱりを決める可能性の高い選手は「S」「B」「逃」の数が著しく多い選手であるかどうかが判断基準になると説明しました。
かましを決める選手は「S」と「逃」が少ない代わりに「捲」の数値が多くなっていればこの選手はかまし又はまくりを決める可能性が高い選手であると判断できます。
かましのメリットとデメリット
かましのメリットは成功すれば実力が劣っている選手でも先頭に立って車券圏内に食い込む可能性が高くなるという点です。
かましを決められたということは他の選手からすれば不意を突かれたということになります。
各選手はそれぞれ自分にとってベストの「勝負を仕掛けるタイミング」というものがありますが、かましによって不意を突かれるとそのタイミング以外の場所でスパートをかけざるを得なくなります。
自分の思っているのとは違うタイミングでスパートした場合、自分が持っている能力のすべてを出すことはできないでしょう。
デメリットは一か八かの勝負なので失敗するとほぼ車券圏外になってしまうという点です。
ほかの選手よりも早いタイミングで仕掛けるわけですから、通常よりも長い距離を全力で走らなければならなくなります。
成功してもゴールまでスタミナがもたないということもあるでしょうし、他の選手が思いのほか早く反応して動いた場合もかましは失敗してしまうでしょう。
まとめ
本記事では先行選手の特徴と、先行選手の戦法、「抑え」「かまし」「つっぱり」について解説しました。
先行選手はレースの進行を握るゲームメーカーの役割を果たしているので、先行選手の特徴を掴むことでレースの流れや展開を予想することができます。
レース展開を予想することができれば、どの選手が有利になり、どの選手が上位争いから脱落するのかを取捨選択しやすくなるでしょう。