競輪選手の選手生命は長い!平均的な引退年齢と引退後の就職先

競輪選手の選手生命は長い!平均的な引退年齢と引退後の就職先

競輪選手を見ていると、若手からベテラン選手まで幅広い年代の選手がレースに出走しています。
そして、若手で勢いのある選手ばかりが勝ち進んでいるという訳ではなく、ベテラン選手の中にも未だに上位クラスで賞金ランキング争いをしている選手も沢山いる事に気づくでしょう。

競輪選手の選手生命は一般的なスポーツ選手と比べて長いと言われていますが、何歳くらいで引退を考える選手が多いのか、そして何故他のスポーツ選手と比べて選手生命が長いのかを本記事では解説します。

更に競輪選手が選手引退後、どのような道を歩んでいくのかについても紹介しているので、競輪選手のセカンドキャリアについても本記事を読む事で知る事ができるでしょう。

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競輪選手の引退年齢は平均40代前半

競輪選手の引退年齢は平均40代前半

競輪選手の引退年齢で最も多いのは40代前半だと言われています。
野球選手が平均で30代後半、サッカー選手が30代前半で引退する選手が多い事を踏まえると、やはり競輪選手の選手生命は長いという事が言えるでしょう。

更に50代になってもA1級やS級クラスといった上級者クラスで活躍し続けている選手も数多く居ます。
ちなみにこれまでS級選手として活躍し続けた最高齢は58歳で、萩原操選手が2022年まで記録を維持し続けていました。

そのほか生けるレジェンドである神山雄一郎選手も2023年時点で55歳ですが、いまだにS級1班として活躍し続けています。

最高齢勝利記録は驚きの年齢!

三ツ井勉選手(引用元:youtube)

競輪のレースにおいて、これまでの最高齢勝利記録は2019年11月23日に三ツ井勉選手が記録しており、その年齢はなんと64歳1ヶ月13日です。

競輪選手が現役引退を決める年齢の平均が40代前半ですから、それよりも更に20年以上現役選手として活躍し続け、更に勝利した訳ですから、この記録がいかに凄まじいものかが分かります。

競輪選手が40代になっても活躍できる理由とは?

競輪選手が40代になっても活躍できる理由とは?

スポーツ選手の選手生命は60歳で定年を迎える一般社会人と比べると非常に短く、中には30代になると引退を考えなければならないようなスポーツもあります。

競輪選手はなぜ40歳になっても第一線で活躍出来るのでしょうか。
「自転車競技である事」「ラインという戦法の存在」という2つの視点でその理由を考えてみる事にしましょう。

自転車を漕ぐので身体的負担が少ない

競輪のように選手自身の肉体を使う競技というのはたくさんありますが、自分の肉体を使う競技というのはその大部分で選手生命が短く、比較的長い野球選手でも40代手前になるとほとんどの選手が引退します。

競輪選手は自身の肉体を使う競技ではありますが、直接自分の肉体を酷使する訳ではありません。
そのため肉体への負担は比較的軽いですし、年齢による体力の衰えによる影響も比較的少ないです。

そのためある程度年齢を重ねたとしても、しっかりとトレーニングを継続していれば若手選手と変わらない活躍をする事が出来るのです。

競輪選手と同じく、競艇選手や競馬の騎手も40代、50代でも活躍する人たちが沢山居ますが、全て自分の肉体を直接使う競技ではないというのが長く活躍できる大きな要因となっています。

「ライン」という戦法の存在

もうひとつは「ライン」という戦法が存在する点で、これは他の競技にはない競輪独自の長い間選手として活躍出来る理由と言えるでしょう。
競輪は最終的には個々の争いになるのですが、レース終盤までは数名の選手で組まれる「ライン」という隊列同士の戦いになります。

ラインを組んでいる間はチームで動かなければならないですし、それ以前に先頭を走る「先頭誘導員」を追い抜いてはいけないので、比較的ゆっくりとしたペースでレースは進行していきます。

ラインを組む際は大きく「先行」選手と「番手」選手に分かれますが、基本的に先行は体力のある若手選手に任せ、ベテラン選手は番手に控えて前の選手とペースを合わせつつ追走、最後で一気に加速してトップに立つといった戦法で戦う事になります。

ラインのお陰で体力にものを言わせる走りというよりも相手の動きを見つつ戦略的に動いていくことが重要となるので、ベテラン選手になればなるほど経験が生きてきますし、若手に先行を任せておけば自分の体力を温存する事もできます。

以上のような理由から、年齢を重ねる事によって体力が衰えたとしても、技術力や経験で十分カバーする事ができ、40代になっても第一線で活躍出来るという訳です。

競輪選手が自ら引退を決断する要因

競輪選手が自ら引退を決断する要因

一般的なスポーツ選手と比べると長年に渡って活躍できるスポーツ選手ではありますが、ずっと活躍出来る訳ではなく、いつかは自ら引退する事を決断しなければならなくなる時期がやってきます。
競輪選手自らが引退を決断するのはどういった時なのでしょうか。

体力などの面で勝てなくなってきた

競輪選手が自ら引退を決断する瞬間、それは体力などが著しく衰えてどれだけ頑張ってもこれまでのような成績を維持できなくなってきた時です。

競輪選手はトレーニングをサボった時点で勝てなくなるので、各選手は空き時間は常に各種トレーニングに励む「練習の鬼」になるのが当たり前です。

しかし年齢による体力面、筋肉面の衰えによっていつしか日々のトレーニングではカバーしきれなくなるほどレースのパフォーマンスは低下していきます。

S級に居る事が当たり前のトップ選手の場合、S級1班から徐々にランクを落としてしまい、A級1班へと陥落した時点で引退を決断するケースが多いようです。

A級1班であっても一般社会人よりもずっと多くの年収をもらえるのだから十分ではと思ってしまいますが、金銭面の問題ではなく、再びS級に上がる事は極めて難しいという現実に直面するからでしょうし、何より自身のプライドがA級でプレイし続けることを許さないのでしょう。

かつては選手として20年以上レースに手続けると「退職金」「年金」が支払われた

これまでは競輪選手として20年間継続してレースに出続けると退職金が2,000万円、更に15年間毎年120万円の年金が支払われる事になっていて、20年経過をきっかけに辞める選手も多く居ましたが、現在は競輪そのものの売り上げが低迷した事によって年金制度は廃止、退職金も2割カットされています。
現在は年金や退職金目当てで辞めるという選手はほとんど居ないでしょう。

新しくやりたいことが見つかった

高年収の競輪選手、特にS級以上の選手になると税金対策としてお店を経営したり不動産を所有するなど何らかの副業を始めるケースが多いです。
そういった副業が軌道に乗り、競輪選手としてレースに出る必要もなくなった場合は引退を考える良い機会となるでしょう。

それ以外にも何かしら競輪以外でチャレンジしたい事が出てくれば、競輪選手としての人生を終えるという決断をする可能性も十分あります。

強制的に引退させられる制度が存在する

強制的に引退させられる制度が存在する

これまでは自らの意志で引退するケースについて紹介しましたが、競輪界を去る選手全員が自らの意志で引退を決断している訳ではありません。
なんと成績によっては自ら引退するのではなく、強制的に引退させられるケースもあるのです。

競輪には「代謝制度」というものが存在します。
半年ごとに各選手は競走得点を元にして成績を査定され、次の半年の級班が決められるのですが、一定以下の成績だった場合はランクをひとつ落としてしまう事になります。

そして最下級であるA級3班(女子選手は級班はなし)でなおかつ1年間通じて70点未満(女子選手は45点未満)だった場合は代謝の対象となる可能性が高いです。

上記条件を満たして、更に成績最下位から30名(女子選手は3名)が代謝対象となり、強制的に引退していく事になっています。

引退後はどのような人生を歩むの?

引退後はどのような人生を歩むの?

競輪選手を引退してのち、別の職業で仕事を継続する選手も一定数存在しますが、どのような職業に再就職するケースが多いのでしょうか。
本項目では競輪選手が引退したのち、どのような人生を歩むのかを解説していきます。

競輪場の職員やガードマン

競輪選手のセカンドキャリアとしてもっとも多いのが、選手として出走していた競輪場の職員として競輪に携わるというケースです。
レースに使用する自転車の点検や検査、運営スタッフ、売店のスタッフ、そのほか競輪に関するガイダンススタッフの中には元競輪選手という経歴の人が非常に多いです。

元競輪選手は競輪場の運営についてもよく理解しているでしょうから、運営側としても採用しやすいためお互いにメリットがあると言えるでしょう。
しかし運営スタッフの収入は競輪選手の時と比べると大きく減少します。

また、競輪場のスタッフではなくガードマンとして新たに就職する人も居ます。
警備会社の中には元競輪選手を優先的に雇用する所もあるので、競輪場だけではなく様々な場所でガードマンとして活躍している元選手も多いです。
そのほか、若くして引退してしまった選手は一般社会人として再就職するといったケースもあります。

解説者として活躍できる選手はごく一部

競輪選手引退後は、解説者として競輪の中継番組や各種イベント、更にはYouTubeに出演する人も居ますが、解説者としてセカンドキャリアを歩む事が出来るのは現役選手時代に一時代を築くほどの活躍を見せた選手に限定されるため、引退していく選手の人数に対する比率としては本当にごくごく一部に限られます。

また、選手の中には未来のスター選手を育成するために競輪学校の教官として現在勤務している人も居ますが、こちらもそれなりの実績が無ければ就職できないため、選ばれた選手だけが進む事ができるセカンドキャリアです。

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まとめ

競輪選手が引退を決意する年齢の平均は40代前半と言われており、一般的なスポーツ選手が引退する年齢と比べると、競輪選手の選手生命は長いと言われています。

競輪選手の選手生命が他のスポーツ選手よりも長いのは、自転車競技であるため自らの肉体を直接酷使しない事、「ライン」という競輪独自の戦法によってある程度体力を温存しながら戦う事ができ、体力の低下を技術力でカバーできる事が主な理由です。

競輪選手全員が自らの意志で引退できる訳ではなく、代謝制度という強制的に引退させられる制度も存在し、毎年数十名の選手がこの制度によって選手を続ける事ができずに引退を余儀なくされているという厳しい現実があります。

競輪選手としてのセカンドキャリアで有名なのは「解説者」ですが、解説者になれるのは現役世代に突出した活躍を見せ、ファンから高い人気を獲得していた一部のトップ選手だけです。

多くの選手は競輪場で運営スタッフとして再就職するケースが多いと言われています。
また、鍛え上げた肉体を活かせる警備員やガードマンとして再就職する選手も多いです。