競輪の先行について徹底解説!かまし・抑え・突っ張りとの違いなども
競輪では数えきれないほどの「専門用語」がありますが、そんな中でもレースに関する記事や解説などで必ずといって良いほど耳にするのが「先行」という言葉です。
本記事では競輪の「先行」という言葉についてくわしく解説していきます。
先行とは?
(引用元:けいりんマルシェ)
先行は分かりやすく言うと競輪選手の走り方、「戦法」のひとつです。
競馬の馬券を買ったことがある人ならば「先行」という単語を必ず聞いたことがあると思います。
競馬の先行とは、競走馬の脚質のひとつで、「逃げ」という先頭を取って走ることを得意とする馬のすぐ後ろにつけて走り、最終コーナーを回ったあたりで逃げ馬をとらえ、先頭を奪取するという戦法を得意とする馬たちのことを意味します。
競輪の先行も似たような意味合いなのですが、競馬の先行とは少し違っています。
しかし競馬の逃げと競輪の先行は厳密に言えば違います。
競輪の先行選手も競馬の逃げ馬のように先頭を走る事になるわけですが、レース途中までは「先頭誘導員」が先行選手の前を走ることになるため、結果的に競走馬の「先行」のような位置取りになります。
先行選手は先頭を走っている限り向かい風の影響を直接受けるので、普通に考えればどう考えても不利です。
そうなるとどの選手も前に行きたがらないのでレースが成立しなくなってしまいます。
先頭誘導員はペース配分を安定させる役割を担っていると同時に先行選手の風除けの役目もしてくれているというわけです。
先行のメリットとデメリットを話しておくと、メリットは「自分のペースでレースを組み立てることができる」という点です。
ほかの脚質の選手は先行選手についていかざるを得なくなるので、先行選手がゆっくり走ればスローペースになりますし、ペースを上げれば「ハイペース」になります。
各選手それぞれ「得意なペース」というものがありますが、先行選手は自分の得意なペースを作れるという点でかなりのアドバンテージがあるといえるでしょう。
デメリットはやはり「体力消耗が激しい」といった点でしょうか。
途中まで先頭誘導員が壁になってくれるとは言え、誘導員が外れるとどうしても直接風を受けざるを得ません。
したがってどちらかといえば若手の選手が務めることが多いです。
競輪の先行には3種類ある
競輪の先行については理解してもらえたでしょうか。
実は競輪の先行は更に細かく分かれていて、「かまし先行」「抑え先行」「突っ張り先行」の3種類となっています。
より予想に役立てるためにはこの3つの先行の違いについても理解しておかなければならないでしょう。
かまし先行
(引用元:競輪ガイド)
競輪はライン同士の争いになるため、別のラインには別の先行選手がいます。
ポジションが後ろになってしまった先行選手は前のポジションを奪おうとするためどこかでスパートを仕掛けることになりますが、かまし先行は相手の先行がスピードを上げるよりも少し早いタイミングで速度を上げることでポジションをキープすることができます。
かまし先行は一緒にラインを走っている選手ももちろん意表を突かれることになるので優位を保ちやすく、そのままゴールまで駆け抜けることが多いですが、とにかく体力が必要な戦法であり、一か八かの戦法といえるでしょう。
抑え先行
(引用元:競輪ガイド)
後ろのラインの前を塞ぐように進路変更するので、後ろのラインの選手たちは速度を落とさざるを得ません。
一度減速して再加速するというのは非常に体力を消耗するので、抑え先行を決められたラインはほぼ敗北が決定します。
自分が優位なタイミングで仕掛けられる抑え先行は決まった時の勝率が高く、先行の基本ともいえる戦術です。
突っ張り先行
(引用元:競輪ガイド)
突っ張り先行は、抑え先行で前に出られるのを阻止するように一気に加速する戦法です。
抑え先行を決められると後ろに下がったラインはほぼ負けが確定となるため、それを阻止するために突っ張り先行で抵抗します。
突っ張り先行が成功すれば先行選手両者が競り合うことになりますが、外側を走る抑え先行選手の方が距離的に不利となります。
ただし突っ張り先行を成功させるためには抑え先行よりもトップスピードのする時間を短くしなければならないので、脚力が成功率に大きく影響します。
先行選手かどうかは出走表を見れば一目瞭然
先行を得意とする選手かどうかを見分ける方法ですが、これはレースの「出走表」を見れば一目瞭然です。
レースの出走表にはさまざまな情報が記載されていますが、そのひとつに選手の「脚質」があり、この脚質が「逃」「または「両」と書かれてあれば先行脚質の選手と判断して間違いありません。
「逃」は文字通りレース開始からゴールまでずっと先頭で走って逃げることを得意としている選手で、「両」は先頭で逃げることも後ろで控えて最後に追い抜くこともどちらでも出来る選手です。
先行選手を軸にしたほうが良いレース
競輪のレースはどのように進行していくかを予想しなければ的中させる事は出来ません。
レースパターンはレースの数だけあるとしか言えませんが、その中でも先行選手を軸にすると車券が的中しやすいレースパターンをいくつか紹介します。
ラインが長くなりそうなレース
先行を軸にした方が良いレースのひとつめは各ラインが長くなりそうなレースです。
競輪ではレース終盤(鐘が叩かれるくらい)までは、「ライン」と呼ばれる隊列を組みます。
ラインの数は出場する選手の組み合わせによって変わってきますが、このラインが長ければ長いほど先行選手にとって有利な展開となります。
もっと分かりやすく言うと、ラインが2本しか形成されない「二分戦」が先行選手にとっては有利なレースです。
ライン争いに負けたラインの選手たちは前のラインの後ろを追うしかありません。
当然そのままでは勝てないので前に出るしかありませんが、前の隊列が長いと沢山の選手を抜かなければなりません。
当然前のラインの選手たちは抜かれるわけにはいかないので進路を塞ぐなどして妨害するのですが、隊列が長いと妨害するチャンスも多くなるので妨害も成功しやすいと良い事づくめです。
7名の選手で争われる「7車立」レースは、4名と3名の二分戦になる可能性が高い事は覚えておくと良いでしょう。
みなし直線が短い競輪場
先行選手を軸にした方が良いレースの二つめは「みなし直線」が短いです。
みなし直線とは最終コーナーからゴールまでの直線を指しますが、みなし直線が短いと後方から追い上げる走りが得意な選手にとっては追い抜くまでの距離の猶予が少ないので、先行している選手に届かないという結果になりやすいため、先行選手にとっては有利と言えるでしょう。
各競輪場によってみなし直線の距離は大きく違いますが、一周距離が短い競輪場ほどみなし直線は短い傾向にあります。
同一ラインの追い込み選手が強いレース
先行選手を軸にしたほうが良いレースの三つめは「同じラインの追い込み選手が強いレース」です。
追い込み選手はほかのラインの選手がポジションを取ろうとしたときにブロックするという役割を担っていますが、同じ競輪場をホームバンクにしていたり、同じ県の競輪場をホームバンクにしているなど、ホームバンクが近い選手であれば結束力があるのでしっかりとブロックできます。
また「差し」や「マーク」といった決まり手が得意な選手は左右に動いて競輪をすることが得意なので、ブロック役として信頼できる場合が多いです。
「先行1車は黙って買え」という格言の理由
(引用元:けいりんマルシェ)
競輪にはいくつかの格言のようなものがあるのですが、「先行1車は黙って買え」という格言があります。
何故先行1車は「買い」なのか、その理由を解説していきます。
競り合う選手がいない
先行選手が1名ということはその先行選手と競り合う選手がいないということになり、先行選手は非常に楽に自分のペースで走ることができます。
先行選手最大のデメリットは「スタミナ消費が激しい」ことですが、先行1車だと最終周回になるまで無駄な体力を消耗することがないので先頭位置をキープしたまま後ろの選手にその地位を譲ることなくゴールまで駆け抜けるだけのスタミナを残すことが出来ます。
つまり圧倒的に先行選手が優位な展開でレースを進行できるのです。
追い込み選手同士が積極的に争ってくれる
1名の先行選手が1番前になることが確実な「先行1車」レースは、先行選手のすぐ後ろがほかの位置よりも圧倒的に有利であるため、後ろの差しやまくりの選手はその場所をなんとしても確保したいと考えています。
つまり先行選手が何もしなくても勝手に後ろの選手同士が激しいポジション争いをしてくれます。
ポジション争いをし続ければ当然脚力を消費することになるのですが、逆に先行選手は体力を温存したまま走ることができるので脚力の差はどんどん開いていくため、先行選手にとって有利な展開になるというわけです。
脚力面で圧倒的に有利
先行選手はほかの選手よりもずっと前にいなければならないため、脚力がないとつとまりません。
つまり先行1車という状況になっている時点で先行選手とほかの選手とは脚力にかなりの開きがあるということがいえます。
競輪において脚力の差というのはレース結果に大きく影響するため、選手の能力差という部分だけを見ても先行1車は有利な状況であることが分かるでしょう。
「自力1車」ならば更に有利!
先行選手が1名になっている状況として、先行1車のほかに「自力1車」というものがあります。
先行1車というのは先行できる選手が居るが後方からまくることが出来る選手が居るという状況で、この状況は先行選手があまりにも遅いペースで走るとまくりの選手に前を抜かれる可能性もあります。
一方自力1車は後ろにもまくり選手がまったくおらず、差し選手のみという状況を指します。
つまり前の先行選手の地位を脅かす選手が一人もいないというわけです。
もともと有利な先行1車という状況で後ろから競り合ってくる選手がまったく居ないのがどれほど有利かは今更説明しなくても分かるでしょう。
自力1車のレースは逆らわずに先行の選手を軸にして買い目を組み立てて大丈夫です。
まとめ
先行とはほかのラインの先頭に立って走ることを得意とする選手です。
先行には「かまし先行」「抑え先行」「突っ張り先行」という3つの戦法があり、選手によって得意な戦法が違うため、過去のレースなどを見てどの戦法を使うかを知ることが車券的中への近道となります。
「ラインが長くなりそうなレース」「みなし直線が短いレース」「同じラインの追い込み選手が強いレース」などは先行選手を軸にするのにおすすめなレースです。
そして「先行1車」「自力1車」という先行選手が1名のみという状況のレースは先行選手に有利な状況がたくさんあるので先行選手を軸にして買い目を組み立てると的中する可能性が非常に高くなるでしょう。