競輪のワイド車券を投資の手段にすることは可能かを検証
競輪を買い続けていて、「これを投資に出来たらな…」と考えたことはないでしょうか。
本記事では競輪の車券のなかでも特殊な車券である「ワイド」を使って投資が出来るかどうかを徹底検証していきます。
まずは投資の概念について知っておこう
近年は「老後2,000万円問題」が大きくクローズアップされたことによって、「投資」に注目する人が飛躍的に増加しています。
これからの日本の行く末を考慮すると、投資のことを知らないことは生きていくうえで大きく不利を被ることになります。
投資について基礎知識くらいは知っておいたほうがよいでしょう。
資産を増やすための手段
投資の対象になるものは実に様々ですが、代表的なものは「株式」「外貨」「債券」でしょうか。
「株式」とは株式会社の権利の一部を購入するという投資方法で、その会社が経営によってなんらかの利益を得ればそのうちの一部が利益として株式投資をした人に入ってきます。
「外貨」とは、簡単に言えば円で外国のお金を購入する投資方法です。
毎日ニュースで「1ドル何円」というニュースが放送されているのを見た覚えがあると思いますが、円の価値というのは世界情勢によって大きく変わります。
2021年から2022年にかけてこれまでにない勢いで円安が進んでいった事は記憶に新しいのではないでしょうか。
2021年1月には1ドル103円程度だったのが、最も高い2022年10月には147円に高騰しました。
もし100万ドルを所有していたとしたら、2020年だと103万円だったのが、2022年10月には147万円に増えている、ということになります。
最後に「債券」は株式とよく混同されがちですが、こちらは単純に債券を発行している企業にお金を貸すというイメージです。
お金を貸しているので、その企業が儲ける儲けないに関わらず貸したお金プラス利子を受け取ることができます。
投資最大のメリットはお金を預金するよりも大きく増やせる可能性が高いという点です。
お金について鈍感な人でも現在の日本は超低金利だということはご存じでしょう。
みずほ銀行などいわゆるメガバンクなどに普通預金でお金を預けていても金利はたった0.001パーセントしかありません。
つまり100万円預けていてもたった100円しか増えない、というわけです。
いっぽう投資で100万円を投資した場合、年利5パーセントだったとすると100万円が1年後には105万円に増加します。
年利5パーセントというのは、現在人気となっている米国株や全世界株の投資信託を利用することで十分達成可能な数値となっています。
比べるまでもなく同じお金を預けるのであれば投資に回したほうが断然お得です。
そして、同じ比率で差が開いていくわけではなく、利息で増えたお金を使わずにそのまま投資信託を続けていくと、その利息で増えたお金にも当然利息がかかるため、年数が経過すればするほど預金と投資の金額差はどんどん大きくなっていきます。
例えば100万円を普通預金に預けていた場合、20年後になっても福利を考えない単純計算では100万2,000円にしかならないということになります。
この金利で増えた分には税金が発生し、利益分の20パーセントが差し引かれるので実際は複利があっても2,000円よりも大きく下がるでしょう。
いっぽう100万円を年利5パーセントで運用し続けた場合、なんと100万円は20年後270万円ほどとなります。
この事だけを見ればまとまったお金があれば投資に回さなければ損だと思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
元本割れすることがある
では何故日本の全国民が投資をしないのかというと、すべての投資には大なり小なり「元本割れ」するリスクを伴うからです。
例えば外貨投資をした場合、その外貨の価値というのは一定ではありません。
円とドルの価値と同じように、世界のあらゆるお金と円の価値というのは日々変動していきます。
購入した時よりもその外貨の価値が上昇すれば良いですが、世界情勢によって場合によってはその外貨がわずか数か月で紙くず同然の価値になってしまうことも当然あるのです。
これは流石に極端すぎますが、ハイリスクハイリターンの株式だと年間20パーセントや30パーセント価値が低下することは日常茶飯事だったりします。
特に株式は大損してしまったという事例が山のようにあるので多くの人がそのリスクを恐れて投資をためらってしまうのです。
投資と投機の違い
投資とよく似た言葉に「投機」というものがあります。
株式投資をしている人の中に「デイトレーダー」という人たちがいますが「デイ」、つまり一日のうちに「トレード」、売り買いを繰り返す人たちの事で、厳密に言えば株式投資ではなく彼らは「株式投機」をしていると言えます。
競輪は「投資」に該当する
「投資」と「投機」の違いについて理解したところで、では競艇は投資と投機のどちらに該当するのかを見ていきましょう。
競輪は利益が出るであろう買い目にお金を投じているので、この部分は投資と投機どちらにも該当します。
そして的中すればオッズに応じた配当金が支払われます。
このお金は自分に戻ってくるので「債券」や「投資」の配当と似たような感じです。
タイミングが来たからといって売ったりするようなことはないので、競輪は投機ではなく投資に該当するといえるでしょう。
参考 【競輪の投資術】競輪のみで生活することは果たして可能なのか?競輪のワイドとはどういった車券?
ここまで投資についての説明をしました。
では実際に競輪のワイドを投資手段として活用できるかを検証していくことにしましょう。
まずはワイドという車券について理解する必要があります。
3着以内に入る選手2名さえ当たっていれば良いので、順番は関係ありません。
そしてワイド最大の特徴が「複数的中が狙える」という点です。
例えば1番から3番までの選手が1着から3着に入った場合、ワイドだと当たりの買い目は「1-2」「1-3」「2-3」と3種類存在し、上手く購入すればこの3つすべてを的中させることが可能となっています。
この特徴を見ると、当たる可能性が高いワイドは一見投資手段にとても適しているように感じますが、実際はどうなのでしょうか。
参考 競輪の「ワイド」とは?稼ぐための買い方も徹底解説!投資で失敗しないようにするコツは「負けない事を最優先に考える」
投資でもっとも重要なのは「お金をいかに増やすか」ではなく、「いかに負けないようにするか」です。
これは言い換えれば投資で負けないようにするためのコツでもあります。
増やすことを最優先すると、どうしても投資というのはリスクの高い手段に走ってしまいがちです。
それは短期的な利益を見ているからであって、投資で成功させるためには「市場にお金を長く置いておく」ことが非常に重要です。
世界経済は今後も成長していくことが見込まれているのですが、その成長は右肩上がりの上昇ではなく、上がったり下がったりしながら結果的に成長しているという結果になることがほとんどです。
負けない事を最優先にするためには、このような情勢などをしっかりと勉強して長期的な視点を持って数えきれないほどある投資方法の中から負けることが極めて低い投資方法を選択することが非常に有効です。
競輪で負けないようにする事は難しい
では競輪で負けないようにするためにはどうすれば良いのかという話になりますが、結論から言えば競輪で負けないようにするというのは非常に難しいです。
投資には株式、外貨資産、債券、金などの現物資産、不動産など数限りないほどの手段があります。
もちろん中には買えば買うほどどんどんお金が無くなってしまうというものもありますが、単純に選択肢が多いのはユーザーにとっては有利ですし、その中には負ける可能性が極端に少ないものというものも確実に存在します。
一方競輪における選択肢は「車券」しかありません。
「ワイド」「2枠連」「2枠単」「2連複」「2連単」「3連複」「3連単」の7種類は確かに的中率や平均配当が異なるので選択肢があるといえばあるのですが、例えば今回検証対象となっているワイドは競輪の車券のなかでもトップクラスに的中率が高いのですが、それでも7車立てのワイド車券の的中率は約14パーセントです。
単純に比較することはできないですが、恐らく投資で「14パーセントの確率で勝つことができますよ!」という投資手法があれば恐らくまったく売れないでしょう。
競輪とはこのような勝率が低い勝負を常に挑まなければならないということを頭に入れておきましょう。
ワイドは大きく稼ぐことが難しい車券
たとえ14パーセントであっても、ワイドは競輪の車券のなかでは非常に当てやすい車券であることは間違いありません。
当たりやすい車券ということは、必然的に予想がしやすい車券ということになり、人気の買い目にはほかの車券以上に多くの人がお金を投じることとなるので、結果としてワイドは大きく稼ぐことがかなり難しい車券であるといえます。
ワイドが大きく稼ぐことが難しい理由は主にふたつあります。
そのふたつの理由について詳しく解説していくことにしましょう。
平均配当がかなり低い
競輪の車券のなかで最も平均配当が大きい3連単の場合、9車立てだとおよそ34,000円ほどとなっていますが、ワイドの平均配当はたった600円です。
この平均配当というのは3連単10万円クラスの高額配当となった場合のレースも含まれるので、実際の配当金は平均配当の半分くらいだと見積もっておいたほうが良いでしょう。
この平均配当の低さがワイドでは大きく稼ぐ事が極めて難しい理由のひとつとなっています。
ひとつの買い目に大金を投じることができない
大きく稼ぐことができないもので大金を稼ごうと思うのならば、大金を投じるのが最も手っ取り早いです。
例えば年利5パーセントの投資資産に100万円を投じれば1年後に増えるのは5万円だけですが、1億円投じると同じ1年でも500万円の利益を得る事ができます。
ならばワイドでも同じように元のお金を増やせばたとえ平均配当が低くても大きな利益を得られるのではと考えがちですが、残念ながら競輪のワイドにおいてはひとつの買い目に大金を賭けるという方法を使う事ができません。
何故かというとオッズはその買い目が買われた金額によって変動するからです。
ワイドで大きな利益を得ようと例えばひとつの買い目に10万円を投じてしまった場合、ほぼ間違いなくその買い目は1番人気となり、オッズも1倍に限りなく近いものとなってしまうでしょう。
ワイドでオッズに影響が出ない1点あたりの投資金額はたったの1,000円程度だと言われています。
堅い配当のワイドはほとんど儲けが出ない
的中率14パーセントのワイドで負けないようにするためにはできるだけ当たる確率が高い、競走得点が上位の選手を中心に買い目を組み立てるのが無難です。
ところが人気上位の選手のみで決着してしまった場合、3つの買い目全てが200円に満たない極めて低い配当となり、たとえ全て的中したとしてもほとんど儲けが出ないといった事態に陥ってしまいます。
ワイドが投資になり得るのかの結論
ここまでワイドという車券の特徴について解説していきました。
これまでの解説を踏まえて競輪のワイドが投資の手段になり得るかどうかを最終的に判断するのは、この記事を読んだ人たちそれぞれの価値観によって変わってくるかもしれません。
しかし、データから導き出される特徴から導き出される結論としては、一般的に認知されている投資手段と比べると成功する確率がかなり低いにも関わらず大きなリターンは期待できないワイドは投資の手段としては使えないと判断するのが妥当です。
まとめ
投資とは利益が出ると見込んだ対象に対して先んじてお金を支払う行為で、よく知られている投資には株式投資、外貨投資、債券投資、投資信託などがあります。
競輪も当たると見込んだ買い目に対してお金を支払う行為なので、ある意味投資手段のひとつと捉えて間違いありません。
今回はワイドが投資手段のひとつとなり得るかを検証しましたが、ワイドは複数的中が狙える車券ではあるものの、大きな利益はあまり見込めないばかりか大金を投じることができません。
更に車券の中では当たりやすいといえどもその的中率は最高約14パーセント程度であり、一般的な投資手段と比べれば利益を出す事は難しいというのが現状です。
競輪を投資手段として利益を積み重ねていくというのは、競輪ファンからすると夢のような生活ですが、実現するのは非常に困難というのが今回の検証から導き出された結論となりました。
本格的に投資をしようと考えるのならば、株式投資など従来の手法を選ぶ事を推奨します。