競輪のイン粘りなど様々な戦法について徹底解説!
競輪では日常生活でほとんど使われることがない「専門用語」がたくさんあります。
全てを把握しておく必要はありませんが、頭に入れておくとレースの実況や競輪に関連するサイトに記載されている文章の理解度がより深まることでしょう。
本記事では競輪の「戦法」にスポットを当て、さまざまな専門用語の意味を解説していきます。
競輪選手はそれぞれ得意な戦法がある
競馬を日ごろから嗜んでいる人は、競走馬には一頭一頭得意な走り方があるということを当然のように把握しています。
スタートから先頭に立ってそのまま逃げ切ることを得意とする馬、真ん中くらいでじっと隙をうかがって最終直線あたりで一気に加速して前に出ていくことが得意な馬、一番後ろを自分のペースでのんびり走ってゴールに近づいてきたら外から一気に前の馬を抜き去ってそのままゴールまで激走する馬などが代表的な例です。
競輪選手も同様で、それぞれ得意な戦法があります。
どんどん前を走る選手、前を走る選手の後ろにピッタリついて隙を伺う選手など、競馬の「脚質」と実はよく似ています。
代表的な脚質を紹介
競輪選手の主な脚質は4種類に分けられます。
ただし競輪選手の中には複数の脚質をレースによって巧みに使い分ける選手も多いです。
複数の脚質を使い分けることが出来る選手は出走表などには「両」という表記がなされています。
この脚質の選手が居る場合は他の選手の脚質を見てどのような走りかたをするのかを判断する必要があるでしょう。
逃げ
競馬の逃げ馬と同様にレースがスタートしてすぐに先頭に立ちます。
しかしレース終盤までは「先頭誘導員」が風除けになってくれるので実際は番手を走ることになります。
ラスト1周あたりになって鐘が鳴らされると先頭誘導員はコースから外れて先頭になると一気にスパートしてそのまま逃げ切るというのが逃げ選手の勝ちパターンです。
直接風を受けるのはラスト1周のみではありますが、それでも時速70キロで走る中で受ける風圧というのはかなりのものとなるため、他の選手と実力差がかなり開いていないと逃げて勝利することは難しいです。
逃げで勝ち星を積み重ねている選手は相当な実力者であるといえるでしょう。
先行
先行は競走馬だと逃げ馬のすぐ後ろについて番手から4番手くらいを追走し、最終コーナーあたりで前にでる戦法を得意とする馬を指しますが、競輪の先行は単刀直入に言えば「逃げ」選手を指しています。
競輪ではレース終盤までは先頭誘導員が風除けなどの役割を果たす目的で先頭を走るため、その後ろで走ることとなる逃げ選手は自然と「先行」の位置で走ることになります。
まくり
(引用元:競輪ガイド)
3番手以降に位置している選手がラスト1周の最初のコーナー以降から外に出しながら一気に加速して前の選手をごぼう抜きしていく戦法です。
かなりの脚力がないと決めることができない戦法であり、逃げ選手がライン争いで負けてしまった場合にこのまくりを使って入着を狙うといったパターンが良く見られます。
差し
(引用元:競輪ガイド)
逃げ選手をピッタリマークするように追走し、最後のゴール手前寸前で逃げや前を走っている選手を抜く戦法です。
競輪の主となる3つの決まり手「逃げ」「まくり」「差し」の中で最も比率の多い決まり手であり、多くの選手が得意とする戦法といえるでしょう。
様々な戦法を知ればレース観戦がもっと楽しくなる!
(引用元:けいりんマルシェ)
競輪の戦法を大まかに分けると「逃げ」「先行」「まくり」「差し」の4つになりますが、それ以外にも細かい戦法が色々とあります。
細かい戦法についても理解を深めておくと、レース観戦がより楽しいものとなるでしょう。
マーク
ゴール直前まで前を走る選手のすぐ後ろを追走する戦法です。
先頭の選手が風除けになるので力を温存できるというメリットがあります。
前の選手をぴったりマークしてゴール手前まで走り、ゴールする直線で前に出て追い抜くというのは競輪の常套手段のひとつです。
イン待ち
まず鐘が打たれる前までは先頭誘導員のすぐ後ろを走ります。
そして鐘が打たれた瞬間普通ならば一気に加速するのですが、イン待ちの場合はあまり加速せずにわざと1名の選手を前に行かせ、前の選手が追い抜いた瞬間一気に加速、すると先頭選手をマークする状態になるのでそのまま追走し、ゴール手前で追い抜くという戦法が「イン待ち」です。
イン粘り
イン粘りはイン待ちを狙っている選手がそのポジションを奪おうとする他の選手に対してその位置をキープしたまま最終局面まで粘る戦法です。
実際のレースでは上記の「イン待ち」よりもこちらの「イン粘り」の状況になることが多く、実況などではこちらの言葉のほうが頻繁に用いられます。
競り
(引用元:競輪ガイド)
前を行く選手のすぐ後ろのポジションを複数名の選手が奪い合う状態の事を意味する言葉です。
同じ位置で競り合っているのであれば、基本的にはインコースを走っている選手が有利になります。
切り替え
(引用元:競輪ガイド)
前を走っている選手がその途中で他の選手に抜かれてしまって番手以降になってしまった場合に前を追い抜いた選手のすぐ後ろを追走してマークする戦法です。
本来ならば先頭に立って逃げることを得意としている選手がその作戦を「切り替え」て差しやまくりを狙おうとする走りをすることからこの名称がつけられています。
追い込み
最終周回の直線部分で前に前を走っているラインを追い抜いていく戦法です。
捲り追い込み
直線部分ではなく、最終4コーナーあたりから速度を上げて前の選手を追い抜いていく戦法で、後方を走っている選手が一か八かの賭けをする際によく用いられる戦法です。
ライン争い中にも様々な戦法を駆使する
(引用元:富山新聞デジタル)
競輪のレースにおいて、最終局面のラスト1周よりも重要となるのがレース終盤までの「ライン争い」です。
前を走っている選手はその優位なポジションをキープしたいですし、後ろを走っている選手はそのままでは勝ち目がないので何とか前のポジションを奪いたいと考えています。
そのためラインを組んで走っている最中でもさまざまな駆け引きが行われ、色々な戦法で各選手が少しでも優位なポジションにつこうと様々な戦法を駆使します。
ブロック
(引用元:競輪ガイド)
後方から追い抜こうと上がってきた選手に対して前の選手が進路上に出て妨害するという戦法です。
「番手」と呼ばれる先頭選手のすぐ後ろを走る選手がこの役割を担うことが多く、ブロック能力がいかにあるかでそのラインの強さが決まると言ってよいほど大事な戦法となっています。
競り合う
そのレースに出走している選手の中でもっとも総合能力の高い選手の後ろについてその力を利用するという戦法です。
飛びつき
後方からスピードを上げて上がってくる選手を自身もスピードを上げつつ待ち、その選手が追い抜きに成功した瞬間に自分もその選手のすぐ背後につくといった戦法で、飛びつきに成功すると必然的に最初に組んでいたラインとは異なるラインで走ることになります。
切り替え
追い抜く追い抜かないに関わらず、その時の状況に応じて参加するラインを変えていくといった戦法です。
途中でラインを変更するのはルール違反でもなんでもなく立派な戦法なので、レースの予想をする際は最初に組まれるラインに固執せずに途中でライン構成が変化することも予想できるようになれば車券の的中率をさらに高めることができるでしょう。
まとめ
競輪選手はそれぞれ得意な走り方があって、その走りを最大限生かせるようなポジションをキープしようとレース序盤から激しい駆け引きが行われます。
逃げ、まくり、差しが競輪の主な決まり手となっていて、それぞれメリットやデメリットがありますし、決まりやすい競輪場や決まりにくい競輪場があります。
最後の争い以上に大事なのがライン同士の争いで、前のポジションを確保できたラインはそのポジションを維持しようとしますし、後ろを走らざるを得なくなってしまったラインの選手たちは時にはラインを切り替えることも考えながらなんとか前のポジションをキープしようと動きます。
こういった駆け引きが分かるようになると競輪がより面白くなりますし、車券の的中率も飛躍的に上昇していくことでしょう。