オートレースの売り上げ推移と現状について解説

オートレースの売り上げ推移と現状について解説

オートレースをはじめとした公営競技は、レースの展開を予想をして的中させることで利益をあげることはできますが、これそのものを職業としている人は限られた人たちだけです。

大部分の人たちは、娯楽の一環としてオートレースや競馬、競艇などを楽しんでいることでしょう。
したがって公営競技の売り上げは、景気や私たちの懐事情によって大きく左右されます。

本記事では、オートレースの売り上げが過去と現在でどのように変わっていっているのか、そして現在売り上げをアップさせるために努力していること、今後の課題について解説していきます。

オートレースはバブル期の売り上げがもっとも高かった

オートレースのこれまでの売り上げ推移をみていくと、売り上げの金額そのものはほかの公営競技と比較すると大幅に少ないものの、グラフ化してみると推移自体はほかの公営競技とほぼ似たような線を描くことになります。

オートレースの売り上げがこれまででもっとも高かったのは1991年で、当時の売り上げはおおよそ3,497億円でした。
当時はちょうどバブル景気のまっただ中であり、そのほかの公営競技も中央競馬を除いてこれまでで最高の売り上げを記録しています。

しかし、バブル崩壊後は、それと同じくして各公営競技は大きく売り上げを落としていきます。
オートレースも例外ではなく、1997年にはピーク時より1,000億円減のおおよそ2,490億円、2008年には1,000億円近くまで売り上げを減少させていきました。

その後も売り上げ減少はとどまることを知らず、一時期は600億円台まで売り上げが落ち込みました。
しかしその後はさまざまな活動によって徐々に売り上げは回復傾向にあり、2018年度には売上高が6年ぶりに700億円を記録しています。

参考 大和総研レポート

控除率が25パーセントから30パーセントに上昇

売上高が回復傾向にあるのは、オートレースだけではありません。
そのほかの公営競技も回復傾向にあり、どん底の時代は乗り越えたといえるでしょう。

しかし、オートレースに限定すれば、回復速度がほかの公営競技と比較すると若干鈍くなっています。

公営競技では、それぞれ「控除率」というものを設けています。
控除率とは、簡単にいえば公営競技を運営している側の「取り分」です。

私たちは投票券を購入する際にお金を支払いますが、そのお金がすべて私たちに還元されるわけではありません。
投票券の売り上げのうち、決められた控除率だけ差し引かれ、残りのお金をオッズとして分配することになっています。

競馬をはじめ、ほとんどの公営競技はこの控除率を「25パーセント」に定めているのですが、唯一オートレースだけは25パーセントではありません。

かつてはオートレースもほかの公営競技と同様に25パーセントだったのですが、2012年に「小型自動車競走法」という法律が改正され、オートレースのみ控除率が30パーセントとなっています。

この影響は大きく、一時期回復傾向にあった売り上げが、控除率が30パーセントになったことにより、落ち込みました。
お金を支払う側から考えてみれば、自分たちの取り分が5パーセントも少なくなるわけですから、オートレースから離れようとする人が出てくるのも無理はありません。

それでもほかの公営ギャンブルと比較すれば控除率は低い

しかし、控除率30パーセントでも、ほかの公営ギャンブルと比較すればまだまだ還元率は高いほうです。

たとえば、私たちにもっともなじみ深い公営ギャンブルといえば、「宝くじ」でしょう。
宝くじは1等が当たれば数億円が手に入る、とても夢のあるギャンブルですが、実はその還元率はたった「50パーセント」しかありません。

また、サッカーくじの控除率も宝くじと同様に50パーセントとかなり低く、これらと比較すると、オートレースの30パーセントというのもそれほど高い控除率ではないことがわかります。

控除率上昇後もさまざまな努力によって売り上げは改善

控除率が25パーセントから30パーセントに上昇したことにより、一時期売り上げは再び減少に転じましたが、現在では減少に歯止めがかかり、少しずつ回復していっています。

売り上げを回復させるために、オートレースを運営する側がさまざまな対策を実施しており、それらが功を奏したといえるでしょう。
本項目では、どのような対策によって売り上げが回復したのかを解説していきます。

一部レースで控除率を20パーセントに

小型自動車競走法の改正によって、オートレースのみ控除率が30パーセントとなりました。
しかし、現在ではグレードレースの2連勝単式の車券で控除率を25パーセントとする、「グレードレース7」という特殊なレースを開催するなど、一部レースでは控除率を25パーセントに設定しています。

この取り組みはとても好評で、オートレースの売り上げを再び回復させた大きな要因といえるでしょう。

ミッドナイトレースの開催

また、オートレースでは特殊な時間帯に開催される、「ミッドナイトレース」というレースを開催しており、これも売り上げを回復させた起爆剤となっています。

ミッドナイトレースでは最初のレース開始時間が20時半、最終レースの開催時間が23時半と、これまでの公営競技では考えられないような時間帯でレースを開催しています。

この時間帯であれば、普段仕事でなかなか車券を購入できない人でも問題なく車券を購入できるでしょう。
車券はすべてインターネットでの購入となっており、わざわざレース場や場外車券売り場に足を運ぶ必要もありません。

レースは無観客で実施され、観戦はインターネット上のライブ中継でおこなわれます。
ネット上で車券を購入し、自宅などでお酒を飲みながら気軽にレースを楽しめるというわけです。

今後さらに売り上げを伸ばしていくための課題

これまでのさまざまな努力によって、オートレースの売り上げは一時期に比べれば回復しています。
しかし、この回復傾向を軌道にのせるためには更なる対策が必要となるでしょう。

本項目では、オートレースがさらに売り上げをのばすために必要とされる対策についてまとめました。

スター選手の登場

これは運営側の努力ではなかなか難しいものがありますが、やはりどんな競技でも「スター選手」はお客さんが実際にその競技を観戦しようという大きなきっかけになります。

例えば公営競技でいえば、かつて「オグリキャップ」という名馬が存在しました。
人ではありませんが、その強さと人気はスター選手に負けずとも劣らないカリスマ性を誇っていたといえるでしょう。

そして、このオグリキャップをはじめ、数々の名馬に騎乗し、しっかりと結果を出した「武豊」というスタージョッキーも中央競馬の売り上げに大きく貢献していることは間違いありません。

オグリキャップや武豊といった名前は、競馬をほとんどやらない人でもしっているくらい、知名度が高いです。

いっぽう、オートレース界では、かつて元SMAPの「森且行」選手がデビューしたころは、そのスター性から多くの観客がつめかけましたが、現在ではそれに匹敵するスター性のある選手が出ていないのが現状です。
オートレース界を大きく変えるような、スター性のある選手の登場が出てくれば、さらに盛り上がることでしょう。

積極的な宣伝活動

積極的な宣伝活動も売り上げをあげるためには大切です。
たとえば近年、大きく売り上げを回復させている公営競技が「競艇」です。

競艇は現在、競艇という名称ではなく、「ボートレース」という名称で知名度を上げつつあります。
ボートレースが大きく回復して生きているのは、積極的な宣伝活動によるものです。

一時期と比較すると、ボートレースのコマーシャルをテレビで見かける機会がとても多くなりました。

そしてコマーシャルでは、渡辺直美や田中圭、ずんの飯尾和樹といった、若者にも人気がある、親しみやすいタレントを起用したことも売り上げが回復している大きな要因です。

いっぽう、オートレースのコマーシャルをテレビで見ることは皆無といってよいでしょう。
そもそもオートレースという公営競技の知名度そのものが競馬や競艇と比べると圧倒的に低いです。
積極的に宣伝活動をし、オートレースという競技の認知度を上げることが更なる売り上げアップには必要不可欠です。

女性ファンの獲得

現在のさまざまな流行は、女性が創り出しているといっても過言ではありません。
さまざまなところに出かけて、お金を使うのは女性のほうが多いですし、何より若い女性は基本的にあまり一人で行動しません。

同じ女性の友達だったり、男性の友達や彼氏などと行動を共にすることが多いです。
女性がオートレースに足を運んでくれれば、相乗効果で一気に人が増えます。

そのためには、女性が足を運んでくれるような、さまざまな働きかけが必要になります。
まず、オートレース場そのものの雰囲気を変えることが必要になるでしょう。

一時期と比べれば、かなり綺麗にはなってきているものの、まだまだ女性が足を運びやすい場所とは言い切れません。

インスタ映えするようなスポットや、女性が喜ぶグルメ、清潔な施設などの整備が必要です。
また、「若いイケメン選手」の登場や、それらを積極的にメディアに宣伝していくことも、女性ファンを獲得するためには欠かせない要素となります。

まとめ

オートレースはバブル期をピークに、売り上げが大きく低迷しました。
一時期に比べると、売り上げは若干回復傾向にはありますが、ピーク時にはほど遠いというのが現状です。

これからさらに売り上げを回復させるためには、多くの人にオートレースという公営競技を知ってもらったり、女性も足を運びやすいような施設の整備など、更なる努力が必要になるでしょう。