競輪選手の身長や体重に制限はある?トップ選手の身長体重も紹介
競輪選手と言えばやはりその見事な肉体をどうしても思い浮かべてしまいます。
競輪選手はプロスポーツ選手ですが、プロスポーツ選手は特に体重に関してとても気にしているというイメージがあります。
例えばボクシング選手などは階級ごとに体重が決められていて、体重をクリアしなければ試合に出場することができません。
ボクサーの減量と言えば誰もが「とても厳しい」と連想することでしょう。
では競輪選手には身長や体重の制限が設けられているのでしょうか。
本記事では競輪選手の身長や体重について詳しく解説します。
プロスポーツ界で活躍するには体重管理は非常に重要
先ほども触れましたが、プロスポーツ選手として活躍し続けるためには自身の体重を含めた体重管理が非常に重要です。
プロスポーツ選手は常に最高のパフォーマンスを発揮しなければ活躍できない厳しい世界であることは多くの人が認識していることでしょう。
最高のパフォーマンスを出すためには、「自分のベストな体重」を維持することが絶対条件となります。
そのため、多くのスポーツ選手はグラム単位で体重管理をし、最高の状態でプレーできるように努めているのです。
公営競技の選手には体重制限がある
体重管理が必要なスポーツ選手の中でも、特に体重管理が大変なのが「体重制限があるスポーツ」です。
競輪は公営競技のひとつですが、実は公営競技の選手には厳しい体重制限が存在します。
ここでは競輪以外の騎手・競艇選手・オートレース選手の体重制限について簡単に紹介します。
騎手
公営競技のなかでも特に体重管理が大変なのが「騎手」です。
その理由として、競馬には「斤量」という要素が設けられていることが挙げられます。
斤量とは簡単に言えば競走馬の負担重量の事で、競馬では各競走馬に定められた負担重量ピッタリでなければ出走することができません。
斤量は「騎手の体重プラス馬具の重量」の合計になり、馬具全体の重量はおよそ3キロほどだと言われています。
したがって、例えば斤量53キロの競走馬に騎乗する場合、騎手は体重50キロにしなければならないというわけです。
成人男性で体重を50キロにしなければならないというのは非常に大変なことは分かるのではないでしょうか。
ちなみに競馬学校に入学する際の制限体重は最高46.5キロと更に厳しくなっています。
競艇選手
競艇選手に関しては、体重の上限は設けられておらず、健康上の理由から「最低体重」が設けられています。
最低体重は男性選手は52キロ、女性選手は47キロとなっていて、この重量を下回る場合は重りをつけた衣装を着用しなければなりません。
しかし、競艇では基本的に体重が軽ければ軽いほど有利と言われているため、各選手は厳しい減量をして最低体重ギリギリでレースに臨むことが多いです。
オートレーサー選手
オートレーサー選手の選手自身の体重制限については特に記載されていませんでしたが、養成学校に入学する際は体重60キロ以下と定められています。
体重制限はないものの、恐らく重すぎるとバイクのスピードが出なくなるので、各選手はそれなりに体重管理をしていると思われます。
森且行選手が体重についてインタビューに答えていましたが、回答時の体重は59キロで、毎日体重計に乗り、甘いものは食べないようにするなど体重管理はしっかりと行っているようです。
特に厳しい騎手の体重管理法
公営競技の中でも騎手の体重管理はずば抜けて厳しいものとなっています。
近年サウナが一大ブームになっていますが、騎手にとってサウナは体重管理をする上で必要不可欠な施設のひとつです。
騎手など関係者のみが入れる「トレーニングセンター内」にはサウナがあり、24時間稼働しているそうです。
騎手によって頻繁に利用する人とそうでない人が居るものの、どうしても体重が落ちない時の奥の手となっている事は間違いないでしょう。
そして、基本はやはり食事による体重管理です。
食事管理法もジョッキーによって様々ですが、脂肪分の多いものや糖質の高いものはほとんど口にしないという騎手が大半です。
過酷な減量を物語るエピソードとして、レジェンド騎手である武豊騎手のお父さんで元騎手の武邦彦氏は騎手時代自宅で固形物をほとんど口にしなかったそうです。
過酷過ぎると思う人も多いかもしれませんが、体重オーバーで騎乗停止となってしまうと、馬主や調教師から信頼を失い、競走馬に騎乗する機会をどんどん失ってしまう事になります。
体重管理は収入を得るために必要不可欠なのです。
競輪選手に体重制限はなし
騎手をはじめ、公営競技の選手は健康を損なわない範囲内で体重が軽い方が良い結果を出しやすい事は理解してもらえたのではないでしょうか。
肝心の競輪選手に体重制限があるのかについてですが、競輪選手には体重制限は上限・下限ともに設けられていません。
他の公営競技とは異なり、競輪選手はレースに出場する上で体重に関しての縛りは一切ないのです。
競輪選手に体重制限がない理由
競輪選手に体重制限が設けられていない理由としては、競輪という競技の性質が大きな要因となっています。
ここでは競輪選手に体重制限がない理由を詳しく解説していきます。
筋肉をつけなければ戦えないから
競馬では騎手が競走馬に騎乗してレースに出走します。
競艇ではボートレーサーがボートに乗り、オートレースではオートレース選手がバイクに乗って出走します。
そして競輪では競輪選手が自転車に乗って出走します。
公営競技では選手全員が何かに乗ってレースに臨むのですが、競輪とそれ以外の公営競技で決定的に異なる点が一つあります。
それは、「前に進むのに競輪以外の公営競技では選手が力を使う事はほとんどない」という点です。
競艇とオートレースではアクセルを回せば自動で前に進みますし、競走馬もレースが始まればゴールを目指して走ってくれます。
しかし競輪だけは選手が自転車を漕がなければ前に進みません。
つまり選手自身の肉体によって勝ち負けが大きく左右されるという事になります。
競輪には「ライン」があるので個の力だけでずっと勝てるという訳ではありませんが、最終的には他の選手よりもいかに自転車を早く漕ぐかで勝敗が決まりますし、近年の競輪ではラインを無視して「自力」で終始走りきり、勝ち星を積み重ねている新時代の選手が続々と出てきているそうです。
そのため、競輪選手は己の肉体を鍛えて筋肉をたくさんつけなければいけません。
そのような競技で体重制限があると選手のパフォーマンスを最大限に発揮できなくなってしまうでしょう。
消費カロリーが一般の人とは桁違い
一般成人の1日あたりの消費カロリーはだいたい2,000〜2,500キロカロリーと言われています。
対して競輪選手の1日あたりの消費カロリーはおよそ4,000キロカロリーから5,000キロカロリーと言われていて、一般成人と比べると消費カロリーは約2倍です。
これだけのカロリーを消費するという事もあって、競輪選手はしっかりと食事を摂らなければなりません。
そのような状況で体重制限を設けられてしまうと、競輪選手の体重管理は騎手以上に大変なものとなるでしょう。
カロリーを一般成人の倍消費するのは競輪選手が筋肉をたくさん付けなければならないからで、競輪という競技の特性上、体重管理を設けるのはふさわしくないのです。
トップ選手の身長や体重について調査
ここからはトップ選手の身長や体重について調査してみることにしましょう。
ネット上で2021年S級1班在籍の211名について身長や体重をまとめた情報を発見したので、それをもとに本項目は数値を記載しています。
選手の入れ替え等があるので、ここに記載した数字とは若干異なるかもしれませんが大きくは変わらないはずです。
平均身長や平均体重は?
S級1班全211名の平均身長は173.4センチ、平均体重は77.8キロという結果でした。
一般成人男性の平均身長が171.5センチ、体重が63.9キロなので、身長はあまり変わらないですが、体重は競輪選手のほうが14キロも多くなっています。
競輪選手は筋肉をつけなければならない競技なので、筋肉量が多いことでこれだけ体重に差があるのでしょう。
高身長のトップ選手ベスト3
では、S級1班で特に身長が高い選手ベスト3を発表します。
第一位 | 根田空史選手 | 186.7センチ |
第二位 | 池田勇人選手 | 185.5センチ |
第三位 | 木暮安由選手 | 185.0センチ |
体重が重い選手ベスト3
続いて体重が重い選手ベスト3を見ていくことにしましょう。
第一位 | 高久保雄介選手 | 100.0キロ |
第ニ位 | 佐藤龍二選手 | 100.0キロ |
第三位 | 野口裕史選手 | 98.0キロ |
ちなみにS級1班選手のなかで身長・体重が最も低く、最も軽かったのは坂口晃輔選手で身長156.0センチ、体重53.0キロでした。
身長が最も高い選手と比べるとその差は30センチ、最も体重が重い選手と比べるとなんと47キロもの差があります。
身長の差は一漕ぎで進む距離に影響しますし、体重は恐らく筋肉量に影響してくるでしょう。
そんな中でもトップ選手として活躍している坂口晃輔選手は人並外れた努力をしているのでしょう。
2023年S級S班選手の身長・体重
(引用元:KEIRIN GRANDPRIX 2022 HIRATSUKA)
最後に2023年時点で競輪界の最高峰に君臨する9名のS級S班選手の身長と体重を一覧にまとめました。
彼らの身長・体重は競輪選手の平均身長・体重と比較すると大きな違いはあるのでしょうか。
選手名 | 身長(cm) | 体重(kg) |
古性優作 | 168 | 77 |
脇本雄太 | 180 | 72.4 |
佐藤慎太郎 | 165 | 80 |
新田祐大 | 172 | 76 |
新山響平 | 171.4 | 76 |
松浦悠士 | 168 | 73 |
郡司浩平 | 167 | 80 |
守澤大志 | 170.7 | 75 |
平原康多 | 184 | 95 |
S級S班選手9名の身長と体重の平均値は、身長171.8センチ、体重78.3キロとなりました。
身長・体重ともにS級1班選手全体の平均値とほぼ同じとなっています。
特に体重は平原選手以外は70キロ台から80キロ台の範囲となっています。
あまり意識していないのかもしれませんが、この範囲の体重がベスト体重なのでしょう。
まとめ
ここまでは、競輪選手の体重管理について解説しました。
騎手やボートレーサーなど、公営競技の選手たちは体重制限があり、体重管理はレースに出走するうえで必須となっています。
一方競輪選手については体重制限は設けられていません。
競輪選手は自分自身で自転車を漕がなければレースを進行することができないため、選手自身の肉体によってレースの勝敗が大きく左右されます。
したがって競輪選手は筋肉をたくさんつけなければなりません。
筋肉が全身についている競輪選手は消費カロリーも一般成人と比べると格段に多く、約2倍のカロリーを1日で消費します。
筋肉を沢山つけなければならず、更に消費したカロリーを補うため沢山食事を摂取しなければならないという理由から、競輪選手には体重制限が設定されていないのです。
競輪選手の中でもトップクラスであるS級1班選手の平均身長は173.4センチ、平均体重は77.8キロでした。
S級S班選手9名の平均身長と平均体重も概ね同じくらいの数値なので、もしかすると個の数値が競輪選手として活躍するためのベストな数値なのかもしれません。